表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/392

20 3日目 - 午前(2)

クリックありがとうございます(^^)明日…いや、もう今日かw11月12日PM9:00から放送される「シン・ゴジラ」が楽しみで仕方ないひとりぼっちの桜ですw


今回、ダイジェスト+αのつもりが気が付いたら7ページ…うん、まぁ+αの範囲内かな(笑)

ではどうぞご覧くださいませヽ(○´ゝ∀・`○)q



【第一試合ファルヴィVSスレイン】



 まず行われたのはファルヴィさんとスレインさんの試合だった。


 一昨日おととい至近距離で会った人たちが、今まさに大勢の声援を受けているのを目の当りにしてむずがゆさを感じながらも、わたしは視線をリングへと落とす。

 すると、まるでそのタイミングを見計らったかのように、司会の派手な服装の女の人が腕を大きく振り上げた。


「それでは栄えあるファゴット際、決勝戦!第一試合!ファルヴィ卿、対スレイン卿、試合~~開~~始ぃ~~~!!」


 試合開始の銅鑼どらの合図と共にスレインさんの手にした真紅の弓矢がファルヴィさんを襲う。


 まるで流星のような矢の猛攻。

 ファルヴィさんの手にしている三つ又の槍の射程ではその猛攻を正面から受けるわけにはいかなかったのだろう、放たれた瞬間、ファルヴィさんの全力疾走が始まった。

 そして弓から逃れるようにリングの外枠ギリギリを駆る。


 すると先ほどまでファルヴィさんが居た場所に矢が落ちてくる。

 いや、正確に言うと落ちてくるなんて生易しい表現ではなく落下してくると称したほうが適切かもしれない。

 だって…

 放たれた矢の1本が大理石で出来たリングをえぐったのだから。


「うわっ」


 つい変な声を上げてしまった。


 あれがスレインさんの魔道具であることは何となく分かる、分かるけど…。

 矢が石で出来たリングをえぐり取れるものですか?

 あんなのが当たったらファルヴィさん、っていうかどんな人間でも間違いなく木っ端微塵に吹き飛ぶ。


「こわ~」


 その後も恐るべき威力の矢は止まる事無く放たれ続けた。

 そして、その軌道はまるで蛇が狙いを定めて得物を狩りに行くような軌跡をもってスレインさんを追い詰めていく。

 でもリングを駆けるファルヴィさんがただ逃げるてるだけじゃないのは、矢を撃った瞬間の軌道から着地点を割り出している鋭い瞳を見たら明らかだった。


 わたしと同じぐらいの背丈、子供のような小柄な体型には似合わない刺すような視線が常にスレインさんを警戒して離さない。

 リングほぼ中央に居るスレインさんから目を離さず徐々に距離を詰めながら迂回し続ける。

 だがそれよりも早く、ファルヴィさんの逃げ道は目に見えて減っていった。


「これ、ファルヴィさん結構ヤバイな」

「ああ、やっぱり」


 姉の意見に同意する。

 おそらくだけど、スレインさんがわざと逃げ道を作ってあげたのだと思った。

 理由は逃げ道の無い場所まで誘導するため。

 現にスレインさんはファルヴィさんがリングの角に差し掛かった瞬間、弓の軌道とスピードを調整、完全に逃げ道を塞ぐように矢を放った。


 リング端に追い詰められたファルヴィさんに向かって超高速で突っ込んでくる矢の総数は4本。

 正面、右、左、そして上空から回り込むように頭を狙う1本。


 観客席から見ているぶん、逃げ場が無いように見える。

 当たる!と思った。

 でもわたしの予想とは異なり、その後のファルヴィさんの演舞のような槍術はあまりにも見事だった。


 場内に連続して響く金属音。

 先端の三つ又になった刃の部分、持ち手となる自身の身長を超える柄の部分が、地面をも穿うがつ矢の全てを叩き落す。と、同時にここまで防戦一方で近づけなかったファルヴィさんだったが、ここで攻撃に転じた。

 ファルヴィさんは全力で地面を蹴ったのだ。


「はやっ!」


 右手に持った槍を真っ直ぐ敵に向ける。

 向かう先は手にしていた矢が尽き、新たな矢の補充のため矢筒に手を伸ばすスレインさん。

 その速度は今まで逃げ回っていたいのが全力で無いと言わんばかりのスピードだった。


 10mはあったスレインさんとの距離は一気に0へと詰められる。

 そして突き出された爆速の槍。


「シッ!」


 スレインさんはバックステップ。

 だがその挙動を鋭い視線で見ていたファルヴィさん、後ろにジャンプすることを事前に予想していたのだろう。柄の部分中央を持ったまま手の位置を刃物とは逆の方へと一気ずらす。

 この結果バックステップ分の距離を詰めてきた。


「っ!?」


 これはダメだ、わたしは思った。

 これは間違いなく当たる。

 あんなにカッコイイ、スレインさんが負けてしまう。


「これはファルヴィさんの勝ちだな」


 そう、姉が呟いた。


 グイッと前に突き出される槍。

 バックステップではかわせないとさとったスレインさん。

 爆速の槍、剣尖が赤銅のアーマー、その胸元を捉えた!と思った。

 しかし。

 甲高い金属音が響いた。


 スレインさんは腰に差された剣を逆手で抜きさると、力ではなく槍の尖端をピンポイントで切り上げる事によってファルヴィさんの槍の突撃を防いだのだった。


 体勢を大きく崩すファルヴィさん、これでスレインさんはまた距離を取ってファルヴィさんを弓による長距離射撃によって一方的に攻撃することが出来る。

 だがスレインさんの行動はわたしの予想とはまったく違う行動に出た。


 大きく上に切り上げた剣、逆手に持っていた剣を順手にくるりと持ち変えると右足を一歩踏み込み、ファルヴィさんの頭を目掛めがけて振り下ろす。

 それを槍で必死に防御するファルヴィさん、しかしスレインさんの攻撃は続く、剣を振り下ろした勢いそのまま背の矢筒から矢を1本引き抜き、弓を引き絞る。


 ヤバイ!と思ったのだろう、ファルヴィさんは一気に距離を取った。

 ここまで僅か一瞬の攻防。

 たちまち沸き立つような歓声が上がった。

 わたしもわたしで


「かっこいい…」


 まぁ、わたしの賛美は今の一連の動作を焦る素振り1つ見せずにやってのけたスレインさんの外見的なかっこよさを褒めたものだったが、こういった大会をよく見に来ているような常連客や姉までもが歓声を上げるのだ、決勝はやはりレベルが違うという意味事だろう。


 最初こんな乱暴な争い事満載の大会に何の興味も無かったんだけど、修練を重ねたファルヴィさんとスレインさんの動きに気がつくとリングから目を離せなくなっていた。


「ホントに凄い」


 姉じゃないけど、少しだけど胸が高鳴った。

 自分じゃ到底到達できない動きを見たからかな?

 学校で武術をかじった程度のわたしにも分かるぐらい2人の動きは次元が違っていた。

 振り払われる武器が残像となって目に焼きつくほどに。


 でもそんな胸高鳴る時間もそんなに長くは続かなかった。

 ファルヴィさんが矢の猛攻を潜り抜けること数回、遂にスレインさんの矢の残量に底が見えたと見たら、一気に勝負をかけてきたのだ。

 大きく地を蹴り、天高く飛翔する。


「すごいジャンプ力だな~、、、えっ?いやいや!高すぎでしょ!?」


 わたしの目線を軽く近く越えていくファルヴィさん、姉が説明を入れてくる。


「あれがファルヴィさんの魔道具の能力だよ」

「え、ああ、そうなんだ」


 きょかれた形になったスレインさんだったが、焦る素振り1つ見せずに追撃のため最後の矢を手に弓を引きしぼる。


 その一連の動作はこの試合の中で一番といってもいいほどのスムーズな動きだった。

 まるで頭で考えるよりもふだんの修練を身体が覚えていて”勝手に”やったような…。


 流れるような動作から空気を裂くような豪弓が太陽をバックにしたファルヴィさんに放たれる。

 次の瞬間、硬いリングをえぐるような矢が鎧を射抜いた。


「ッ!?」


 砕ける鎧の破片、顔を歪めるファルヴィさん、身体から染み出た真っ赤な体液が宙を舞う。

 誰もが、高速で射た矢がファルヴィさんの身体の中心に突き刺さった…と思った。


 しかし、ファルヴィさんはギリギリで当たる場所をずらしたのだ。

 そして脇腹を貫通した矢、その行方を観客が追うよりも先にファルヴィさんの三つ又の槍が遠心力を加えられて振るわれる。


「うぉぉらぁぁ!!!」

「ぐはっ!」


 普段はスレインさんと同じぐらい冷静そうなファルヴィさんには似つかわしくない、うめき声にも似た声だった。

 スレインさんの鎧がきしむような金属音と火花を散らす。

 そして体格差を物ともしない強烈な1撃をくらったスレインさんは、リング外に吹き飛んでそのまま仰向けに倒れこんだ。


「勝者!ファルヴィ~~アレボトぉぉ~~ル!!」


 勝負が決まった、勝ったのはファルヴィさん。

 座っている座席すら揺らす歓声。

 だがファルヴィさんも深手を負ったためだろう、周囲の歓声に答える事無く、直ぐに担架たんかで医務室に運ばれていった。


 正直、姉には申し訳ないけど、わたし的には優勝はイケメンのスレインさんを押したい気分だったので残念でならなかったです。


「ほらっ!見ろ!オレが言ったとおり、あの人たちは凄いだろ!」


 いつもはわたしよりだいぶ大人に見える彼女がその日は朝から子供のようだった。

 無理矢理腕を回され、引き寄せられる肩が痛い。

 わたしは、わたしの肩を強く握る姉の手を外しながら言った。


「う、うん、そうだね。あのわたしたちと変わらない背のファルヴィさんがあんなに強いなんて思わなかったよ」

「次、ラムゼス師匠が出てくるぞ!」

「え?ああ…そう」


 その場にて横目で確認する。

 その目はキラキラとまるで宝石のように輝いていた。


「ラムゼス師匠もさ…オレと同じでただひたすら越えられない壁に挑戦して1つの目標に向かってた。オレと一緒だったんだ」

「へ?」


 真横で呟かれた言葉。

 わたしはそれを聞いて、自身の耳と、姉の頭を疑った。


 だって…


 何が一緒なの?

 ふざけるな。

 あなたもラムゼスも大した壁なんて今までに無かったでしょ。


 普通の人は壁に立ち向かうことなんて出来ない。

 自分の領分を越えたものを乗り越えられない。


 自分の才能の無さに苦悩して、

 苛立って、

 人をねたんで、

 結局諦める。


 それを越えることが出来たのなら、それはその人に”才能”があったから。

 普通の人とは違うから。

 だって壁を越えようと思うことが出来る、それ事態が才能のある人間にしか許されていない事だから。


 わたしは誰にも聞こえない声で悪態をついた。


「才能のある人間の言う事は違うな」


 と。


「それではこれより第二試合を執り行いたいと思います!ラムゼス卿対、クロト卿、両者の入場です!!皆様、盛大な拍手にてお迎えいただきますようお願い申し上げます!!」



閲覧ありがとうございました(о*_ _)оペコリ~

今回ちょっとページ数がかさんじゃいましたけど、結果的にはいい感じになったかと思います♪皆さん知ってる?今回のこれ、八百長なんだぜw( ⌒⃘ ◞⊖◟ ⌒⃘ )

ではまた次回お会いしましょう(@^^)/~~~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ