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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第6章】 3日物語(裏)

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32 3日目 - 午後(14)

クリックありがとうございますm(_ _ )m先日まで行われていたモンスターハンターワールドの第3回ベータテストで、パッケージモンスターである「ネルギガンテ」をライトボウガンでボコボコにしていたひとりぼっちの桜ですw

因みにネルギガンテの動きはもう見切ったので製品版ではカモですよψ(*`ー´)ψ ゥヶヶ

いや~1月26日の発売日が楽しみです♪


今回、本当は5ページぐらいの予定だったのですが、あれよあれよ気が付いたら10ページ超えてましたwどうしてこうなってしまったのか、私自身が分からない(>_<)ただ、書き終わって読み直してみると、結構いい感じだったし、切るのもあれかな~って思って、そのままアップする事にしました(笑)

では今回のお話もどうぞお楽しみ下さいませ♪



 マリアンヌがVIP席でくつろいでいるまさにそんな時間帯。

 いくつもの露天ろてんが並ぶ中央広場から少し離れた貴族街の一画いっかく、そこにカーナがいた。


「ママー、あのメイドさん」

「珍しい髪ね」


 祭りによる周囲の喧騒けんそうも、この赤い髪を見る奇異な視線の数々も、彼女は気にしない。

 何処吹く風とまかり通る。


 歩きながら、ふと上を見上げた。

 今日はとてもいい天気で見上げれば空は何処までも青い。

 見上げるだけでピクニック気分を楽しめるほどの青さ。

 しかし今のカーナにピクニック日和びよりを楽しんでいる余裕は無い。


「急いでマリアンヌ様のお食事を手に入れなければ」


 カーナはファゴット際のアリーナ会場、そこから出るまでに既に買うものを決めていた。

 彼女は険しい表情で言う。


「ムンガル卿には感謝しなければいけませんね、彼の犠牲が無ければ、私が買い物に行った際にスルメを買っていた可能性は十分あった」


 笑顔で私がスルメを持参して、それをマリアンヌ様が嫌な顔で受け取る。

 それも相当嫌な顔で。


「いや、そもそも受け取りもしない可能生の方が高い」


 どんな罵詈雑言が飛んでくるか…

 は、別に気にしませんが。

 そのままマリアンヌ様が食事を取られなくて餓死して死んでしまうかもしれない。


「考えるだけで恐ろしい可能性です。生け贄となったムンガル卿へ、心から感謝しましょう。おかげで買うものが決まった…それに」


 カーナは自身の不安をそのまま口にする。


「今1つ、あの囚人共は信用できない」


 一番信用できないウィノは居ないが、だからといって、今マリアンヌ様の近くに居るカイルとランが信用に足りえると楽観できるわけではない。

 私が離れすぎると勝手な行動をする可能性も…。


 しかしムンガル卿に任せていれば、まず安心だ。

 マリアンヌ様に万が一は無いだろう。


「とはいえ、やはり何かが起こる前に殺しておくべきでしょうか?」


 そうこう呟いているうちに、城下町と貴族街を隔てる壁のようなもの辺りまでやって来た。

 その後も目的地となる場所に向かって、ブツブツと呟きながらひた歩く。

 腕に下げられたのは空のバスケット、この中に入れるべき物を求めて。


 目的地は昔、友人に無理矢理連れてこられて以来のお気に入りとなったお店だ。

 しかしあの一件以来、来てはいない。


 そして貴族街のお店が数多く横並ぶ区画に入った。


 この辺りにある店の特色を一言で言い表すなら、高級志向のあるお店の通り。

 活気と引き換えに上品さが漂い、歴史ある建物が並び立つ。

 そしてカーナはオシャレなオレンジのレンガ仕立ての建物の前で止まる。


「ここに来るのも久しぶりですね」


 店の取っ手を握る。



【ここはお気に入りの場所なの、いい店でしょ?】

【別に食べ物なんて、食べられれば何でもいいだろ】

【あなたは女の子らしさが足らないわ、カーナ】

【うるさいな~アンジェは】



 ふと脳裏をよぎった思い出。

 カーナは入り口で取っ手に手をかけ突っ立ったまま、呟いて、目をぎゅっと閉じ、軽く頭を振って過去の残滓ざんし振り払う。


「くだらない思い出です」


 そして店の取っ手を握りなおした。


 ドアを開けるとドアに備え付けられていた鈴が鳴った。

 耳辺りのいい涼しそうな音と一緒に赤い絨毯じゅうたんを踏みながら店内に一歩足を踏み入れると、そこは紅茶の匂いがふわりと広がり、お菓子の甘い香りが漂う。

 昔の事を思い出し、懐かしくて、少し寂しい香り。


 思わず見回しながらカーナは言う。


「あまり変わっていませんね」


 当たり前だ。

 あれから、そう時間が経過しているわけではないのだから。


 目の前に視線を移す。


 かわいい花飾りがいろどられた白い丸テーブルが数並び、男性の客を寄り付かせないような机、椅子、ファンシーという括りで統一された内装。

 天井からは可愛い花が植えられたプランターが吊り下げられ、生活水準が高くないと、とても手が出ないであろう挑戦的な値段設定の値札の付いたバスケットに入ったパンやビスケット、クッキー、どれも彩り豊かに並んでいる。

 そして受付のレジの下、ガラスのショーケースの中には新作と書かれたクッキーやケーキが入っていた。


「この雰囲気はやはり好きにはなれません」


 するとそれを見計らったかのように店の奥から歓迎するような声がやってきた。


「いらっしゃいませ~♪」


 気さくと気品が織り交ざったような声。

 店の店員であるスタイルの良い若い女性はカーナの顔をみると破顔はがんした。


「あら、カーナちゃんじゃない!久しぶりじゃない!」

「はい、ご無沙汰しております」


 カウンター越しに丁寧に一礼するカーナ。

 店の店員である女性は少しカーナよりも年上。

 彼女は気遣うようにカーナの肩に手を置いた。


「アンジェラ様の一件は驚いたけど、カーナちゃん大丈夫だった?あなた達すごく仲が良かったから心配してたのよ」

「ええ、大丈夫ですよ」


 店員の言葉口を聞いて気付かれないようにホッと息を吐き出すカーナ。


 安心した。

 どうやら事の顛末をそこまで詳しくは知らないようだ。

 どうでもいい過去とはいえ、色々説明するのは面倒だった。


 そう、、自分がアンジェラの首を落としたという”どうでもいい事”を。


 でもいずれこの人にも私のした事を知る日が来るだろう。

 そうなったらここにも来づらくなるな…。


 いや、関係ないか。

 マリアンヌ様がここの味を気に入ったなら、例え店員であるこの人に白い目で見られようが、陰口を言われようが、来なくてはいけない。

 来るべきだ。

 それに私は私のした行動に何の後ろめたさも感じていない。

 マリアンヌ様にあだなす者は、例えそれが神であろうが殺す。

 それが私の生き方だ。


「じゃあ今はアンジェラ様以外の人に仕えているの?」

「まぁ元々、彼女に仕えてはいなかったのですが…はい、今は違う人に仕えています。仕えている方のお名前は大っぴらには言えませんが」


 まぁ、隠したところでどうという事は無いんだろうけど、マリアンヌ様に「言っていい」と言われていないので黙っておこう。


「そうなんだ~、じゃあ今日はその方が食べるものを買いに来たの?」

「はい」


 そう言うと、店員は力強くガッツポーズをした。


「よし!これでうちがその人に気に入られたら、もう一度、皇室お抱え所になれる!お給与もどーんと上がる!」

「は、はぁ、そうですか、それは良かった」

「じゃあカーナちゃん、早速だけど、その方の好みを教えて頂けるかしら?」


 満面の笑みでそう問われて、カーナは考えた。


 マリアンヌ様の好み?

 困った、考えた事が無いぞ。

 いつもお食事の時は優雅に食べておられて、何か言う時は大抵、嫌いな物が出てきた時ぐらいで…。


 カーナはぽんっと、胸の前で手を打つ。


「カエルはお嫌いですよ」


 女性店員は冗談と捉えたのであろう。

 彼女はけらけらと笑った。


「そんなの皇族の人とか以前に、大抵の人はカエルなんて嫌いに決まってるじゃい。まったくカーナちゃんたら~」

「でも味は鶏肉と似てますし、有事ゆうじの際、時と場合によってはアリなのでは?」

「いやいやいや、味が問題じゃなくて~」


 どうやら完全に冗談と受け取られてしまったようだ。

 本当の話なのだが。


「もしも、もしもだよ、本当に皇族の方々にそんな物を食べさせてたら、今頃カーナちゃんは処刑されてるわよ」

「え…あ、そうですよね」


 アレはそこまでの案件だったのか…。


「じゃあ…とりあえずこれなんだけど。1回試食にどうぞ、うちの新作なんだけど」

「ああ、ありがとうございます」


 試食と手渡されたクッキーを口の中へ。

 サクサクとした独特の食感と、甘く、でも少しベリーのすっぱさが口の中に広がった。


「どう?その方はこれ好きそう?」

「美味しいです」

「前から思ってたけど、カーナちゃんって、本当に美味しそうに食べてくれるね。因みにこっちも新作だよ、ケーキだけど一口どうぞ」

「もぐもぐ、美味しいです」

「因みにこっちは」

「美味しいです」

「因みに」

「美味しい」

「因み」

「美味し」


 新作だけではなく、従来の商品に至るまで粗方食べた私。

 1つの結論を出した。


「これ全部下さい」

「えっ!これ全部!?全種類!?」

「ええ、最近気付いたのですが、どちらかを選ぶ状況下では両方選んでおいた方が良い事が多いのです、つまり2兎追って2兎を得るです」


 ドヤ顔で言い切るカーナに、店員の女は生返事のような「ああ…」と言って首を傾げる。


「ちょっと言ってる意味分かんないけど、私が言ってるのはその小さなバスケットに例え2、3個づつだとしても全種類は入らないかもって事よ。ケーキは絶対に無理だし」


 しばし、女性と自身が持っているバスケットを眺める。


 バスケットは生まれたての子犬程度なら入るであろう収納スペースしかない。

 つまりショーケースの中のクッキー全種は無理であることは明白であった。

 因みにケーキなんて論外。


「そこは、ほらっ、押し込むようにすれば入るのでは」


 空のバスケットを押し潰すような動作をするカーナに、店員の女は顔をしかめる。


「カーナちゃん、勤めている所って皇族の方のところよね?」

「はい」

「大量のクッキーを押し込んで、もしもクッキーが割れたらどうするの?」

「そこまで気にする人って、この世にいるんですか?食べられれば一緒では?」

「カーナちゃんって、本当に皇族の人に仕えてるの?」


 そう指摘され次第に素直に頷く事が困難になってきた。

 ならばと、カーナは妥協案を提案する。


「じゃあ、各種1個づつで。クッキーのみで」

「それだと口に合った時に、もう一個みたいな事は出来ないわよ」


 2秒で却下だった。


 2人の言葉の端々(はしばし)に不安が滲み始めた。


「では、え~と、、すいません、そちらで入れ物をお貸しいただくわけには…」

「そりゃ貸したいのは山々だし、こちらとしては光栄だし、別にいいんだけど、、。この店にあるのは貴族の人に提供するための入れ物は有っても、皇族の方に向けた入れ物なんて無いわよ。急に言われても…皇族の方の目に触れてもいいレベルの入れ物なんて」


 背伸びして受付の後ろの棚をゴソゴソとすること数分。

 女性は無念そうに首を振る。


「無いわね」

「因みにこのカゴ」

「バスケットね」

「いえ、バスケットは知ってるんですけど、これ…良い物なんですか?」

「かなり」

「へぇ~」


 知らなかったです、はい。

 適当に城にあった物を拝借してきただけなのだが。


 うなるカーナを尻目に、女性は「じゃあ…」と枕詞まくらことばを付けて言った。


「こっちでオススメを見繕みつくろうか?」

「そうですね、はい。それでお願いします」


 女性店員は腕まくりをすると「よ~し!」と気合を入れて選び始めた。

 それに対してカーナは椅子に座ってただジッと待つのであった。


 数分後。


「はい、どうぞ」


 店員はとても綺麗にバスケットの中にクッキーを入れ終えた。

 あらゆる角度から眺めてみたが、店員の入れ方は芸術性に秀でていて素人目でも美しく見えた。

 思わず感嘆の声を上げるカーナ。


「素晴らしいです!崩れそうで崩れない、安定感と美観の調和です!」

「そ、そお?」

「はい!さすがはプロの仕事です、これならマリアンヌ様もお喜びになられる!」


 今、何か大切な情報をこの店員に対して言ってしまった気がしますが、気にしません。

 ええ、この完成度を見たらマリアンヌ様も喜ばれるに違いない。


 お金を支払い、カーナは頭を深々と下げる。


「では私はこれで」

「あなた、少し見ない間に雰囲気変わったわね」


 帰り際、急にそう言われたカーナ。

 バスケット中身を確認しながら首を傾げる。


「そうですか?」

「以前はそこまで堅苦しい口調じゃなかったじゃない」


 あ~それですか、とカーナは頷く。


「主人のめいで、今後の人生、敬語で喋る事になりましたので」

「人生ってまたまた~。でもカーナちゃん、皇族の専属のエリートメイドだもんね、それぐらいの事はありえるか」


 エリート?

 そんな風に自分を思ったことは無かったが、確かに同期のメイドたちの誰よりも、現在いる私の地位は確実に上だろう。

 ということは、「あなたを見ていると目をおおいたくなる」と馬鹿にされてきたメイド長よりも上。


 ふふふ、気分がいいですね。


「それと前はもっと柔らかな表情をしてたような、、あっごめんね!年頃の女の子にこんな事」


 カーナはニコッと外行きの笑顔で応じた。


「気のせいですよ、私は何も変わってませんよ、昔から」


 己の言葉を自分自身に響かせるように言った。

 それを聞いて女性店員は何かを言おうとしたが、何かを察したのか口をつぐむ。


「そう…だね。うん、私の気のせいだね、また来てね、カーナちゃん」

「はい、それでは失礼いたします」


 店を出る。

 鈴の音を後ろ手にドアを閉めて。


 カーナは店の外に出ると、こぶしを固めて立ち尽くし、数秒間だが顔の向きだけを上へ。

 青空をあおいだ。

 そして、また歩み始める。


「さて、急ぎましょう。マリアンヌ様がお待ちになっておられる」


 広大な領地を誇るプルートではあるが、アンジェラに連れ回された副産物により、この辺り、貴族街周辺の地理はほぼ頭に入っている。

 事前に予定していた時間よりもお店で時間を喰ってしまったため、カーナはショートカットする事にした。


 ………

 ……

 …


「よし、もう少しでアリーナに到着出来ますね」


 人通りが多い大通りを経由するよりも10分は短縮できた、これならマリアンヌ様が試合前にゆっくりと昼食を取ることが可能だろう。


 浮かれる心をなんとか落ち着かせながら、クッキーが割れないように足早に歩を進める。

 そして倉庫が並ぶ辺りにさしかかり、更に足を速めた時だった。


「誰か助けてください!!」


 ピタッと足を止め首だけを脇道へ。

 声が聞こえた先はとても静か、でも確かに静かな違和感を感じる。


「確かこの先は…倉庫街」


 すると続けざまに、くり貫かれた闇から声が響いてきた。


『誰か助けてください!!わたしの名前はライオネル・クラウンです!!ムンガル卿の娘です!!誰か!!!』


 脳内で木霊こだまする声。


 どこかで聞いたファミリーネームだった。

 どこかで聞いたムンガルという名前だった。


 カーナは軽く頭を抱える。


「ムンガル卿の娘がこの先で助けを求めていて、ムンガル卿というのは私の同僚のムンガル卿である可能性が高く、今ムンガル卿は私の代わりにマリアンヌ様を守っていて、ということはムンガル卿は、ムンガルは…」


 通常運転なら聞かなかったことにして、通り過ぎるだろう。

 私にはもっと大切な使命がある。


 しかし…ムンガルの娘。

 娘、娘…か。


「ムンガルの呪だ」


 独り言のようにそう言うと、カーナは足の向きを変えたのであった。



閲覧ありがとうございましたm(_ _"m)ペコリ

次回はクライマックス、さ~て私らしく頑張りマッスル┗(`・ω・´)┛



皆さんお気づきになられましたか?

この小説内で(小説情報とかで)私の名前をクリック出来るようになっている事に(ΦωΦ)ふふふ

以前から何で私だけクリック出来ないのかな~?運営に私が運営を嫌っている事がバレてるからdisられてるのか(・ω´・ ○)?と思っていましたが、やっと真実が分かりました!

自分の情報のページじゃなくて、この小説内の情報ページ『小説情報編集』で下の方に「作者名」って項目があるんですけど、私は今までそこに「ひとりぼっちの桜」と記入してました。まぁ当然ですよねw私の名前ですからね、でもそこを空白にすればよかったんです!どうやら記入すると別名義と捉えられるようですね(><)これに気づいた瞬間「分かるか(#゜Д゜)ドルァ!! 」ってなりましたw

まぁ、これを変更したから何がどうこう変わるわけでは無いのですがね(笑)

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