02 煽り、煽られ、煽られる
クリックありがとうございます(^^)そして……皆さん帰って来たお~(;△;)!ひとりぼっちの桜、復~活!で~す♪(○^д^)ノフッヵ──ツ!!! 何の事を言ってるんだ?と思われている方に関しては、前回の後書きの一部は既に消してしまいましたし、何となくの空気を察して頂ければとw
では”とある場所”にて練りに練った話、その序章どうぞお楽しみくださいませ♪
正面上にそびえ立つ、皇帝の威厳の象徴たる椅子。
そこから扉まで伸びるレッドカーペット、その脇を外れるような窓辺にてマリアンヌは優雅に椅子に座った状態で紅茶を飲んでいた。
椅子はメイドに持ってこさせ、紅茶はシグレに入れさせた。
此度はアップルティー。
「う~む、美味い」
紅茶の香りは人の心を穏やかにさせる。
それを証拠に、これから久しぶりに父に会うというのに、心は凪のように穏やかだ。
そう、とても…とても穏やかだ。
「マリアンヌお姉さま、おはようございます」
「うむ、おはよう」
「お姉さま、おはようございます」
「うむ」
椅子に身体を預けて天井を見ていると年端もいかぬ妹と弟たちが挨拶してきた。
おそらく母親辺りに見繕われたのだろう、自分で選んだのでは無い飾り付けられた衣服を身に纏い、着慣れぬそれらで四苦八苦しながらも挨拶をこなす。
血は繋がってはいないとはいえ、礼儀を弁えている弟、妹には一定程度の可愛さを覚える。
そしてそれらを見ていると数年前の自分を見ているようで微笑ましい気持ちにもなる。
「やぁ~マリアンヌ~、おはよう~」
「ああ?ああ、アールか」
人一倍の貴金属に身に纏い現れた第一王子アール。
腕、首、腰周り、耳に付いたイヤリングに至るまでジャラジャラと。
彼はマリアンヌを見るなり、その温和そうな顔立ちで微笑みかけてきた。
「久しぶりだね~この3ヶ月何をしていたのかな~?」
「お前もそれか」
「お前も?」
「いや、別に何でもない。そうだな…主に自分探しだ、我ぐらいになると自分を探すのにも時間がかかるのだ、3ヶ月ぐらい振り返ると一瞬だったな」
「フッフッフ、マリアンヌはいつも面白いね~。で、そこまでして探していた自分とやらは見つかったのかい?」
「残念ながらまだだな」
「そう~、早く見つかるといいね~あっ、そう言えばさっき廊下が騒がしかったけど~マリアンヌまた何かしたのかい~?」
「なぜ騒がしいイコール我のせいだと思うのだ?我は何もしていないぞ、騒がしかったというのもお前の気のせいだろ」
「本当に~かな~?ま~どうでもいいけど~~」
義兄アールは余所余所しくそう言うと、ニタリと笑い、そのジャラジャラと擦れる金属音を鳴らしながらマリアンヌから離れていった。
するとそれを見計らってシグレがやって来て耳打ちをした。
「マリアンヌ様、そろそろ皇帝陛下が来られる時間かと」
「そうか。流石に実の父とはいえ、このまま座っていては無礼か」
組んだ足をポンと叩き立ち上がるマリアンヌ。
「ではシグレ、椅子を外に。紅茶は…まぁいいだろう、飲み終わるまで片付けるのは待て」
「了解しました」
「さてと」
そろそろ兄弟達、両大臣も出揃った。
時間は刻々と過ぎていく。
あとは父である皇帝を待つのみ。
「いや~今日も実に平和ではないか♪」
「さっきはよくもやってくれたな!マリアンヌ!!」
開口一番の怒号。
それは扉が開く大きな音と共に聞こえた。
そしてロキは入ってくるなり、マリアンヌを見つけると悪意と憎悪に満ちた目を向けてきた。
何事だ!?と目を丸くする他の兄弟や護衛、両大臣たち。
だがすぐロキの言葉の意味を察し、全員の視線がマリアンヌに向けられる。
しかし当のマリアンヌは紅茶のカップを持つ手を揺らす事無く、波風1つたたない笑顔で答えた。
「ロキ、朝から騒々しいぞ」
「ふざけんなよ!このクソ女ぁ!」
怒り狂った足取りで近づいてくるロキ。
一方、マリアンヌはその怒号を聞いて「やれやれ」とでも言うように、大人びた艶のある溜め息を吐いた。
「ロキよ~、そのような汚い言葉遣い、皇族としていかがなものかな~?お前も無能とは言え我と同じく皇帝の座を争うのであれば、その言葉遣いは」
「お前はさっきの事を本気でしらばっくれれると思ってるのか!?」
怒号と共に少しの沈黙が横たわった。
後、マリアンヌはムンガルのいる方、扉あたりにゆっくりと顔を向けた。
「ムンガル、どうやら誤魔化すのは無理ようだ」
ムンガルはこの場における自分の立場を考え、答えることは無かったが、マリアンヌに分かるように大きく頷いた ”でしょうね” と。
「おい!マリアンヌ!こっちを見ろよ!! 俺はな、昔からお前のそういう所が!」
ロキはマリアンヌが言うほど無能では決してなかった。
幼い頃からマリアンヌ同様に帝王学を教え込まれてきた。
時には睡眠時間を削ってまで苦手な学問にも打ち込んできた。
兄弟達の中では唯一、剣の稽古もやってきた。
だがマリアンヌは昔からそんな自分の全てをゴミのように見下す、今まで培った自尊心すらあざ笑う。
そんな彼女、義理の妹は言った。
「あ~もう、お前はグチグチグチグチと五月蝿いな~…あっ!そうだ!」
何かを思いついたのか急に笑顔になるマリアンヌ。
「良い事を考えたぞロキ。お前、我の目覚まし時計にならないか?何を隠そう、お前を蹴った後、非常に我の頭が冴えたのだ!お前には目覚まし時計としての才能があるぞ!なに、毎朝、我に股間を蹴られるだけの簡単なお仕事だ。代償としてお前の子種が息絶えるかもだが・・まぁ、いいじゃないか!どうせ皇帝になれない人間の子だ、生まれてくる価値すらも無いんだから♪ハッハッハ、こんな事を思いつく我は天才だな」
「殺してやる!!」
血管がブチ切れる勢いで怒るロキ。
義理の妹を掴みかかって1発…いや、数初から数十発殴るために猛スピードで詰め寄った。
いつもなら戦闘能力0のマリアンヌ、そこは焦っていただろう。
自分の配下のムンガルたちのいる方へ足を向けていただろう。
ただその時、彼女マリアンヌはその場から動く事無く、ただロキの動きを確認して猫撫で声だけを上げたのだった。
「きゃ~~ぁ~助け~てぇ~カァ~ナ」
もう一歩、もう一掴みでマリアンヌの髪を引っ張れるほど近づいた手。
その時、ロキは瞬きをした。
マリアンヌの猫撫で声が耳に入ってから一度だけ。
そして目蓋を開ける、1秒に満たない動作。
だが目を開けたとき、閉じる前には居なかった、扉の横に居たはずのメイドがそこにいた。
「うわっ!」
無言で自分とマリアンヌの間に立ち塞がる1人のメイド。
視界は遮られ、マリアンヌは見えず。
手首部分をしっかりと掴まれ、動かない腕。
彼女はその炎のような髪同様に怒りのこもった瞳で言った。
「…ロキ第二皇子、マリアンヌ様に何をされるおつもりですか?」
「ひっ!」
そこにあったのは圧倒的なまでの実力差。
まるで血に飢えた猛獣のような目だった。
皇族で何不自由なく育ったロキにとって、その目はたった一睨みで心臓の機能を停止させてしまうような錯覚を覚えるほどであった。
反応すら出来ない速度、多少なりとも剣に覚えがあるロキだからそこ分かる。このメイドの戦闘能力の底すら見えない事に。
額に薄っすらと浮かぶ冷や汗、逆に失われていく血の気。
いつも爽やかさをモットーとする口は、それを忘れ、震えた。
そしてつい出てしまった言葉は
「た!助けてく」
その皇族にあるまじき命乞いの言葉を待たず、カーナの手に少しだけギリリと力が篭った。
「っ!?」
腕の痛みからロキの表情が少しだけ影る。
しかし掴んだといっても普段から鍛錬を積んでいる普通の男性騎士なら、カーナという女の腕力に掴まれた程度、振り払うだけという意味なら造作も無いだろう。
だがそこは皇族の皇子、振り払おうとするも、力強く掴まれた腕はビクともしなかった。
このままでは殺されてしまう!と、恐怖に怯えたロキは腕力ではなく自身の権力を持って大声で言った。
「放せ!下民!俺を誰だと思っている!」
「絶対に放すなよカーナ」
しかしマリアンヌはそれを許さなかった。
即、カーナに命令を追加する。
そして愛おしそうに傷1つ無い自分の手の平をさする。
「よくやったカーナ。あのままだったら正気を失った暴漢に我の柔肌が傷つけられる所だった」
「はい、お褒めの言葉、ありがとうございます」
「くそぉ、お前はさっきまであそこにいたはずなのに」
そう、カーナ・マキシマムなる女は、ついさっきまでムンガルや自分の部下たちとドアの前にいたはずだった。
それが一瞬でここまで移動してきた。
「なぜ」
腕を握ってない方の腕を見ると、窓から差し込む光を受けて、逆の手に持った大振りのナイフがギラリと光った。
ロキは日常からマリアンヌに向けているのと同様の憎悪の篭った目でカーナを睨む。
「魔道具か!」
これが元ラムゼスの魔道具の力であることは、父と同じくファゴット際を毎年楽しみにしているロキには分かった。
しかし、ラムゼスの時は魔道具の発動には破裂音があったはず。。そう考えを巡らせていた中、ドス黒い声質はロキに言った。
「ロキ第二皇子、もしマリアンヌ様に何かされたらあなたを全力で排除します」
「ふ、ふざけるな、メイド風情が!ここを何処だと心得ている!?この由緒ある王の間にて皇族の俺に命令するなど、身分を考えて―」
だが続く言葉を遮るようにマリアンヌが口を挟む。
「カーナ、正当防衛だ、何をしても我が許してやる」
「はい、我が神マリアンヌ様」
「ぐぬぬぬぅぅ、マリアンヌぅ~」
そしてカーナはロイが更なる言葉を差し挟むよりも早く力を込める。
「痛ってぇぇ!わ、分かった!マリアンヌには近づかん!だから放せ!馬鹿!」
「……」
呼びかけに対して無言のカーナ。
ロキはマリアンヌを睨んだ。
「おい!マリアンヌ!」
「仕方ないな~。カーナぁ~、離していてよいぞ」
「はい」
ロキは解放された腕を押さえながらギリッと歯を鳴らしてマリアンヌとカーナを更に鋭く睨みつける。
「お前らよくも…よくも…」
「当たってくるなよロキ、ただの正当防衛だろうが。生まれたての小鹿のようにか弱い我に暴力を振るってくるお前が悪い」
「お前が俺に対して色々言ってくるからだろうが!」
「口で勝てなかったら暴力に訴えるとは、子供かお前は?文句があるなら口か腕力を鍛えなおして来い」
「クソ女がぁぁ」
「ロキ様!大丈夫ですか!」
1テンポ遅れてこちらにやってくるロキの親衛隊たち。
ロキは「遅い!このメイドみたいにもっと早く来い!」と言いたい気持ちを抑え込み、瞳を鋭くする。
「お前らは来なくていい!この場は皇族のみが立っていい場所だ!おいメイド!お前も戻れ!お前のような何処の馬の骨か分からん女が父上様の前に立っていいと思っているのか!」
「……」
「おい!!」
「カーナ戻れ。用があればまた呼ぶ」
「はい、マリアンヌ様」
「いちいち、本~当に、癇に障る女どもが」
対峙するマリアンヌとロキ。
ロキは自身の怒りを静めるように息を長く吐いた。
「マリアンヌ、お前とはこれまで本当に色々あったが、これで終止符としないか?」
「そんな打診をしてくるという事は…そろそろ、お前に死ぬ覚悟が出来たというわけだな?まぁ、お前のような無価値な人間ならそう考えるのも無理は無いか、どれ兄弟のよしみだ、自殺するなら手伝ってやるぞ」
「違うわ!」
なんだ、違うのか…。とあからさまにガックリと肩を落とすマリアンヌ。
ロキは怒りを必死に押さえ込む。
この女と対峙するなら耐える、耐える気持ちが大切だ。
未だ残る腕の痛みに憎しみを覚えつつ、ロキは話を切り出した。
「マリアンヌ、1つ、賭けをしないか」
「賭け?」
閲覧ありがとうございますm(_ _ )m個人的には帰ってきて1話目がこれか…なんて思ってますw
因みに「ストックいっぱい書いたので毎日投稿出来るぞ♪」って思ったのですが、そんな事をしているからいつもストック0なんだ(>t<)と思って踏みとどまりましたwストックの消費は計画的にですね(笑)
ではまた次回のお話でお会いしましょう(@^^)/~~~
帰ってきたら、モンスターハンター・ワールドに「イビルジョー」が追加されてました(T△T)早速倒してみたのですが、挑んだ感想としてはシリーズのいつもの動きがかなり一新されてて面白かったですね(^^♪でも当たり判定が広すぎてノーダメージをモットーとする私にとってはかなりの強敵だったです(^_^;)あと数回挑んで動きに慣れなければ(+`・ o・)ノ"




