17 準備は万端?
クリックありがとうございます(^_^)/ついさっきまで行われていたワールドカップ、日本がセネガルに2対2で引き分けて「今までの日本と違う!?」って思ったひとりぼっちの桜ですw
いや~ここまで来るとグループリーグ突破して欲しいですね♪
突然ですが実は2個前のお話で、今までの事柄と整合性が取れない箇所があったのですが、気づいた方はいらっしゃったでしょうか?(^^)
まぁ小説内ではなく、現実では結構前に書いたから皆が忘れてるかな~(o´ω`o)?ってニヤニヤしながら書いたのですがw
気づいていた方は「知ってたよw」とほくそ笑んでください♪気づかなかった方、よかったら今回のムンガルと一緒に「あーー!!」って言ってもらえると嬉しいです♪
では次回からはちょっとアレな展開になっていくかもなので、最後のほっこりな感じ?どうぞお楽しみ下さいませ~♪ あっ、因みに3ページの予定が気が付いたら10ページ6千文字超えてました(笑)
ピリピリとした空気漂う王の間から廊下に出たマリアンヌ。
歩きながら後ろを付き従う従者たちに指示を出し始めた。
「ムンガル、聞いていた通り今回お前達は使えない、だからお前も待機だ」
「ハッ」
「………一応言っておくが、お前の部隊にも勝手なマネはしないように見張っておけ、絶対待機だ、分かったな?」
「ハッ!了解いたしました!」
いまいち信用出来ないな~。
「ちゃんと全員の居場所も含めて手綱を握っておけよ」
「ハッ! それにしてもあのような部隊を内密にお持ちとは、このムンガル、此度のマリアンヌ様の用意周到さに感服致しました!」
「お前さ…、なんでお前が感服するんだよ?お前は見てるだろうが」
「は?何のことですか?」
目をパチクリさせ、平然と言い放つムンガルにマリアンヌは、はぁ~~と長い溜め息を吐き、頭痛に悩まされるように軽く頭を押さえた。
「ファゴット際で見てるだろうが」
「あーーーー!!!」
「あーーーじゃねーよ!クルウェイどもに関してはあの時はお前が居たから、お前の部下と勘違いして、今日それが10人程に増えて現れて驚いた事にも理解できるが、お前は勘付かないとオカシイだろ。しかもカーナがお前に言ってただろ”私の部下”って。ってことは、回りまわって我の部隊だろ」
「あ~~~、言ってましたね。ええ、言ってました。このムンガル、完全に失念しておりました!」
何でコイツは恥じらいも無く胸を張ってそんなことが言えるんだ?
これだけ強烈な印象を与える仮面を被ったやつらの事を完全に忘れていたんだぞ。
マリアンヌはもう一度長い溜め息を吐くと
「まったくお前のせいでヒヤヒヤさせられた。まぁ忘れていたからこそのあの実直さによって事態が良い方に動いたと考えれば、良かったと思っておいてやるが、お前はもう何もせずおとなしく吉報を待っていろ」
「ハッ」
「次にカーナ、今すぐカラス全員を屋敷に戻しておけ。念のために父上の手の者の尾行に気をつけるように…というか、お前も付いて行ってやれ。尾行があった場合、出来るだけ殺すな、撒け、お前なら出来るな?」
「了解しました」
「よし、では行け」
「はい」
「最後にシグレ、此度の演技は素晴らしかったぞ」
マリアンヌを先頭に後を付き従って歩く一団からカーナがカラスを連れて離れていく。
するとマリアンヌのすぐ後ろを歩く今や完全にマリアンヌの右腕と化したシグレ、彼は尊敬を含んだ眼差しで胸に手を当てて頭を下げた。
「お褒めの言葉ありがとうございます。神に褒めて頂くなど、今日は何と良い日なのでしょうか。ですが、今日の日の為にマリアンヌ様と予行練習を重ねた結果がもたらした成果、演技力の乏しい私めに対してのご指導ありがとうございました」
「フフフ、気にせずともよい。だが1つだけ貴様に言っておかねばならないことがある」
「はい、何でございましょう?」
「我は橋の破壊とやらは聞いてなかったぞ」
「申し訳ございません、事が起きたのが本当につい先日の事だったのです。お伝えが遅れた事については心からお詫びします。しかしランから手紙で事の詳細は把握しておりますゆえ、既に渡る船の手配は終えております。何も問題はないかと」
船、という新たなビックリワードにピタッと足を止めるマリアンヌ。
ゆっくりと振り返った。
「船って、あの船か? 本で読んだ事があるのだが、船とやらは酔うと書いてあったぞ。船酔いというらしいが…それは大丈夫なんだろうな?」
「人によるかと。 マリアンヌ様は馬車で本を読んでも問題無いとの事なので酔うとは思えません、それに船で移動と言ってもほんの20分ほどです」
「船で20分って、、それって結構な距離じゃ…」
「いいえ、マリアンヌ様。それにそもそも論ですが、いずれこの国を統べられるマリアンヌ様が船酔いなど起こるとは考えづらいです」
「何、そのとんでも理論? 我は自分が酔う未来しか想像できんぞ。嫌だぞ、もう吐くのは」
軽くトラウマのカエ…鶏肉の味を思い出しながらマリアンヌは言った。
シグレは心配そうなマリアンヌに補足する。
「一般的に男女において乗り物酔いは女性の方がしやすいと考えられておりますが、それでも最近カーナ様を見ていて気付いた事がございます。大抵の状況は女性でも簡単に乗り越えられるものと確信いたします」
「アレ(カーナ)と我を一緒にするなよ!奴は人外の者だろ!」
「私から見ればマリアンヌ様は十分に人の存在を超越された存在であり」
うわーめんどくさくなってきたな。
この手の話はスルーしておきたいんだよ。
マリアンヌは手をパンと合わせる。
「で、シグレよ。もちろん馬車の用意は出来ているな?」
「もちろんでございます。内々にこの3ヶ月間でマリアンヌ様にご満足いただける、王たる人間に相応しい馬車と、足早の馬を用意しております」
「うむ、では懸案事項に移ろう。歩きながらでいいな?」
「はい」
シグレには慰問の件を知った3ヶ月前からある任務を与えていた。
その任務とは言わずもがな、ダイアル城塞の攻略時に露呈した外出時に起こる数多くの問題点の改善。
我は苦しんだ。
馬車で眠ったことによる睡眠障害と起床時の全身の痛み。
絶食によって起こった飢餓状態。
何日も風呂に入れなかったせいで身体はベタベタ。
極めつけは、トイレ問題。
もう地獄だ。
これらの問題をクリアーしないと正直、慰問どころではないのだ。
シグレに改善点を是が非でもプルート中のどれだけの人間を使っても改善しろと命じていた。
「我は色々忙しくて」
そして聞くのが恐くて。
「それらの件についてはノータッチだったが、シグレよ、まずベッドの件から聞こうか」
さて、信じているぞ。というマリアンヌの眼差し。
シグレは『抜かりなく』、と歩きながら頭を下げた。
「睡眠問題ですが、やはりどれだけ馬車内の快適性を追い求めたところで、馬車の中で眠るというのは身体に負担を強いると考えられます」
それを聞いて何度も頷くマリアンヌ。
「うむ、寝ずらいし起きたときの痛みときたら、、地獄だったな」
「はい、そして安眠からは程遠いという観点からベッドを持っていくしかないという結論に行き着きました」
「ふむ、ということは我はテントの中で眠るわけだな」
「はい。当初、私やプルート国内から集めた家具職人たちは、いかにして馬車にベッドを押し込むか、押し込めるようにするかを考えておりました。なんと言っても馬車のサイズを大きくしてしまったら通れない田舎道が出てくる可能性もありますので、最悪荷台に乗せるという愚案まで出てくるほど議論を尽くしました」
「我が眠るための物が見世物のように荷台に乗せるなどありえぬぞ」
「はい、勿論でございます。だから荷台という案は即却下、そして集めた職人たちが何日も思案していた所、書類を取りに来たカーナ様がわたし達が議論している言葉を聞いてふと”折りたたみベッド”なる物を提案されたのです」
「折りたたみベッド?」
初めて聞いたワードに眉を顰めるマリアンヌ。
シグレは続ける。
「はい、ベッドの真ん中辺りに切り込みがあり、ベッド全体を軽い素材を使うことによって2つ折に出来るベッドです。マリアンヌ様これは凄い事です、職人達も申しておりましたが今までの歴史上見たことの無い、今後のプルート…いえ、歴史に新たな1ページが刻まれました。これで外でもベッドを組み立て、その上にマットをひいて快適に眠れます」
ほう、実物を見ていないので何とも言えないが、とりあえず地べたに眠らなくてもよいとは朗報だ。
「次に食の問題なのですが、これはマリアンヌ様の後を追従する別の馬車にて家畜を生きたまま運ぶことによって問題なくクリアーとなりました。因みに馬車の手綱を握る御者ですが、一流の料理人を起用することで調理面も抜かりありません。マリアンヌ様の口に合う食事を提供できるかと」
「ふむ素晴らしい」
「またお風呂問題ですが、これももう最初からカーナ様に相談したところ、サッと数個小さな穴の開いた麻袋を上に吊るしてお湯を入れることで解決となりました」
カラスの寝床にしている、旧アンジェラ邸の地下室の改装もそうだが。
聞けば聞くほど、あいつはメイドっぽくないな。
「あいつ凄いな…。っていうか、もうほとんどカーナ頼みになってるな」
「はい、やはり昔からマリアンヌ様に付き従っている敬虔な信者は違いますね。職人達も視点が斬新だと感心しておりました」
うむ、ここまでは順調。
ホッと安堵すると同時に、やはりカーナの使い方といい、シグレにこの件を任せて正解だったなと胸を撫で下ろすマリアンヌ。
「ではマリアンヌ様、廊下での立ち話もなんですし、そろそろ」
「いやいやいやいやいや、で、トイレは?」
「え?」
「え?っじゃなくて。いや、トイレは?一番大事と言っておいただろ。シャワーなどはあったら嬉しいが、最悪途中立ち寄る街や着いた先、サンティエールで入ればいい。トイレは?」
急に苦々しい顔をするシグレ。
嫌な予感がするマリアンヌ。
シグレは少しの沈黙後『それですが…』と据わりが悪そうに言葉を濁した。
「集めた職人達やカーナ様をもってしても、ベッドの時のような革新的なアイデアは残念ながら生まれず、なんとかかんとか、こう~納得が出来るような、出来ないような」
「長い前口上はよい、結論は? 大事な事なのだ、早く言え」
「簡易式が完成しました」
「簡易式?」
「はい、これなんですが…」
予めこういう話になると思っていたからであろう、後ろを付いてくるメイドの1人に視線を送るシグレ。
そしてメイドが持ってきたのは子犬ほどの大きさの皮素材の物体だった。
「これは」
まるで乗馬の座る部分、鞍のような形のそれ。
だが明確に鞍と違う部分が存在していた。
まず、座る部分の中心に穴が開いている。
そして…。
おやおや?その先に袋が付いているぞ。
一体これは何だろうね?
あっ、それはそうと今日の夕食はなんだろうな~。
綺麗な無垢な瞳で、それ以上先を考えるのを放棄したマリアンヌにシグレが意を決したように早口で言い始めた。
「で、使い方ですが、まず催したらこちらを局部に押し当て」
「いや!言わなくていい!聞きたくない!使わないし!我慢するから!」
「えっ、ですが…今回の移動ルート、出来る限り野営を防ぐため街に寄っていくルートを選んでおりますが、それでもバ・ラン地方は相当田舎ですので最大では2日は街に寄れませんし、流石に2日は」
「我慢するもん」
「いや、しかし」
「するもん」
「ですが、」
シグレはそこでいったん区切る。
それから言葉を詰まらせ、少し思案。
やがて沈黙が行き詰ると慎重に言葉を選びながらこう続けた。
「…はい、分かりました。では一応念のために今回マリアンヌ様に同行するメイドが決まり次第、全員に使い方を伝え、馬車に乗せておきます。あくまで念のために」
一気に憂鬱な気分に落とされたマリアンヌ、しょんぼりしながら頷いた。
「うん」
今からもう不安が沸き立ってくる。
まだ出立まで日はあるというのに…。
正直、超~行きたくない。
なんで我がこんな目に合わないといけないんだ。。
仕切りなおすように一度咳払いをするマリアンヌ。
「このままでは心が折れてしまうので話を変えよう。シグレ、ランが裏切っている形跡はあったか?」
「今のところは同行させた他2名のカラスの文を見る限りありません」
「それは何よりだ。でもなシグレ、気は抜くなよ」
歩くスピードで美しく流れる銀線の髪に触れながら、目を細めるマリアンヌ。
「常に起こりうる最悪を想定しつつ最良を求めよ。監視役として同行させた2名が裏切る、もしくは既に何かしらの理由で死んでいて、ランが手紙を偽装している可能性も含め、筆圧を含めた筆跡、文字の書き癖、個人が用いる言葉の微少な変化を含めて我の出立まで情報の精査を緩めるな、少しでもおかしな事があったら自分1人で判断せず、すぐ我に伝えろ。我が判断する」
長く続く廊下でシグレに向けて言ったその言葉は、ある種、自分の胸に刻み付けるような言い口であった。
まるで”人は信じない”と。
そして長く続いた直線の角を曲がって
「あとメイドの選抜もお前に一任する、お前が使えると思ったメイドを選んでおけ」
「はい、了解しました。マリアンヌ様について必要な事項は全て引継ぎをしておきます」
「あのマリアンヌ様、メイドは私が選んでおきましょうか?」
急に投げかけられた言葉に飛び退くマリアンヌ。
目の前にいたのは
「うわっ!カーナ!? え…お前、もう屋敷に行って戻ってきたのか?」
「はい、手短に済ませて帰ってきました。それでシグレさんは色々忙しそうですし、私がやりましょうか?」
一切息を乱す事無く『私、基本今暇ですし』という言葉。
おそらく本当にやる事が無いという自負とメイドの先輩たる何処から来たかか分からない自信からだろう。
マリアンヌは身を乗り出すように言ってくるカーナに迷う事無く首を振った。
「いや、お前は引き続き出立まで魔道具の研鑽に励んでおけ。ほら、お前が選んでもアレだし、選ばれた方も選ばれた方でアレだろうから」
「アレ? マリアンヌ様…アレって?」
「マリアンヌ様、メイドの件はすぐに取り掛かりますが、それで私はどうしましょうか?メイドが付き添いOKという事なら私も執事という名目で同行可能の可能性が出てきましたが」
「いや、お前を連れて行きたい気持ちはあるが、後から父上やロキに難癖をつけられては困る。お前は付いてくるな、だが我の出発までは存分に働いてもらうぞ」
「はい、もちろん、私はあなた様の忠実な臣下でございます」
「あの…マリアンヌ様、アレって?」
「お前は気にせんでよい。シグレと打ち合わせした慰問の件に関しても、お前には演技力が無いから最低限しか伝えず黙っていたのだ、だが心配せずともお前の使い道は慰問に出たら嫌ほど出てくる、今は自分の能力を高めれるだけ高めろ」
「いえ、それは別に構わないのですが。1つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「マリアンヌ様の仰った通り、私は今回の件についてほとんど聞かされていなかったので疑問に思ったのですが、ロキ第二皇子の片腕を差し出せば許すという条件。あのような逃げ道を用意してしまってもよろしかったのでしょうか?」
「ほぅ、お前が我に意見かね?」
いたずらっぽい顔を向けるマリアンヌ。
慌ててカーナは首を振った。
「いえ!そんな!私はただ、聞いていて、あのような逃げ道を用意しないほうがマリアンヌ様にとっては良かったのではないかと思っただけで!」
慌てふためくカーナの挙動を楽しむように笑うマリアンヌ。
「冗談だ。う~む、そうだな…。お前の目にはロキが自分の野望の為に腕を犠牲に出来るほどの野心溢れる根性の座った人間に見えるのか?」
「いえ、たぶん嫌がるんじゃないかと」
なんだ、分かってるではないかとマリアンヌは
「嫌がるだろ?そして自分の腕と王位を天秤にかけるだろ?結果として、未練なく王位継承権を捨てれるだろ?さよならロキ。以上」
あー!と目を丸く大きくするカーナ。
「なるほど!ではマリアンヌ様はロキ第二皇子が自分の腕を失いたくないから王位継承権を確実に捨てると思ってあの提案を先んじて仰ったのですね!そこまで読んでらっしゃたなんて」
それを聞いたマリアンヌ、ゆっくりと首を振る。
すると同時に、黒く塗られた唇から、聞いた人間が鳥肌が立つような笑い声が廊下に薄く響いた。
続けて、意味深に告げる。
「馬鹿を言うなカーナ、その程度の思慮が浅い考えが我の計画なわけがないだろう? 我が考えているのはその先の展開だよ」
疑問符を浮かべるカーナ。
なぜだか知らないが、ずっと自分の顔を見てくるマリアンヌ。
「えっと…マリアンヌ様、何か私の顔に付いていますか?」
「いいや、な~んにも。”お前は”知らなくていいから、ただ馬鹿みたいに流れに身を任せておけ。 それはそうとシグレ、聞くのが遅れたが、信心深い其方の目には今日集まっていた人間の中で誰が一番皇帝に相応しく見えた?」
急な問い掛けだったが、シグレは迷う事無く断言した。
「もちろん、マリアンヌ第一皇女様でございます」
「それは何よりだ、まぁ分かってたけど。さて、、では行こうね、諸君」
閲覧ありがとうございました♪
ではまた次回お会いしましょう(ToT)/~~~
皆さん、27日、つまり明後日になるわけですが…何の日だかお分かりになられますか?
ええ、その通りです。。6月27日PM3:00はひとりぼっちの桜、抜歯の日です(>_<)
元々長く歯医者に行かなかったのと、ちょっと奥歯の辺りがズキズキしたので行ったのですが、結論から言うと小さい虫歯は発見されて、痛かったのは奥の使われていない親知らずの歯の周りが炎症しているだけだったので安心したのですが、先生いわく「この奥の親知らずの歯は使われてないし、小さな虫歯を治療する前に抜いたほうが、今後のことを考えるといいですよ」と言われ抜くことに…… (ノ△ ・。)
因みに今までの文章で分かるとおり、ひとりぼっちの桜は歯医者が大嫌いです(涙)
27日PM3:00……地獄です(;´Д⊂)皆さん、よかったら3時頃、空に向かって「頑張れ」と呟いて貰えると嬉しいですw




