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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第7章】 一夜で滅んだ村

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138/392

06 3ヶ月前(1)

クリックありがとうございます(^^♪前回アップ後、急遽この3ヶ月前というお話をここに持ってこようと思ったひとりぼっちの桜ですwせっかくストック作ったのにねwでも仕方ない、そっちの方が美しいと思ってしまったのだから(つ_<)

しかも本当は今回5ページぐらいの予定でしたが、気が付いたら8ページ6千文字オーバー、、読みが甘いなぁ~私(笑)


では今回のお話もどうぞお楽しみ下さいませ~♪



 ある日、一通の手紙が届いた。



【突然のお手紙申し訳ございません。私の名はシグレ・ライムストーン、先日のダイアル城塞の一件で助けていただいたムンガル・クラウンの部下の1人でございます。ダイアル城塞の一件ありがとうございました、私どもムンガル部隊は今後の人生、マリアンヌ様への生涯の忠誠を誓う次第でございます。そして早速本題ですが、この度、主であるマリアンヌ様に不躾ぶしつけにも手紙を送ろうと決意したのは、他でもありません、私が国家を揺るがす事実を知ってしまった為であります。悪辣あくらつな男の所業しょぎょう、どなたに伝えるか悩んでおりましたが…、つい先日、私は天啓てんけいとも思える声を聞いたのです、そのお方は私が日課にしている、朝のミサの最中、祈りを捧げている時に天から光と共に降り注ぐようにして現れると、私にこう名乗りました「私はプルート初代皇帝、メイトル・ディ・ファンデシベルだ」、と。そして自分は今、マリアンヌ皇女殿下に転生しているのだと。この瞬間こそ私の愛が遂に神へと届いた瞬間でした。神のお告げを聞くことが出来たのです。最後にメイトル初代皇帝陛下はおっしゃられました「今後の人生、私につき従うように。と」私は感涙かんるいし、頷く事だけしか出来ませんでした、そして確信いたしました、ダイアル城塞の一件以降、私の中のモヤモヤと視界を遮っていた霧が晴れたのです。そうです、私が本当に付き従うべき方がどなたかという事にやっと気付く事が出来たのです。これほどの喜び、感動、全てはマリアンヌ様のおかげで体験できた事でございます。ですので是非とも直接会ってお伝えしたい事があり、お忙しいとは思いますが、どうかお時間を作っていただきとうございます】


「………」


 そっと手紙を閉じる。

 そしてマリアンヌは椅子に体重を預けたまま、、


「マリアンヌ様、急に頭を押さえられてどうかされたのですか?」

「胃もたれのする文章にめまいがしてな」

「今持たれているそのお手紙ですか?」

「うむ、しかも数回読んだのだが、所々、意味不明すぎて最終的に内容がうまく入ってこなくて、どうしたらいいものかと思案しているのだ」

「それって先ほど届いたやつですよね?」

「ああ、ムンガルの部下であるシグレという男からだ。カーナ読んでみるか?」

「あ、はい」


 先ほどまで窓を拭いていたカーナ。

 受け取った手紙を立ったまま読み、1分経過。

 一瞬、言葉を失ったように目をパチクリさせる。


「んん~? え~と、スイマセン、私の頭ではとどのつまり何を言いたいのか1回では分からなかったので、もう1度だけ読んでみてもいいですか?」

「うん、やっぱり初回はそうなるよな。われもそうなった」


 目を凝らすようにしてもう一度読むカーナ。

 先ほどよりもしっかりと3分ほどかけてじっくりと。


 そして読み終わった頃、不思議な現象が自分の身体に起こり始めた事に気づいた。

 じわりと汗がにじんで、変な寒気に襲われ、自身の腕を見てみると鳥肌が出現。

 身体全身をむしりたくなった。


「なんと言いますか、、気持ち悪いですね、読めば読むほどに。あと、とりあえず、異常なほどにマリアンヌ様に会いたいんではないでしょうか?」

「うん、それは十二分じゅうにぶんなほど伝わってはきて、だいぶキモいんだけど。そして1つ確かに言えることがあるなら、この男は神秘妄想壁を悪化させて幻聴げんちょうの症状が出ている」

「天から光がどうとやらみたいな事書いてありましたもんね」

「それはただの見間違えだろ、前文にミサの最中と書いてある。カーナよ、もっとよく読んでみろ」


 そう言うと彼女は沈んだ面持おももちで呟いた。


「これを、、ですか」


 眉をひそめるカーナ。

 理由は何となく分かる。


「…いや、まぁお前の言いたいことは分かるけど、ここまで狂気を感じる文章も中々無いし、貴重な経験だと思うぞ。まぁ、ちょっと話が脱線してしまったが、それで話を戻すとだな、ミサの最中という事はおそらくそこは教会か何かだろう。教会なら天井にステンドグラスがある可能性が高い、降り注いでくる光も幻想的だろう、そしてそこには祭壇さいだんがあって祈りを捧げるための象徴たる何かがあるはず、具体的にはわれの先祖である初代プルートの皇帝の実物大の像。幻想的な光の背後に自分が崇めている存在が見えた、これで幻覚の説明は出来る」

「な、なるほど、流石はマリアンヌ様。では声は?」

「そう、それだよカーナ君。この男は祈りを捧げている時に聴こえたと言っている、それがまったくもって説明が出来んのだ」

「小鳥か何かの鳴き声でしょうか?」

「鳥が人の言葉を喋るのか?そして言うのか?われが初代皇帝の生まれ変わりだと?ありえん」

「じゃあこの人は」

「もうダメだな、きっと手遅れだ。ムンガルに教えてやろう、お前の部下は精神が病んでいる、と」

「ええ、是非とも言ってやりましょう。あっ!因みに私はですが、この一文だけは決してありえないと思いましたね!」

「何だ急に?」


 思い出したように急に憤慨ふんがいし始めたカーナに疑問符を浮かべるマリアンヌ。

 カーナは手紙の一部を見えるようにこっちに向けてくると「ココです!ココ!」と指差した。


「このマリアンヌ様が生まれ変わりという一文、ここが私としては絶対納得できません!マリアンヌ様はそんなどこぞのおっさんの生まれ変わりでなく、神そのものなんです!この腐敗した世界に降り立った神聖不可侵な絶対神なんです!」

「お前も大概たいがいアレだよね。まぁわれも自分で神って言ってるわけだから否定はしないんだけど…何ていうか、お前ら2人のトーンはマジ過ぎるというか。それにわれは忙しいから国家の一大事と言われても困るのだ、既にファゴット際から1週間経過した。父である皇帝の性格を考えるとそろそろ何か行動を起こしていてもおかしくは無い。でも何をしてくるのか分からない、恐怖だ」


 う~ん、再び考え事を始めるマリアンヌ。

 しかし、どれだけ考えようにも情報が少なすぎて、さすがのマリアンヌでも分析するだけの要素が無かった。

 気分を変えるように再び手紙に目をやる。


「因みにだが、このユニークな手紙の差出人、シグレというのはどういう男なんだ?性格は?ダイアル城塞の時の事を思い出そうにも、そんなユーモア溢れた奴なんて居なかったと思うのだが…いや、もしかしたら居たのを気付かなかっただけの可能性もあるのだが」


 マリアンヌの中のダイアル城塞の思い出の大部分は”空腹”で埋め尽くされていて、人物まではパッと出てこなかった。


 カーナは急ぎバックから1つの巻物を取り出した。

 そしてそれを開く。

 丸められた皮製のカバーの中から出てきたのは数十枚の紙の束。


「以前、ダイアル城塞攻略後にマリアンヌ様のご命令で、ムンガル卿に提出させた部下の一覧にはシグレ・ライムストーンなる人物は…」


 束から1枚の紙を見つけ出すとカーナは言った。


「真面目と、書いてます」

「うん、それで」

「い、以上です」

「は?それだけ?」

「あとは、、特には見当たりません。経歴とかは書いてありますけど」

「別に今は経歴とかいいから。性格について記載しろと伝わっていないのか?」

「いえ!確かに私は伝えました!特に爵位を持っている人間3人、上官クラスについては性格は絶対に記載しろと伝えました!」

「ってことは、あいつ、部下の何を見てきたんだ?よくその理解度で戦いに勝利してきたな。 チッ、仕方ない…少し頭の体操がてら自力で手紙からシグレという人物を読み取るか」


 一度頭を強く振って無駄な思考をリセットするマリアンヌ。

 まずは手から伝わる触感しょっかんで手紙の材質を確認、次に顔を近づけて匂いをかぐ。


「この手紙に使われている材質、われに送る物としては合格ラインだ、素晴らしい、最上級な物を使っている。書くのに使ったインクも…(クンクン)同じく最上級。つまり手紙の外枠から分かったことは、このシグレという男は金銭面において裕福だという事ぐらいか」

「お話の腰を折って申し訳無いのですが、別に爵位を持っていなくても1枚ぐらいは高価な手紙を持っていたのではないですか?それをマリアンヌ様へ送る手紙に使用したとか」

「手紙全体から書き直した後が見当たらない、下書きをした形跡もなし、つまり1回で書ききってる。この文字数を1回で書ききる、中々に難しい作業だな。数回、いや数十回はミスして捨てている手紙があるはず。価格なんぞわれは知らんがこのランクの手紙はかなり高いはず、それを湯水の如く使い捨てる、金に不自由はしてそうにはみえないな…まぁ、そもそも爵位を持っているのだから、あまりの浪費家で無い限りは当たり前と言えば当たり前の分析だがな。さてと、ではここからが本番だぞカーナ」


 食い入るように手紙に視線を落とすマリアンヌ。

 先ほどよりも目は見開かれ、大きな瞳が手紙の文字をせわしなく這いずり回る。


 …………

 ………

 ……


 いつもより時間がかかっていた。

 しばしの沈黙、カーナが尋ねた。


「マリアンヌ様、いかがですか?何か分かりましたか?」

「難しいな。なんと言ってもこれは何枚も書いた内の1枚、言わば成功した1枚だ。人で言うのなら上手く嘘がつけた瞬間を切り取ったようなもの。普段書いている文字ならいざ知らず、この程度の情報量で何処どこまでシグレという男に近づけるか…フフフ、だがそれぐらいの難易度の方が面白いというものだよ、カーナ」

「なるほど、流石はマリアンヌ様!乗り越える壁の高さを物ともしないとは!これこそ皇帝の器ですね!」

「一々当たり前のことを言わんでもよい。で、色々分かってきたので言うとだな…まずこの文章全体の支離滅裂しりめつれつさから伝わって来るイメージは信仰心の高さ、病的なまでの思い込みの激しさから来る、狂信性。つまり狂信者だ」


 力強く頷くカーナ。


「私もそう思います。全くって気持ち悪いレベルですね」


 マリアンヌは思った。


 お前もな。


「まぁ、そんな事はこれを見た人間が誰でも分かる事なので一々(いちいち)言う必要もない。で、だ。われたばかろうとしている、変わった人間を演じてわれの興味を引こうとしている、という可能性を考えたのだが、それはたぶん無いと思う。理由は騙したり興味を引こうとするなら、もっと上手い文章を普通は書くからな。少なくとも数回読み込まないと頭に入ってこない文章を書くことは無い。それに何回も書き直したにも関わらず、われが初代皇帝の生まれ変わりという箇所、あと初代皇帝から天啓を得た箇所、他の箇所より筆圧が上がってる。感情が抑えきれていない、つまり真実に思っていて、コイツはマジで気持ちのたけを書ききっているわけだ」


 そしてここからが自分の本気と言わんばかりにマリアンヌは首を大きく一周巡らせた。


「この手紙は文字でビッシリと埋め尽くされる、まるで文字数を計算され尽くしたように余白を使いきっている。ここから分かること、几帳面、完璧主義者。字は綺麗で癖がほとんど見られない、まるでお手本のような字だな。だがこれに関してはわれに送るのだから当たり前なので参考にはならない。しかし罫線けいせんも引かれない真っ白な便箋びんせんだというのに、まるで測ったかのように乱れる事無く等間隔とうかんかくで揃われている文字たち、これに関してはわれに送るものだからで片付けるには少々無理があるな。下書き無しで、等間隔でこの文字数、妥協した後が無いのは、先に言った完璧主義者の特徴と考えていいだろう、そしてそれは同時に最後までやりきる、徹しきるという意志の固さを表している。国を揺るがす一大事を知って、黙殺するでもなく即誰かに知らせようと考える辺り、上官であるムンガルと近い潔癖症の気もあるかもしれん」


 長く続いた捲くし立てるような推理、カーナは思わず賞賛の声をあげる。


「流石はマリアンヌ様、何て言うか…相変わらず凄いですね。こんなクソみたいな文章だけからそこまで分かるなんて」

「そうか?こんなの普通だろ。で、以上の事からシグレなる人物の性格は、神経質、一度思い込んだら信じ込み揺るがない、信仰心しんこうしんの塊、完璧主義者、狂信者にはよくいる危ない性格だ。つまり」

「つまり?」

「危ない奴なので直接会うのは控えましょう♪って事だ」


 それを聞いたカーナ。

 嬉しそうに頷く。


「素晴らしいご判断だと思います、マリアンヌ様。こんな気持ち悪いやつに会うことなんか無いですよ!」

「なんだろうな~このシグレという男も、お前だけには言われたくないだろうな」

「ではこの気持ち悪い手紙は焼却処分、シグレとかいう変人には私からお断りしておきます。なんならブチのめして『そんな生まれ変わりなどありえない!神はこの世でマリアンヌ様だた1人だ!』と伝えておきます」

「うむ、一応ムンガルの部下だからほどほどにな……あっ!」

「どうかされましたか?」

「良い事を思いついたぞカーナ!」

「あ、はい」

「やっぱり会おう」


 思わずカーナは叫んだ。


「えぇっ!?」

「1週間経過しても進展しない自分の思考回路に丁度イラついていた所だ。このシグレという愚か者を今日のさ晴らしの相手としようではないか。そして言ってやろう”お前の信仰心などたかが知れている”と。 カーナ、シグレとやらを呼びつけろ『われも是非お前と会いたい』と伝えるのだ」


 急なマリアンヌの心境の変化に付いていけないカーナ。

 目をパチクリさせながら口を開く。


「え~と、本当によろしいのですか?こんな気持ち悪い男に会われて、マリアンヌ様に何か危害を加える可能性もあるかと思いますが」

「たぶん大丈夫だろうが、何かあったらお前が守ればよいだろう」

「り、了解いたしました。必ずや命に代えてもお守りいたします」

「うむ、信頼しているぞ」

「では早速伝えてまいります」

「ああ、だが待て。その前に湯浴ゆあみをする、用意をするようにメイド達に伝えよ」

「え?あ、はい、わかりました。ですが朝と言いますか、つい2時間ほど前に入られたばかりなのにまた湯に入られるのですか?」

「念のために体臭を消しておいた方が…って、なぜわれがお前に対して一々説明をせねばならぬのだ?お前はそのような事を考えずともよい、言われたことだけ淡々とやっておけ」

「あ、はい!申し訳ありません!では全力疾走にてメイド達に湯浴ゆあみの準備をするよう伝えてまいります!マリアンヌ様はすぐにお風呂に入りたいと言っている!と!」

「いや、だから別にそこまで急ぐ必要は無くてだな、普通な感じで……てか、結構元気そうだけど、お前さ~この前の試合で肋骨折れたんじゃなかったけ?」


 振り返るカーナ。

 その立居振舞たちいふるまいに怪我をかばっている様子は皆無。


「はい、お気遣いありがとうございます、マリアンヌ様。ですが、もうほとんどくっ付いているので、どれだけ全力で走っても問題ありません」

「くっ付いたって、まだあれから1週間ぐらいしか経ってないよな?」

「普通1週間あれば、骨はくっ付くものだと思います」

「いやいや!普通は2~3ヶ月かか…もういいや、うん」


 全速力で出て行くカーナの後ろ姿を見ながらマリアンヌは呟いた。


「あいつ人間じゃないな」



閲覧ありがとうございましたm(_ _ )m

ではまた次回お会いしましょう♪




遂に私の大好きな作家さんの新刊が発売されましたね!(ノ*´▽)ノワーイ♪

ひとりぼっちの桜はこの日を指折り数えて待っていたので、今、ゆっくり、じっくり読んでいますが…素晴らしい、素晴らしい出来ですよ!!皆さん!!1年以上待ったかいがあったってもんですwさぁ~今から続きを読もっかな♪(^ω^\)


え?

作者の名前とタイトルですか?

あ~そういえば言って無かったですねw


作者は『師走の翁』先生。タイトルは『円光おじ…』…あ、いや、あの、やっぱり何でもないです ( ^_^;)ハハハ。

皆さん忘れてください。決してAmazonで検索とかしちゃダメですよ。ひとりぼっちの桜との約束だ☆ぞ(*´∀`*)

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