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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第7章】 一夜で滅んだ村

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05 隠された口元

クリックありがとうございます(^v^)オーバーロード2期が終わって絶望に打ちひしがれていた最中、ED後に「3期決定!」の文字を見て歓喜したひとりぼっちの桜ですw

いや~7月が楽しみ過ぎで夜しか眠れません(/0 ̄)今度こそ出てきて欲しい、私の大好きなパンドラズアクター♪


では今回のお話もどうぞお楽しみください♪



「バ・ラン地方ですが、我らが最大の敵国である、アトラスの領土内に存在する場所でございます」

「なんだと?」


 いきなりの予想外の説明に目を丸くするマリアンヌ。

 シグレは姿勢を変えず、綺麗な立ち姿のまま説明を続けた。


「元々10年以上内戦が続いていた場所を収めるために我らプルートが無理矢理、アトラスの領土の端に建てた都市なのですが、アトラス領ということもあり周囲の村などとの紛争歴史も長く、現在では3つの村とサンティエールの領主との関係も更に悪化、農作物は一定量来るものの徴収金の集まりが非常に悪く、領主とは一触即発状態。と、言いますか…都市自体も不安定で、先ほどから何度も話に出てくる『ナント』『オート』『トゥール』の3つの村はうわさではありますが、既に完全にアトラスに寝返っているという話もあるほどの場所です」


 少し…いや、かなりよくない情勢だ。

 ジリジリと追い詰められていく状況にマリアンヌの表情が雲がかっていく。


「シグレ、それはもう紛争とかいうレベルでは無いのではないか?」

「はい、因みに先日こちらの大陸と繋いでいた唯一の橋が何者かの手によって破壊されました」

「破壊?……橋って…川か何か渡るのか?」

「ちょっと大きな川、大陸間を分けるヴァルハ川がございます。そして川を渡った先、完全に敵の領土に我らの建てた都市がポツーンと立っているという認識でよろしかと」

「それは四面楚歌的な?」

「はい、その認識で間違いないかと。そしてそれを数日で解決するなど到底不可能かと思われます」


 遂に目に見えて動揺するマリアンヌ。


「因みにシグレ、1つ聞きたいのだが、ロキの行くところ、ロクール地方のアミアン?だったか。 そこはどのような場所なのだ?」

「先ほどロキ第二皇子の仰ったとおり、距離という単純な物差しで言うのであれば、他のご兄弟、マリアンヌ様の行かれる場所に比べても3倍以上の距離があります。ですが…」


 再び言葉を詰まらせるシグレ。

 まだ、何かあるのかと不安そうなマリアンヌ。

 聞きたくは無いが、聞かねばなるまい。話の先を催促する。


「一々、われに気を使って話を止めるな」

「はい。では…これが先にどちらかが紛争を解決出来るかの勝負となれば話は別です。ロキ様が行かれる場所は紛争とは名ばかりの完全なプルート領、紛争ふんそうがあったのも数年前までの話で、そこにいるクルウェイ将軍が全ての反乱分子を討ち取ってからというもの平和そのもの、現在プルートの兵が居るのもプルートに対して不穏な考えを持っている者がいないかという監視活動、正直申し上げますと、、おそらくロキ様は行って帰ってくるだけの…慰問いもんというより観光に近いものになると思われます」

「観光」


 そう口にしたマリアンヌの顔が一瞬「しまった!」という顔になった。ロキにバレないように咄嗟に口元を隠すが、それを長年の遺恨いこんがあるロキが見逃すわけもなく、マリアンヌの「しまった!」という顔やしぐさ、それらがロキの優越感、そしてなによりプライドを取り戻させていく。

 気持ち、身体がスーと軽くなった気すらする。


「もう遅いぞマリアンヌ。既に両大臣や父上様の耳に入った、俺達の勝負は既に公式のものとなったのだ。賭けの内容は覚えているな?逃がさないぞ、クソ妹」


 俯き考え込むように口元を押さえ続けるマリアンヌ。

 だがその手の隙間から覗かせる唇は確実に震えていた。

 そしてその瞬間こそ、ロキにとって完全勝利の瞬間だった。


 今の今まで耐えた口元を一気に緩ませる。

 こぼれ出る笑い声。


「ぐっふふふ」


 ロキは遂に勝ったのだ、あの憎たらしい妹を出し抜いたのだ。

 その充実感から心酔して、醜悪な顔を覗かせた。


「いや~それにしてもシグレだったか?君は何処どこかの愚妹と違って博識はくしきなんだな。先ほどの説明も素晴らしかったし、マリアンヌには勿体無い人材だ」

「恐れ入ります」

「どうだ、マリアンヌが王位継承権から外れたら俺の所に来ないか?俺の右腕として働かしてやるぞ、そうすればこんな無能な人間に仕えるよりは有益な人生を歩めるぞ」


 黙ったままお辞儀をするシグレ。

 主人を気遣っている。


 もはや絶体絶命のマリアンヌ。

 しかし、畳み掛けるように災難は更に降りかかる。

 皇帝は言った。


われからもマリアンヌに対して言わなければならない事がある、本来皇族の外出時にはそれ相応の兵を付けるのがならわしだが…」


 嫌な予感が周囲を包む。


「ただしマリアンヌ、お前だけは別だ。此度こたびの紛争地帯への慰問、ムンガルの兵…いや、プルートの兵を1兵たりとも使うことはまかり通らぬ!お前と、そこの薄汚い赤髪の女だけでやってみせろ」


 あまりの事態に表情を硬く凍らせるマリアンヌ。


「なぜ私だけだけ兵を使うことが許されないのですか?父上、理由をお聞かせ頂きたい」


 その質問をマリアンヌがした時、今までにないぐらいの明確な敵意が皇帝から向けられた。


「なぜ…か。それをわれに聞くかマリアンヌよ」


 静まり返った室内で皇帝の眼光は鋭く燃える。


「アンジェラの一件、よもやと思うがわれが忘れたと思っているのか?われは同時に娘と孫を失ったのだぞ。そしてお前がそこまで傲慢ごうまんに成長したのは、われの教育の責任もある、今回の処置は増長ぞうちょうしたお前の心をしつけるものだと思え」


 その答えを聞いたマリアンヌは下唇を噛み締め、ただ一言こう口にした。


「なるほど」


 その後、黙ったまま顔もうつむかせ、視線を床に彷徨さまよわせるマリアンヌ。

 微かな笑い声が聞こえた。

 そしてまるで公開処刑を楽しむようにロキは歩み寄って来た。


「どうした?元気が無いな、マリアンヌ」

「………」

「何か詫びの言葉でも言ったらどうだ?もしかしたら父上様の気も変わるやもしれんぞ、まぁ変わったところで俺の勝ちは揺るがないがな」

「………」

「ふん、だんまりか! 昔から都合が悪くなったら、逃げる、隠れる、暴れる、本当に腹が立つ第一皇女だな、我が妹マリアンヌよ。だがそれもこれもお前が調子に乗った罰だ、甘んじて受けるんだな」


 因果応報。


 アンジェラの事といい、マリアンヌはやり過ぎたのだ。

 長いプルートの歴史上でも絶対的な権力を持つ現皇帝に対して歯向かい過ぎた。

 ならばこの帰結は当たり前。

 そして終わる、何もかも、彼女の野心を燃やし目指した皇帝への道が。

 マリアンヌという女は皇帝争いから完全にちた。


 そう兄弟たちや皇帝陛下の周りにいる近衛騎士たち、全てがそう思った。


「………」


 一方、神妙な面持おももちで黙り続けるマリアンヌ。

 先ほどから俯き、ずっと手で覆い隠された口元。


 口元……


 その口元は……


 この上ないほど



 笑っていた。



” 計 算 ど お り ”



 なぜならマリアンヌは3ヶ月も前からこの状況を予想していたのだから・・



閲覧ありがとうございましたm(_ _ )m


個人的にはですが、今回のラスト部分、非~常に気に入ってますw

この部分を思いついたのは忘れもしない、入院中、深夜2時ぐらいの事でした・・・

私は4人部屋だったんですけど、向かいの人のいびき声がうるさくて、その日起きちゃったんですね(ノдヽ)それで気分転換に散歩していたんですけど、その時「ピーン゜Д゜`)ノ」と思いついたのがこのラスト部分でした(笑)いびきをかいていたオジサンに感謝ですね♪……って、なんでやねん!(ノ゜д゜)ノ━!!! こっちは寝れんかったちゅーねん!(´Д⊂ヽ・゜・

皆さんに、少しでも気に入ってもらえたなら嬉しいです♪


ではまた次回お会いしましょう(^.^)/~~

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