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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第7章】 一夜で滅んだ村

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01 嵐の前

クリックありがとうございます(^^)最近「りゅうおうのおしごと!」のシャオちゃんと、どうやったら結婚できるか本気で考えているひとりぼっちの桜ですw


さぁ新章の開幕です!皆さん楽しんでくださいね……えっ、どうしたんですか?皆さん。今回の章のタイトルをジッと見て……ほら、前回言った通り…ハートフルな感じ…でしょ?(;¬_¬);ハハハ

ちょっと待って皆さん!そのボタンはブックマークを外すボタンですよ!落ち着いて!;゜Д゜);まだハートフルを諦めないで!ワンチャンあるかも!ヽ(´ω`;≡;´ω`)丿


では改めて、新章開幕、どうぞお楽しみ下さいませm(_ _ )m



 あのアリーナの1件から3ヶ月あまり。

 マリアンヌは父である皇帝の命を受けて、その用件を聞く為、いずれ自分が座るであろう皇帝の椅子がある謁見の間に向かっていた。


 指紋や汚れ1つ無い窓たちから差し込む光が、謁見の間までの赤い絨毯を優しく照らす。

 まるで天国へと続く道のようだ。


 そこを、ああ~なんという良い天気だろう。なんて事を1ミリも感じさせない低血圧のマリアンヌがそこにいた。

 ゾンビのように両手をうなだらせて・・。


「ぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ眠ぃぃぁ」


 うなだれ、下を向いたまま廊下を真っ直ぐ歩くマリアンヌ。

 前は見ていない。

 見る元気すらも無い。

 まるで絨毯じゅうたんへ呪いをかけているようだ。


 曲がり角に来るたびに歩調を合わせ、横に付いて歩いているカーナが手をそっと引く。


「マリアンヌ様、次は右です」

「………」


 マリアンヌのお供として付いてくるのはカーナ、ムンガル、そしてシグレの3名、あとはメイドが数人。

 彼らは一言も喋らない、マリアンヌが朝弱いのを知っているから。

 そんな彼女達の前に1人の男が現れた。

 男はマリアンヌと同じく、お抱えの騎士やメイドなどといった数人のお供を連れてマリアンヌの行く手を遮る。


「やぁ~3ヶ月振りじゃないか、不出来な妹よ。ずっと自分の屋敷にこもって何をしていたんだ?皇族の集まりにも参加せずに」


 マリアンヌの義兄、ロキ・ディ・ファンデシベル。

 シグレと同じ黒色の髪、でも長さはマリアンヌに匹敵するほどの長髪をなびかせ、下を見つめているマリアンヌに歩み寄ってくる。

 いつもならここでマリアンヌの暴言が来るところだが、今日は不思議と返事が無い。

 ロキは薄い笑みと共に更に続けた。


「そういえばな、マリアンヌ知っていたか? あの3ヶ月前のファゴット際の一件、あれを父上様は大層怒ってらしてな、3ヶ月経った今なお怒りが収まるどころか増え続けているようだ、だからお前がどれだけ雲隠れするように引きこもろうが無駄だったというわけだ!ハッハッハ!」

「…魔だ」

「ん~?何だ?よく聞こえなかったぞ、大きな声でこの優秀な兄にも分かるように言い訳をしてくれよぉ~なぁマリ」


 その瞬間、怒号が廊下に響いた。


「邪魔だ!!われの前を塞ぐな!!!」


 烈火の如く怒り声を上げるマリアンヌ。

 それと同時に黒いヒールのつま先が義兄ロキの股間を蹴り上げた。


「グハっ!?」


 悶絶し、そのまま内股で床に両膝から崩れていくロキ。

 股間への衝撃はすさまじく、ロキは口を金魚のようにパクパクさせる。

 あまりの壮絶な兄弟喧嘩にロキのお抱え騎士達も一瞬呆気に取られたが、すぐに主人の元に駆け寄って来る。


「ロキ様!大丈夫ですか!?」

「マリアンヌ様!何ということを!ロキ様はあなたのお兄様なんですよ!」


 その全ての雑音に、蹴り終わり、重力と共に再び下に流れ落ちる銀色の髪の隙間から覗き込む鋭い目。

 そして殺意の篭った声色でマリアンヌは


「うるさい、邪魔だ、殺すぞ」


 ドスのきいた言葉にロキの護衛たちは皆その目に後ろずさんだ。


「………」


 真っ直ぐと歩けるようになった絨毯。

 これぞ王の通る道だと言わんばかりに再びゾンビのように歩き出すマリアンヌ。

 うつ伏せ気味に倒れこむロキは完全無視、そして少しするとカーナに対して口を開いた。


「ぁぁあぁ~、カーナ今何時だぁ?」

「10時30分になります」

「早っやいなぁぁ、何時集合は何時?」

「11時ですね」

「馬鹿じゃないのか?そんな時間に呼びつけよって…あのジジイ。そもそも老人は朝が早すぎる。早く起きるかどうかは個人の自由だが、それを若者にまで押し付けるのは権力の乱用だ、やめてもらいたい。われが皇帝になったら全ての公務は午後からにしよう、それが良いと思わないか?カーナ」

「はい、それがよろしいかと」

「だよなぁ~、父上は自分の尺度で全ての物事を動かそうとする所があるからな、われの代でそれを正していきたいものだ」


 ロキを蹴ったことで脳が活性化してきたのか、少し口数が増えてきたマリアンヌにムンガルは声をかけてもいいかをカーナに視線で確認を取る。

 黙って頷くカーナ。

 ムンガルはそれを見て口を開いた。

 不安そうな声で。


「マリアンヌ様」

「あ~?何」

「先ほどロキ第2皇子を蹴ったのはよろしかったのですか?マリアンヌ様とロキ様が仲がよろしく無いのは知っておりますが、あのような事をしてしまえば、その…」

「さっきのあれはロキだったのか?」


 素朴な問い掛けにムンガルは目を丸くする、この人考え無しに蹴ったのか!?と。


「えっ?は、はい、もしかして…見ておられなかったのですか?」


 マリアンヌは断言する。


「眠くてイライラしていたから見ていない。とりあえず蹴ったがロキだったか…それは…予定が少し狂うな」

「謝りに戻りますか?まだ時間には余裕がありますが」

「ありえないな、やつに詫びるぐらいなら地べたに頭を打ち付け続けて死んだ方がマシだ」

「ということは…」

「スルーだな。無かったことにしよう」

「出来ますかね?このムンガル、おそらくですがそれは無理かと思いますが」

「大丈夫だろ、アイツ馬鹿だから3歩も歩けば忘れてしまうさ。それはそうと…目が冴えてきたら腹が減ってきたな。お前何か持ってないのか?」

「護衛に必要ないので持っておりません、食べてこられたなかったのですか?」

「お前はわれの話を聞いていたのか?今10時半だぞ。いつ朝食を食べる時間があるというのだ」

「私は普通に食べてきましたけどね」

「ぁ?」

「すいません、何でもありません」


 そんなマリアンヌの空腹。

 タイミングを見計らっていたカーナが『今しかない!』と綺麗に包み紙で包装された物をマリアンヌに差し出した。


「マリアンヌ様、クッキーをお持ちいたしましたが食べられますか?」


 カーナの言葉にチラッと目をやると、マリアンヌはガックリと肩を落とす。


「なんで朝からそんな口の中がボソボソする物を食べねばならんのだ?」

「マリアンヌ様どうぞこれを」


 次に言ってきたのはシグレ。

 彼は護衛役として付いているムンガルと違って騎士の出立いでたちではなく、剣や盾などと縁遠い執事服を着ていた。


「ん?」


 一切執事服を乱す事無く差し出された物。

 それは冷えたガラスのボウルに入った、濃い紫色で小さな粒が集まっている小指大の果実であった。


「おお!ブラックベリーではないか!」

「はい、マリアンヌ様がお好きだと耳にして手に入れてまいりました」


 目を輝かせるマリアンヌ。

 急ぎその1つを掴み上げ、口の中へ。

 すると皮から溢れ出る甘酸っぱい果汁が口の中に広がった。

 マリアンヌは噛み締めるように上を見上げる。


「あ~うまい。すっぱうまい。そして水分が口いっぱいに…朝はこういうのが良い。。しかしこれは確か収穫時期は来月ぐらいからでは?」

「北の地方ではひと月早く収穫時期を迎えるそうで、今朝方、行商人が持っておりましたので買い占めてまいりました。全て冷やしておりますので、必要ならいつでもおっしゃっていただければご用意できます」

「素晴らしい!!シグレ、お前は何と優秀なのだ!お前をわれの手元に置くことにして正解だった!」

「お褒めの言葉、ありがとうございます」


 一連のやり取りを見ていたムンガル、元部下であるシグレの変わりように唖然とした。


「シグレ、少し見ない間にずいぶんマリアンヌ様のお抱えに染まったな」

「はい、ムンガル卿、ここが私の本当に居るべき場所だと実感した次第でございます」

「そ、そうか、それは何よりだ」


 上機嫌になったマリアンヌ、鼻歌混じりに2個目のブラックベリーを掴み取る。


「そう言えばシグレ、メイド長がお前を見て言っておったぞ」


 それに反応したのは、当のシグレではなくメイド長と遺恨いこんがあるカーナであった。


「シグレ卿、きっと嫌みだと思いますよ、どんな言葉が来ても心を強く持ってくださいね、私の経験上あの女は嫌みしか言いませんから」

「そうなのですか?そういう方には見えませんでしたが」

「いえいえ、そういう人なんですよ。ね?マリアンヌ様」


 肩先まで伸び、1つに束ねた黒髪を傾げるシグレにマリアンヌが思い出しながら口を開く。


「え~とな、確か……、皇族に対する礼儀礼節をここまで分かっている人間を見たのは初めてだ。シグレさん、あなたが女だったら自分の跡のメイド長を継がせるならあなたしかいない。だったかな」


 おや?と、首を傾げるカーナ。


「マリアンヌ様、それはあの女の社交辞令とかじゃないですか?」

「本心のように見えたな」

「罵倒は?」

「無い」

「重箱の隅を突っつくような嫌みは?」

「無い」


「あれ?」


「たぶん、お前だけだぞ、それらを連発されてるの」

「嫌がらせでしょうか?マリアンヌ様に仕えている私を羨望した年増の」

「たぶんメイド長にとってお前の存在そのものが嫌がらせなんだろうな」

「マリアンヌ様、それはどういう意味で―」

「マリアンヌ皇女殿下、王の間に着きました。すぐに入りますか?」


 到着した重厚な扉の前で立ち止まるマリアンヌ。

 唇に指を当てる。


「う~む、どうしたものか…、ムンガル、劣悪種どもが既に到着しているか見て来い」

「はっ、了解しました」


 王の間の扉を開け、ムンガルは巨体をドシドシと地面に響かせて王の間に入って行った。

 まるで空気を押し退けるように入っていくな~、などと思いながらもマリアンヌはシグレに視線を戻した。


「そういえばシグレ、お前に持たせた魔道具の調子はどうだ?」

「カーナ様のご助力もあり、使い方が分かってまいりました」

「それはなりより。カーナ、引き続きコツなどを教えてやれ、お前の魔道具とは性質は異なるが魔道具を持つ先輩として教えれることも多かろう」


 そう言われてカーナが「了解しました」と言おうとしたその時、直ぐ横の曲がり角から声が発せられた。


「ママ、さっきの髪の長い男、あれ殺す?」


 急な問い掛け。

 聞き取りづらいこもったような声に、マリアンヌは声色から人物を特定すると鼻で1つ笑った。

 そして視線を王の間の扉に向けたまま口を開いた。


「シアか…見ていたのか?」

「うん」

「ふふふ、悪い子だ。お前達には別室で待機するように言っていたのに」

「ごめんなさい、でもちょっとだけ周りを見てみたくて」

「そうか、お前にとっては久しぶりの外だものな。でもやつは殺さなくてもよい。あんな劣悪種でもアレは皇族の端くれだからな、殺してしまってはお前が死罪になってしまう。だがわれを思ってのその気持ちはありがたく受け取っておこう。さぁ、お前は仲間達と待機していろ」

「あんなのは仲間じゃないよ」


 そう言い残して気配が消えた、そして少し遠くの扉が閉まる音が聞こえた。

 急いでカーナが頭を下げる。


「申し訳ありません!私がもっとキツく出ないように言っておくべきでした!」

「よい、よい、気にしなくてもよい♪ 可愛い子供のわがままだ、許してやろう。だが…」


 急激に冷たさを増すマリアンヌの瞳。


「他のやつが勝手な行動をしたら、そいつは見せしめにすぐ殺せ。われめいは絶対だ」

「了解しました」


 再び重厚な扉が開いた。


「マリアンヌ様!見てまいりましたが、まだご兄弟は誰も着ていないようです!」

「そうか、ムンガル、ご苦労。まぁ、たまには先に着いて劣悪種どもを待っていてやるのも悪くないだろう。王たる人間が狭量きょうりょうではいけないからな、大きな心で全てを包み込む優しさを持つ、それが王だ」

「流石ですマリアンヌ様!こころざしが高い!!ね?ムンガル卿」

「えっ…お、おう」


 そしてマリアンヌ一行は王の間に入って行った。



閲覧ありがとうございました(*_ _)ペコリ


皆さん、色々驚いたんじゃないでしょうか?「あのファゴット際から3ヶ月、いったい何が!?」みたいな感じでしょうか?

それは次回以降徐々に語られていくので期待していてくださいね~♪



パワプロサクセススペシャルでチケットが貯まったので何気なしに引いてみたら「PSR納見」出ちゃったw 確立は150分の1ぐらい?流石に納見に対して運命を感じています(笑)

しかし問題はどうやってPSR+5を作るか…それが問題だ(-_-;)とりあえず、これから納見のピックアップが来るたびにコツコツ引いていくしかないかなw

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