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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第7章】 一夜で滅んだ村

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07 3ヶ月前(2)

クリックありがとうございます(^^ゞ嫌いな言葉は「悪名は無名に勝る」こんにちは、ひとりぼっちの桜ですwまぁこんな事ばかり言ってるから私は無名なんでしょうね(笑)


では今回もどうぞお楽しみ下さいませ~♪



【この世には神がいる】


 一番最初に両親から言われた言葉であり、その後も言われ続けた言葉。


 皇帝を絶対のものと考えるこの国において、更に信仰心が高く、皇帝を心から崇拝し、皇族すべてを神の使いとまで考える宗教が存在する。


 その名も皇神教。


 彼の両親は共に熱心な皇神教の信者だった。

 両親共に高位の役職を持ち、多くの信者達から慕われるほどの信徒。

 その両親の元、幼い時から皇神教の教えを覚えこんだシグレ。

 ならば彼が皇神教の敬虔けいけんな信徒となるのは必然だったのだろう。


 彼は小さい頃、爵位を親から譲られる前、騎士学校に通う更に前からミサに通い続けた。

 同世代の子供達と遊ぶ時間より神との対話を優先した。

 し続けた。

 その結果、皇神教の信徒が全員持っている皇族教典は既に丸暗記した。

 一字一句に至るまで心に刻み込んだ。


 誰よりも祈りを捧げた。

 誰よりも皇族の人間を崇拝した。

 そうして親から爵位を譲られた頃、彼は気が付いたら両親よりも高い役職を持った皇神教の信徒になっていた。


 彼は裕福だというのにベッドでは寝ない。

 地べたに布団をひいて寝る。

 理由は枕元、目線上にある神棚かみだな、そこに置いてある初代皇帝の像、膝丈ほどの大きさのそれ。教会に置かれている等身大の物よりもかなり小さいが、それでも皇帝の像には変わりない。ベッドを置いてそこに寝てしまうと、起きたときなど、もしかしたら神棚に置いてある像よりも目線が高くなってしまう。


 それを防ぐために。

 それだけの為。

 だが、それが重要なことなのだ。


 貴族街にある豪華な実家はずいぶん前、自分が両親よりも皇神教内で位が上位になった時に出た。

 皇神教内において高位な人間は下のくらいの人間を導く義務が生じる。

 導く人間が親とはいえ、下位の人間に対して敬うような事があってはならない。

 ならばそれはイコールあの家には居れない事を意味する。


 だから出た。

 これも重要な事。


 そしてシグレが新居に選んだのは城下町の外れも外れ、ボロい一軒家だった。

 金は潤沢じゅんたくにある。

 しかし皇神教の身にあって贅沢を謳歌おうかするなど彼の崇高な信仰心が許さなかった。


 全ては彼にとって必要な事。

 しゅはいつでも見ておられるのだから…。



 毎日の祈りを欠かかす事無かれ。

 この命があるのは皇族の方々のおかげ。


 彼はそう呟きながら眠る前に膝を突き、口付けをするように頭を地面に付ける。

 そして言った。


「神よ、ようやく私はあなた様に辿り着くことが出来ました。転生されたあなたと同じ時代に生きる許可をお与えくださったご慈悲じひに心からの感謝を」



【この世には神がいる】


 一番最初に両親から言われた言葉であり、その後も言われ続けた言葉。


 そしてこの世の ”真実 ”だ。



              ×         ×



 その日の彼はいつもと同じく部屋の壁に書かれた皇族教典の文字を見ながら起きた。

 薄く差し込む光に寝不足気味の目をこする。


「もう朝なのか、昨夜はほとんど眠れなかった」


 昨夜遅くに神へ手紙を出した。

 心を込めて、何度も何度も書き直した愛のこもった忠誠の手紙。


「今、時間は…8時か」


 おそらく届いていればそろそろマリアンヌ様が手紙をご覧になっている頃合だろう。


 神はあれを読んでいったいどんな感想を持たれただろう?

 私の忠義を喜んで頂けただろうか?

 それとも私が神の出生の真実を知ってしまった事を驚かれるだろうか?


「そもそも私如きが手紙を送ってよかったのだろうか?」


 現在、皇神教の中で自分の役職は上から数えて2つ目、自分より高い役職がまだ1つもある。

 上の人間がいるにも関わらず、自分が代表のような素振りで書いている文。

 改めて考えると、これは失礼に当たるのではないか?非常識だったか?

 自分の知った秘密を上の者に伝え、自分はマリアンヌ様との橋渡しに徹するべきだったのか?


 いや、しかし自分ほど皇神教の教えに忠実な人間はいない。

 役職に関しても、あと数年もすれば自分がトップの地位に居るだろう。

 それにこのような秘密をおいそれと人に言ってしまうわけにはいかない。


 今でも思い出す。

 あの内容を知った時、自分の崇高な信仰心が汚されたようで、屈辱と憤怒が自分の中から押し寄せてきたことを…。


 抑え切れない怒りは手に伝わり拳が強く握られた。


「やはり許せない。そしてこの事は自分の口で伝えなければ」


 しかし悶々(もんもん)と色々な事を考えていると不安が込み上がってきた。


「だがアレに関しては時期尚早じきしょうそうだったかもしれない」


 秘密を伝えるだけなら『付き従う』などという言葉を手紙で用いる必要は無い。

 付き従うのはもっと己自身を高めてからでないと、神へ付き従う信徒としては不十分。


 だがメイトル初代皇帝陛下は私に仰った『付き従え』と。ならばその勅命ちょくめいを受け、理由無く無下むげに引き伸ばすことは悪だ。

 大丈夫、私が仕えるべきお方はマリアンヌ様をおいて他にはいない、神も私の愛を理解してくれるはずだ。


「大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫」


 壁一面、天井に至るまで所狭ところせましと広がるの黒色の文字。

 その全てが皇族教典に書かれている忠誠の文言。

 病的に思えるほどのそれらであったが、シグレはその文字を見ていると不思議と心が引き締まる思いになる。

 どんな不安な状況だろうが、壁という壁に自分で書いた文字を見ると心が落ち着いた。


「さて、もう起きよう。朝ダラダラとしていてはマリアンヌ様に笑われてしまう」


 顔を洗い、歯を磨く、鏡に映った細い顔はいつも通り愛想は微塵も感じられない。

 見慣れた固い表情だったが、今日はいつもより少し緊張しているように見えた。


「私も緊張するんだな」


 既に30代半ば、同僚であるヒナタ、アプリは所帯しょたいを持っている。

 しかし自分がそれを欲しているかと問われると否と答えるだろう。

 炊事洗濯、全て人よりこなせる自信がある。

 以前の家でもメイドすら必要だと思ったことは無い。

 大抵自分でやってきた、その方が円滑に事が進むから。

 では寂しくないのか?と問われればそれは信仰するべき神が居るか居ないかの違いだと笑ってしまう。


 そんな事を思いながらも彼は寝巻きを着替え、ピシッと仕立てられたシャツに袖を通す。

 もちろん仕立てたのは自分自身。

 そして朝食を手早く作り終えるとトースト、サラダ、スクランブルエッグを胃の中へ。


「今朝の体たらく、こんな事では神の従順な信徒ととして示しが付かない、今日の朝の祈りは倍にしよう」


 そして彼はまた日課の祈りを始めた。



 ダイアル城塞の戦い以降、ムンガル部隊には目ぼしい任務は与えられていない。

 おそらくダイアル城塞を攻略したムンガル部隊への慰労いろうの意味合いもあるのだろう。

 だが、それはいらぬ配慮だと言わざるおえない。

 なぜなら我々(われわれ)ムンガル部隊は実際は何もしていない。

 したのは神。


 マリアンヌ第一皇女殿下。


 あの方がたった1人で奇跡を起こされた。

 あの方こそ有限実行、理想を現実にすることが出来る存在。



 祈り終えたのは12時近くだった。


「今日の昼は外で食べよう」


 料理は得意だった、しかも材料は昨日買ってある。

 でも今はそれよりも外の空気を吸いたかった。

 そう思い、外に出る仕度したくを手早く済ませると昼食を食べるため外に出ようとした。

 まさにその時、ドアを叩く音が室内に響き渡った。


「ん?誰だろう?」


 1人暮らしの自分を尋ねてくる人間など誰も居なかったシグレは、急な来訪者にいぶかしむ。

 遥か昔、戦勝記念という名目で同期のヒナタとアプリが来た事があるが、あの2人も部屋に入るや否や部屋広がる文字を見て「用が出来たから帰る」と言って、それからは誰も来ていない。


「はい、どなたですか?」


 ドアを開ける。

 ドアの前に立っていたのは赤い髪のメイドだった。


「あなたは」


 名前は確か…カーナ。

 ファゴット際でラムゼスを倒したとうわさになっている女。

 試合自体観ていないので本当かどうかは知らないが、本当なのだとしたら、あのラムゼスに勝ったというのは大したものだ。

 流石はマリアンヌ様のお気に入り。

 だが話ではラムゼスに大怪我を負わされたはず。


 目の前の彼女はとても手傷を負っているようには見えない。

 やはりガセか?


「確か、カーナさんでしたね?私に何か用ですか」


 無言で頷くと彼女は言った。


「マリアンヌ様があなたにお会いになるそうです。午後3時、グラムズ大聖堂に来てください」

「っ!?」


 心が震え、まるで頭に落雷が落ちたような衝撃だった。


 まさかこんなに早く返答を頂けるとは思ってもいなかった。

 これは私の愛の大きさ、信仰心が神に通じたに違いない!

 しかも指定された場所は我ら皇神教が集まってミサを行うグラムズ大聖堂、神は理解されているのだ!私の気持ちを!愛の大きさを!


 しかし、いつまでも感動に打ちひしがれて言葉に詰まっているのは相手に対して失礼に値する。

 このメイドはマリアンヌ様の使いで今日ココに来ているだから。


 だからこそ胸の内に生じた動揺を必死に鎮めながら了解の返答をしようとした

 が。


「そのご命令あり―」

「では1分、1秒、決して遅れないで下さいね」


 こちらの返答を最後まで聞く事も無く、用件だけ伝え終わると彼女は足早に去ってしまった。

 その背中を見送りながらシグレは呟く。


「カーナという女、こちらの返答を聞かずに帰ったな。皇族の方からのお達しを断る不忠物ふちゅうものなどこの国にはいないが、それでも普通はこちらの返答を聞いてから帰るものだと思うのだが…。まったく、これだから最近のメイドは」


 シグレは溜め息混じりにそう言い終わると、颯爽さっそうと肩ほどの長さの黒髪を1つに束ね、改めて昼食を食べに外に行くためにドアに手をかけるのであった。



閲覧ありがとうございました(_ _ )今回【この世には神がいる】という一文ですが、シグレのモノローグ冒頭に置くかラストに置くか悩んでおりましたが、その時「悩んでるならyou両方に入れちゃえばいいじゃない!」と思って両方に入れてみたらかなり良くなったので小説というのは『二兎追うものは一兎をも得ず』という言葉が採用されるわけじゃないんだな、と思いました^m^


ではまた次回お会いしましょう(^.^)/~~




パワプロ・サクセススペシャル。遂に2周年イベントが始まりました(^^)榎下舞那美が実装、、はどうでもいいとして(笑)正直、何がどう強いのか全く分からないキャラなのでwそしてなぜ2周年でこいつなのか?レベルなのでw

ただ!ただですよ(*t*)!50連まで回した時に貰える選択チケット、この選択キャラの中に「太刀川サンタバージョン」がいるのですよ(◎o◎)!この強キャラが貰える日が来るとは!……サン太刀難民の私としてはこれは引くしかない、例えガチャの内容はアレだったとしてもww

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