19 2ヶ月前(2)
クリックありがとうございます( ´ⅴ`)ノオーバーロード3期を歓喜して待っていたひとりぼっちの桜ですwいや~先日の第1話も最高でしたね♪1話目は日常回っぽかったけど、それでも文句なしの面白さですよ(^・^)!OPもEDも最高ですし、しかもOPでは私の大好きなパンドラズアクターも出てたし(笑)てか、OPに気になる絵が多過ぎwアレはいったい…?状態ですwさ~来週も楽しみでですゾイ☆٩( 'ω' )و
では今回のお話もどうぞお楽しみ下さいませ~♪
物言わぬ資料から裏切り者の影を掴もうとするマリアンヌ。
彼女は続きを語り始めた。
「裏切り者はサンティエールで初期からいる人間でおそらく領主などと共に移り住んだ人間だ。そしてもちろん今尚プルートに属していながら、今の今までバレることなく密かに反乱軍側に情報と戦術を与えている」
「なぜ時期まで分かるんですか?」
「お前の持っている資料の上の方を見てみろ」
資料を黙読するカーナ。
言い指した箇所は本当に上の方だった。
時期にして7年ほど前。
「クルウェイ率いる正規軍が引き上げたと書いてある項目があるだろう?」
「はい」
「そのすぐ下を見ろ。正規軍を引き上げさせた次の日に運悪く急に集まった暴徒たちの奇襲を受けて備蓄の食糧やらを盗まれている、これを見た瞬間『おや?』っと、我はまず思った」
盗みですか…、と呟いたカーナ。
こう切り返した。
「それはたまたまでは? それまでクルウェイ将軍達とアトラス軍が戦っていて、おそらく激戦区だったと予想できますし、民達に食料が回ってこなかって、もう限界でお腹が減ってやむにやまれず」
その問の最後まで聞く事無く、即否定するマリアンヌ。
「今までは無かったのに?急に?クルウェイがいなくなったとしてもどんな猛者がいるか分からないのに?クワと斧でプルート軍に挑むのか?魔道具を使われたらクワと斧の集団なぞ一瞬で壊滅だぞ。 それに資料ではすぐ下に書かれているが実際にはアトラスとの勝負に勝ってから数ヶ月は経っている、空腹の限界という意味ならとうの昔にきていて然るべきだろう」
確かに、と頷くカーナ。
マリアンヌは続ける。
「やつらは知っていたんだよ、クルウェイを含む精鋭部隊が全員プルートに引き上げたことを。警備が少なくなっている場所を。しかも最初の暴動となるその窃盗騒ぎだが、占領された人間達からすれば少しでも多く食料を得たいところにも関わらず、それを絶妙なタイミングで撤退させてる」
「絶妙なタイミングですか?」
「人間が一番寝静まる深夜2時ごろを狙って犯行時間は30分以内、番をしていた人間が全員、殺られた。奪われた食料は領主側の備蓄の大体2割ほど。これを聞いて不思議に思わないか?」
少し頭が追いつかなくなってきたカーナはそのまま問い返す。
「…え?何がでしょうか?」
「犯行が円滑すぎるんだよ。それに番をやってた人間を全員殺してるならもっと奪えばいいだろうに、なぜ2割ほどで撤退した?備蓄全部奪えばいいじゃん、お腹減ってるんだろ?」
「でもそんな事をしたら警備の人間が大量に押し寄せて」
「そう!その通りだよ!」
実際、関所や領主の敷地内には寝ていない兵たちはいただろう。
こいつらの交代のタイミングをも見計らっている。
「奪えばいいと簡単に言ったが、クルウェイがいなくなったとしても他の騎士達はまだいたはずだ、来たら終わり、なんと言っても領主からの強奪の現行犯、罪状は死罪が適当だし、見せしめの意味もあるし領主側やっただろう。とは言え、不意をついて殺した兵たちと違って真正面からやってくるプルート軍と戦って村人が勝てるとも思えぬし。それに奪った後の輸送、隠す場所、そういった事も考慮しているからこそ2割で押し止め、30分撤退を選んだ」
だが、ここで1つの疑問が浮かぶ。
なぜ反乱分子どもは内通者の言うことを1から10まで聞いたのだ?
実際、カーナの言う通り腹は減っていただろう事は予想できる。
ならばたとえ内通者の前では「言うことをきく」と素直に言ったとしても、食料を目の前にしたら、発狂、取れるだけ食料は取ろうとなるはず…。
そして時間がかかって兵がきて失敗。
こうなるはずだ。
裏切り者はどうやって反乱分子どもを御しているというのか。
「あの…そもそもなんですけど、いいですか?」
「何んだ?」
「情報を渡したのはプルートの裏切り者なんですよね?」
「うむ」
「バ・ラン地方の人間にとっては、つい最近まで敵国だったプルートの人間の情報をよく信じましたね」
「おそらく内通者は反乱側に最初にこう言ったんだ『私を信頼してもらう証として食料を奪わせてやる』と、それで信頼を勝ち得た。村人達にしてみれば腹が減っていて、信じる以外の選択の余地など無かったと考えられる」
しかも内通者がプルートから渡った初期の人間なら、領主側からも裏切り者と疑われにくい、領主からの情報も入りやすかろう。
クルウェイが去ってすぐに両者から信頼を得たわけだ。
「それと反乱分子どもの領主側への度重なるテロ行為もそうだ。資料を見る限り何度か領主側にとって危ない時もあったようだが、反乱分子たちは自分達が優勢に思えたなら一気に畳み掛けたいと思うのが心情だろうが、それを的確なタイミングで撤退している。それも1度や2度でなく何度も同じ状況が続いている。反乱軍どもは最小の被害で押さえつつ、被害が出ても反乱分子では無かったと言い、一般市民にすることによってプルート側の無慈悲な虐殺を印象付け、更に周りの村々の反感がプルートに向く、反乱軍が増える、これを考えた人間は素晴らしい循環システムだと思ったのではないかな?」
だがバ・ラン地方から遠いこの地で気付かぬならまだしも、この状況をサンティエールにいて全く気付かぬとは。
領主、家臣も含め、どれだけ無能な連中なのだ。
実に嘆かわしいな。
慰問に行ったら2、3発殴っちゃおうかな♪
「それに今まで鳴りをひそめていた反乱分子どもがクルウェイが去った後に急に1つに纏まったのも気になる所だ。アトラス軍がクルウェイ率いるプルート軍に敗走し、アトラス本国から見放されているのにも関わらず、反乱分子どもは絶望にうちひしがられる所か、まるで事前準備が出来ているような要領の良さで1つに纏まっている。おそらく裏切り者が今にも暴徒化しそうな反乱分子どもを1つに纏めて反乱軍のようにしたのでは無いかと考えている」
マリアンヌは自身の銀線の髪を撫でながらきっぱりとした口調で言った。
「プルート側の情報を知っていないとそんな事は出来ないからな」
「よく今まで、、というか、今もと言った方が正しいのでしょうが。よくマリアンヌ様に看破されるまで気付かれませんでしたね」
「確かにな。プルートにも戦略を練ったりする優秀な参謀に属する人間は多数いる、にも関わらず、その姿は見える事無くバレていない。そういう意味では、裏切り者の性格は非常に慎重なのだろうな」
まぁこの地域一体を父上があまり重要視していない感が否めないので、それがそのままプルート本国が興味を失っている原因になっているような気もするが。
それでもサンティエールを得てからの年数を考えれば内通者としては100点満点だな。
「これだけ長期間にわたってボロを出していないことを考えれば、裏切り者の人数はおそらく1人、人数が増えるとそれだけボロが出る可能性が高くなる。そして情報もいつも渡しているのではなく、反乱軍どもにとって岐路となる重要な局面のみを選んで慎重に慎重を重ねている。だから資料後半からはこいつの影が読み取れない。この裏切り者は基本的には助言、戦術を指南していると考えられる」
微かにだが脳内に浮かぶ裏切り者の姿。
それをマリアンヌが言葉にして形作っていく。
「自己保身が非常に強い性格。自分の身を守るのに余念がないな。だが…我の目からは逃れられなかったようだな。慎重にやるなら1回目の盗みの時から慎重に行くべきだった。クルウェイが居なくなって次の日など、内通者を疑ってくれと言っているのと同義。でも序盤のミス…まぁミスと言っても裏ぎり者の影が見えてしまったというミスだが、それは序盤だけだ。ここ最近はその影すらも資料からは拾い上げれなかった」
「もう死んでるんじゃないですか? 昔から両方に対して良い顔するコウモリ野郎は死ぬ運命にあると言いますし」
そんな物騒なことわざなんてあったか?
「それは無いな。さっきも言ったが、それだとそもそもここまで上手く反乱軍が調子に乗ることは無かった、戦術を未だに教えている証拠だ。にも関わらず姿が見えないのは、こいつ自体の内通者としての技能が成長しているのだろう」
そう、、人を騙す才能。
我と似ているのかもしれない。
「マリアンヌ様!私、ひらめいたんですけど! 軍の引き上げ時期を知っていたことを考えると、裏切り者は領主の男でしょうか!」
う~~ん、と唸るマリアンヌ。
「いや、その可能性は我は低いと考えている。もちろん全くの0とは思ってはいないが。理由としてはシグレの調べによると、サンティエールの領主は7年前、父上の怒りを買って島流れ同然でサンティエールに行くことになった人間だ、いわばそいつにとってサンティエールは最後の砦となっているわけだ。反乱分子どもに自分の庭を荒らされて喜ぶ輩はおらぬだろうし、荒らされてプラスになる事が無い、だってどうせ帰って来れないもん。亡命も厳しいだろうし、たぶんアトラスに捕まったら高確率で死罪。因みに最近では屋敷の一部が燃えたらしいぞ。そんなこんなを考えると裏切り者は領主ではないな」
そう、内通者は領主ではおそらく無い。
という事はその周辺の人間に限定される。
残念そうに肩を落とすカーナ。
「そうですか、残念です。マリアンヌ様のお役に立てればと思って言ったのですが」
「まぁそう気を落とすな、裏切り者探しにおいて、お前の観点は非常によい所を突いているぞ」
「そうなのですか?」
と、答え、戸惑うカーナにマリアンヌは指を1本、上に突き立てた。
「情報を知っていた人間、その通りだよカーナ、よく分かっているではないか。だからこそ容疑者は限られるし、サンティエールにたまたま立ち寄った旅の業者などではないという事が分かる。それに加えて今まで分かっている裏切り者の性格は慎重、計算高いというよりも臆病。だがその臆病さこそが我がプルート相手にバレずにいる秘訣なのだろうな。こういった人間を捕まえるのは大変だぞ。まずもって危ない橋は渡らんし、理性よりも恐怖という直感を優先してくる」
これは中々に尻尾を掴むのが大変そうだ、とマリアンヌが言い終わるとカーナはイラついた表情で毒づいた。
「まるでネズミですね」
ネズミ?
ああ、なるほど、言いえて妙だな。
「お前にしては良いセンスだな。絶対的な力を有する我がプルートを裏切るばかりか、仇なす行動までするのがネズミとは、、まったく万死に値するわ。ほんと…」
「ほんと腹が立ちますね!」
鼻息荒くカーナが割り込んだ。
その顔は激怒の形相だった。
「プルートの領地は全てマリアンヌ様の庭!その庭で裏でコソコソコソコソ、好き勝手なマネをするなんて!そんな不逞な輩は磔にして市中引き回しにするべきで」
「会ってみたいなぁ~」
「へ?」
自然と頬が緩むマリアンヌ。
その表情はうっとりと、そして深淵なる瞳は爛々と不気味に笑っていた。
一方、怒り心頭状態から一気に目が点になるカーナ。
「マリアンヌ様、今、なんと?」
「喋ってみたいな~」
「喋って…みたい、ですか?」
「どんな人間何だろうね~?サンティエールという都市…いや、バ・ラン地方を裏で操っているのは間違いなくこいつだ。どんな思考回路で普段どんな事を考えて生きているんだろうな~?周囲全部が敵という事を考えると怯えて生きているのかな~?ビクビク、ビクビクしてんのかな~?だって誰か1人にでバレたら終わりだものな~。そんな中、目の前にプルート王位継承権第一位の我が現れた時、そいつはどんな顔をするのだろう~? ああ!そうだ!!会ったとき出来れば頭を割って中身も見てみたいな! ああ~~気持ちの高鳴りが今から抑えられぬよ」
高鳴る気持ちを抑えるように胸に手をやるマリアンヌ。
ほんのりと頬が赤みがかっている。
「会ってみたい…ものですか?」
「だって考えてみろ」
「え?」
何を?状態のカーナにマリアンヌは続ける。
「現在のプルートは大国だ。その力は大陸を2分するほどに強い。真正面から戦いを挑むならもはや2分する相手方のアトラスぐらいだろう。そんな強国に挑む1匹のネズミ。それはまるで臆病なネズミがネコの王国を裏で操っているようで、実に愉快痛快ではないか」
いつぞやのムンガルの副官は頭は良かったが、良すぎた結果、頭でっかちの合理主義者、思考パターンが読め過ぎてつまらなかったしな。
「つまりだ、まず我がサンティエールに行った際、最初にしなければならないのは裏切り者の捜索だ。こいつがいる限り、こちらの情報が筒抜け状態で慰問どころではないからな」
「あのマリアンヌ様」
「ん?なんだね?」
「よく分からないのですが。もしもマリアンヌ様にとって裏切り者が邪魔という事でしたら、私がサンティエールに着き次第にはなりますが、反乱軍の人間を殺し尽くしましょうか? そうすれば裏切り者が隠れてどんな行動をしようが、情報を渡す相手がいないので問題は解決かと」
軽快な顔をするカーナに、マリアンヌは難しい顔で長い息を吐きながら頭を左右する。
「既に不満が溜まっている所に力による圧制は更なる暴徒化を生じさせるぞ」
「反乱軍と言っても所詮は一般人の集まりですよね?どれだけいようが私にとって烏合の衆です」
「お前は、反乱分子どもが行う暴動、テロ行為を甘く見ているな」
小首を傾げるカーナ。
おそらく、この女は反乱分子を戦力でしか測っていないのであろう。
「一応聞いておくが、お前は反乱分子とはどんな人間達だと思っている?」
「それは…反乱軍に属している人間だと思います」
との返答に、いいやと首を振るマリアンヌ。
「広い定義において反乱分子とは国に対して背く行為をする人間を指す。今日、クワで田畑を耕している村人がそのクワをこちらに向けた瞬間それは背信行為、そして暴徒化、反乱分子、反乱軍となる」
つまりこの地域においては誰でも反乱軍となりえる。
「だからな、お前が言った反乱分子を根こそぎ殺すといった行動を取ってしまえば、更なる暴動が起き、そうなってしまえば最早、誰が反乱軍で、誰が村人なのかすら判断できない文字通りの混沌になってしまうのだ。よって裏切り者を内密に見つけ出す一案を即興で考えてみた。だが、それにはお前の協力が必要なのだ」
「はい、もちろんです!何なりと仰ってください!」
前のめりの回答にマリアンヌは鼻を鳴らす。
「囚人の中でお前が信用できると思う人間、出来ないと思う人間、それを別けて資料として提出しろ」
「資料ですか…」
「ああ、言っておくが、もうあの日記みたいなやつはもう書かなくていいから。お前の勘で、勘だけで信用出来る人間の名前、信用出来なさそうな人間の名前で別けろ。その後に我が判断する」
「つまり名前だけでいいという事ですか?」
「うむ、それでよい。余計な事は考えなくていいから」
自分の懸念材料を先に言ってくれるマリアンヌ。
カーナは、ありがとうございます!と笑顔で了承した。
「あともう1つ」
「はい、何でしょう?」
「別件でどうしても会いたい囚人がいるので先に連れてきてくれないか?」
「はい、もちろんです。誰を連れてこればよろしいのでしょうか?」
決まってるだろ、と薄い笑みを浮かべるマリアンヌ。
彼女は言った。
「アット・シア、16歳、二重人格、大量殺人鬼の少年だ」
閲覧ありがとうございましたm(_ _ )mペコリ
次回は遂にシアが出てきますよ~♪でも、、彼を覚えている人は何人いるかな~w( ?´_ゝ`)




