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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第6章】 3日物語(裏)

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34 3日目 - 午後(16)

クリックありがとうございます(*^_^*)今年はチョコを1千個以上貰ってるひとりぼっちの桜ですwいや~バレンタイン最高ですね♪今、パワプロ・サクセススペシャルでログインするだけでいっぱい貰えて、それで後から豪華商品と交換できて、それで……あれ?おかしいな?嬉しいはずなのに、目から汗が止まらないや(´;ω;`)ウッ


さて、今回は遂にラストです。

どうぞお楽しみ下さい(^^)



「クソ!何なんだよ!ちくしょぉぉがぁぁ!!」


 溜め込んだストレスを爆発させるような叫び。

 カーナが去って少ししてから玄関先まで行ったラムゼスは、クロトを肩で背負うようにして帰ってきた。


「ラムゼス!クロトは大丈夫か!?」

「ああ?大丈夫だよ!こいつ気絶してるだけだった」


 少し乱暴に地面に下ろす。

 するとクロトは幸せそうに眠っていた。

 起きる様子がまるで無い。

 服がちょっと汚れているだけで、眼鏡も綺麗そのもの、ここまでくると清々しさすら感じられる。


「そうか、まぁよかったじゃないか。じゃあ、、重症はファルヴィだけか」


 横たわり白目を剥いているファルヴィ。

 ラムゼスの素人目から見ても重症の度合いは別物。

 今、スレインが応急処置を終えた所だが、現状安心できる要素は無い。

 ラムゼスは不安げに言う。


「大丈夫なのか?」


 スレインは唸るようにして答えた。


「とりあえず、何とかって感じだな」

「アリーナの医者に見せるか?」


 現在、アリーナには皇帝の意向もあり、選手を万全の状態にする為、プルートの名だたる名医はアリーナに集まっている。

 最善手とも思えるラムゼスの案であったが、だがスレインは首を振って否定した。


「医者は俺の知っている闇医者に連れて行く」

「何でわざわざそんな所に?」

「ファルヴィは今回の大会の選手だ、顔も知られすぎている、こんな大怪我で連れて行ったらどんな人間でも理由をかんぐってくる可能性が高い。もし八百長やおちょうが皇帝陛下にバレたら全員死罪は免れない、ファルヴィも同じ立場なら同じ事を言うはずだ」

「俺も付いて行ったほうが?」


 するとラムゼスが言い終わる前にスレインが言葉を挟んだ。


「馬鹿言え!お前にはやらないといけない事があるだろ!俺たちが監視する事は出来なくなったが、お前には勝ってもらわないと全員が困るんだぞ!」

「そ、そうだよな。すまねぇ、ちょっと混乱してた。そういえばクロトはどうする?」

「ほっとこう、夜には起きるだろう。ここに寝かしとく。とりあえず、あの女の魔道具の性質上、試合で大っぴらに使うなんて事は出来ないはずだ。少しでも身体に違和感を感じたら審判にでも言え」

「分かった。でも俺の魔道具が使えたらな…」

「もうそれは忘れろ」


 恨めしそうに自身の魔道具を見ているラムゼスの傍ら、ファルヴィを担ぎ上げる為に包帯や木の棒でしっかりと身体を固定していくスレイン。


「あの女の言動を分析する限り俺たちの事を調べている様子は無い、一方こちらは事前の対策も万全、ファルヴィの秘策もある、現状お前に負ける要素は無い。ラムゼス…勝って来いよ」

「当たり前だ、女だからって手加減なんてしてやるつもりはねぇ。顔面が半壊するぐらいボコッてやる」

「俺は先にここを出るが、ラムゼス、一応、念のために魔道具が使えるかを試しておけ」

「さっき忘れろって言ったじゃねぇかよ」

「俺が言ってるのは頼るなという意味だ、使えるのなら使えた方がいいに決まってる」

「無駄だと思うんだがな」


 そう言うと魔道具を懐から取り出すラムゼス。


「それに、こんなもん無くても、あの程度、ファルヴィとの戦闘を見たが、大した事ない格闘技術だった」

「それは、まぁ…同意見だが。念には念をだ」

「そこまで言うなら、、じゃあ一応やってみるか」

「そうそう、もしかしたら以前のように能力が使えるようになってるかもしれない、そしてそれが運命的に今日かもしれないし。じゃあ後は任せたぞ、俺はファルヴィを医者へ…ん、あれ?」


 さっき居た位置にラムゼスがいなくなっていた。

 目を離したのはファルヴィを担ぎ上げた一瞬だというのに。

 スレインは気配のする方、部屋のすみに顔をやる。

 するとそこにラムゼスは居た。

 唖然とした表情で魔道具のナイフを見ている。


「えっ…お前、なんで?」


 スレインだって、まさか本当にこのタイミングでラムゼスの力が戻るなんて夢にも思ってはいなかった。

 それでも使ってみろと言ったのは、彼の性格、念には念の用心深さからだろう。


 ラムゼスは答えた。


「分かんねぇ、理由は分かんねぇが、、魔道具が…」


 一瞬で移動する、それは魔道具を使った超加速、紛れもなくラムゼスの失った力。


「使えるようになってる」



              ×            ×



 ファゴット際が行われるアリーナ1階、選手控え室の近くにある医務室でカーナは医師の1人に礼儀正しく頭を下げた。


「それでは後はお願いします」

「もちろんです!マリアンヌ第一皇女殿下の関係者の方をむざむざ亡くならせたとあっては、我々医師団の名折れ、私どもにお任せください!」


 先頭にいる男性医師が自信満々にそう言うと後ろに控える医師団も声を揃わせる。


「「「お任せください!」」」


 チラッと並ぶ患者用ベットに目をやるとどのベットも空いていた。

 シワ1つ無いベットの上の白いシーツ。


 まぁ、今日は本戦とその後の私とラムゼスさんの試合しか無いから仕方ないですかね。

 これだけの医者に治療されればこの子も大丈夫でしょう。


「では私はこれで失礼いたします」

「はい、患者の事は我々に任せて、マリアンヌ皇女殿下とこれから執り行われる御前試合をお楽しみください」

「いえ、私はそのアリーナでラムゼスさんと試合をしなければならないので、マリアンヌ様と見るのは無理ですね」


 え!?と、目を丸くする医師集団に別れを告げて、きびすを返し医務室を出た。 

 扉を出てすぐの所に掛けられた時計の針が妙に大きく聞こえるほど静かな廊下、すると、そこにはライオネルが居た。

 緊張の糸が切れ、外開きのドアの邪魔にならないようにポツーンと、膝を抱えて座っている。


 カーナは屈んでライオネルの目線に合わせ。


「ここで診てもらえば、おそらくあなたの姉は大丈夫です」

「あのカーナさん!」

「?」


 なぜ私の名を?

 と思ったカーナであったが、ふと、あのうじ虫共が自分の名を連呼していたことを思い出す。

 そして自身の中で納得する。


「あ~なるほど」

「あ、あの、本当にありがとうございました!」


 カーナは軽く首を振る。


「別にあなたが気にしなくていいです」

「で、でも」

「あなたの父親は私の主たる御方の家臣です、だからあなた方を私は助けた、それだけです。 感謝はあなたの父親からしてもらいますので、あなたは気にしないで結構です」


 素っ気無く、先ほどラムゼスたちと相対あいたいしていた時と同じ、どこまでも事務的な口調だった。


「は、はい。えと、じゃあ、あの試合頑張ってください!わたし応援してます!ラムゼスさんを倒してください!」

「別に私は、あなたや、あなたの姉の為に頑張る訳ではありませんよ」

「でも、応援」

「必要ありません。応援があろうがなかろうが、神がおっしゃられた結果を出す、それだけですので。あなたは姉についていてあげなさい」


 今、わたしがここに居ても仕方ないし。

 もしお姉ちゃんが起きたとしても。

 いや、起きたらわたしは必要ない。

 きっと。


「あの…1つお聞きしてもいいですか?」

「?」


 最初は断ろうと思ったカーナ。

 既に予定していた時間は大きく過ぎている。

 しかしライオネルは大きな瞳を真剣に向けてくる。


 カーナは廊下にかけられた掛け時計をチラリと見た。


「たぶんまだ時間は大丈夫、だいぶ際どいけど」


 そして1つだけならと念押しして、いいですよと頷いた。

 ライオネルはカーナの顔色をうかがうように


「何であなたはそんなに強いんですか?」


 つまらない質問だな、とカーナは思った。

 そして答えた。


「主に才能ですね」

「な、るほど」


 見も蓋もない答え。

 姉に聞いても同じ事を言うだろうか?

 いや、彼女なら努力と答えたかもしれない。


「ですよね」

「はい、昔から戦いに関することなら大抵見ただけで出来てしまっていたので、理由はそれしかないと思います」

「あのっ…じゃあ」


 どうやったら強くなれるのか、その答えは未だ全く見えない。

 わたしのお先は真っ暗です。

 あの時にファルヴィさんたちか逃げた勇気だって、まだわたしの中にあるか疑問がある。

 というか、もうかすんで、わたしの中から遠ざかってしまった感もある。


 だからカーナさんがお姉ちゃんを医務室へ連れて行ったあと、廊下で考えた。


 姉が目覚めたら彼女はこの苦い経験をかてに更に努力を重ねるだろう。

 そしてまた広がるわたしとの差。

 そうなったら、わたしはまた劣等感に苛まれる。


 どうしたらいいの?

 どうしたら?

 もう嫌だ、あの時に戻るのは…。


 そして出した答えを勇気を振り絞って言った。


「じゃあ、わたしをあなたの弟子にしてください!」

「嫌です」

「え」


 手っ取り早く強くなるための策は、脊髄反射レベルの回答で棄却された。

 ライオネルは、姉がラムゼスに頼んだ時を思い出して、ここまで結果が異なるのかと絶望した。


 上手く姉の言い方をトレース出来たはずだったのに…。


「あ、あの、、強くなりたい…的な」

「知りませんよ、あなたが強くなりたいのなら、あなたが頑張るしかありません。私に迷惑をかけずに勝手に強くなればいい」

「方法が…分からないし」

「訓練しかないですね、死ぬ気で頑張ってください」

「それ、時間かかりそうですし…。わたしがもっと強かったらお姉ちゃん守れたし」

「そうですね」

「えっ?」


 その予想外の返答に涙で赤くなった目を丸くしてカーナを見上げた。

 てっきり、重症の姉の事を持ち出したら、可哀相な自分に対して慰める言葉が来ると思っていたから。

 だがカーナはまるで「甘えないでください」と言わんばかりであった。


「あなたがもっと強かったら、もっと強さを持っていたら守れた。では、弱いあなたが悪いんです。今まで努力しなかったあなたが悪いんです」

「は、はい、ごめんなさい!」


 そう言われてしまっては、か弱いライオネルの心は悲鳴を上げるしかない。

 そして黙ってしまった。


 それを見てカーナは一息置いて続ける。


「でもね…」


 そしてカーナはゆっくりとした口調で語り始める。

 先ほど口にした言葉は以前自分がマリアンヌから言われた言葉であったが、しかしその後に続いた言葉はカーナ自身の言葉であった。


「あなたが力を振り絞ってあの裏路地で叫んだから、弱さを認めて助けを呼んだからこそ私が来た。それは昔の私には出来ない、出来なかった事です…。だから『あなた』が救ったんですよ、お姉さんを、胸を張りなさい」


 さてと、と掛け時計に目をやるカーナ。

 最後に「私から出来るアドバイスがあるなら…」と


「あなたが何を本当に悩んでいるか私には分かりません。でも強くなりたいのなら、その心の傷を忘れないことですね、それは強くなるためにあなたが背負える糧となるのですから」

「強いカーナさんもその糧があったんですか?」

「私は…そうですね。私はそれとマリアンヌ様の為に強くなりました」

「マリアンヌ様の為に?」

「人の身で守れる物の数なんてたがか知れている、だから私はあの方だけは守る、命に代えても。この力はその為にあるんです」


 そう言ったカーナは少しだけだが悲しそうな表情を覗かせた。


「では私は行きますね。もう時間が本当にアレなので」

「はい、本当にありがとうございました」


 この人がこんなにも心酔する人、マリアンヌ様。


 アンジェラ第二皇女様を殺した人。

 街では恐い人って噂もある。

 でもわたしの父の命を助けてくれた恩人。

 次の皇帝候補であり、とても綺麗と言われている人。

 城からほとんど出てこないから、わたしは見たことすら無い。


「いったい、どんな人なんだろう」


 立ち去るカーナの後ろ姿を見ながら、ライオネルはそう呟いたのであった。



閲覧ありがとうございましたm(_ _ )m


皆さん、この章の最後のお話はいかがでしたか?

魔道具を使えるようになって勝ちを確信しているラムゼス。ラムゼスに負けるわけがないと思っているカーナ。この2人のその後の戦い、気になった方は3日物語(表)を観てねw


因みに次回がこの章の本当の?最後、裏話になるわけですが・・安心して下さい (@,,=∀=)ゞ皆様が何を見たいか、何を期待しているか、ひとりぼっちの桜、分かっているつもりです♪(読み違えていたらごめんなさいw)

次回は(表)の後のお話を書こうと思っています。詳しく言うと裏話【勝利の余韻】の後ですね。

皆様、次回、遂に……マリアンヌ出てくるで~(笑)

作者としては久々にマリアンヌを描ける喜びもありますが、またあのマリアンヌ節が書けるか、その不安の方が大きかったりしますがwまぁ、そこは努力ですな(^^)

では、また次回お会いしましょう(^^)/~~

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