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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第6章】 3日物語(裏)

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16 2日目 - 午後(2)

クリックありがとうございます(*^▽^*)大好きな「3月のライオン」のアニメ2期スタートに喜んでいるひとりぼっちの桜ですw


前回5ページと言いましたが今回5ページという名の6ページ(意味不明w)になってしまいました。まぁ完全に6ページなんですけどねw次回は5ペー……いや、守れるか分かんないし言うのやめとこう(笑)

ではどうぞご覧ください(^^



 スレインはおもむろに口を開いた。


「クロトの話を総括するとカーナの武器はおそらく基本はナイフだと思う」

「ははは、元近衛騎士団長の父親の魔道具を扱わせる為に手取り足取り教わってるしね。でも気をつけろよラムゼス、クロトの話によると父親に相当仕込まれてるっぽいから、ほとんどの武器は使えると考えたほうが無難だぜ。因みにオイラなら持っていないように見せかけて色々な物を事前に仕込んでおくな、相手が軽装ならその時は相手の動きに注意をしておきなよ」

「安心しろよ、油断なんかしねぇから。確実に、そして全力であの女に勝ってやる。因みにだけどよクロト…」


 言うべき事が全て言い終わったということだろうか。

 説明が終わって手帳をしまったクロトに視線をチラチラ向けてくるラムゼス。

 クロトは小首を傾げる。


「何?ラムゼス君」

「あの…クロトさん、何かお忘れでは?」


 明日カーナと戦うおのれにとっては何よりも懸案事項、それがまだ全然出てきていない。

 だが伝わっていない、だから更に小首を傾げるしかないクロト。


「え?」

「ほら、カーナがどんな魔道具を使うのかっていう件は…?」


 あ~それね!と大きく手を叩くクロト。


「ごめん、それだけは全く分からなかった。10英雄から奪った魔道具についてはあらかた分かったんだけど、、、だからまこと遺憾いかんながら、明日ラムゼス君は毒殺」

「だから死なねぇーて!油断なんて絶対しねぇから、常にあの女の動きに目を光らせておいてやるよ!不意打ちなんて一発もくらわねぇよ」

「本当に?」


 胡乱うろんな視線を眼鏡の奥から向けるクロトにラムゼスは腕をまくった。

 屈強な顔から想像できない女性のような色白な腕は、強靭な筋肉が纏われていた。


「何なら今やってみろよ」

「じゃあ…」

「ちょっと待て待て!何で魔道具を出そうとしてんだよ!?」

「え?今ラムゼス君がやってみろって」

「いや!いや!いや!お前の魔道具はずるいからダメだろ」


 そもそも「今やってみろ」から「不意打ち」という構図自体がおかしいだろとファルヴィとスレインは2人を眺めながら思った。

 スレインが口を開く。


「まぁラムゼスに関して油断するとは思っていないけど、念のため明日は以前お前が持ってたリーチの長い剣で挑め」

「リーチの長い剣…?俺そんなの持ってたか?持ってな―」


 釈然としないラムゼスの声にクロトは声を重ねた。


「いやいやいや!有っただろう!?ラムゼス君が必要だって言ったから僕がわざわざ作らせたじゃないか!」

「あ~有ったな、そういえば、あのサーベルみたいなやつな」

「あ~有ったな、じゃないだろ!?君は知らないだろうけど、あれを打ったのは皇室御用達の鍛冶屋なんだよ!普通の方法なら半年待ちは当たり前なんだよ!それをたったの1週間足らずで用意した僕の努力をなんだと思ってるんだよ!」

「分かった分かった、悪かったよ。かなり前は使い込んでだけど最近はご無沙汰だったから忘れてただけだよ」


 とぼけるように平謝るラムゼスに更に食ってかかるように言葉を重ねようとするクロト、制止するスレイン。


「まぁ落ち着けクロト、お前のコネを利用した努力は明日実を結ぶんだから。でな、ラムゼス、お前なら大概の武器を使いこなせるだろうからそれで行け、相手が基本ナイフで戦う奴なら近づかせなかったら問題ない」

「カーナが正体不明の魔道具を使ってきたらどうする?剣の間合いじゃ殺られるぞ」

「その時は距離を思いっきり開けろ、それで対処できるだろ」

「なるほどな」


 つまりスレインが言いたい事は、距離を空ければカーナが毒のような魔道具をラムゼスに対して使用した際に不自然な殺し方ないし、倒し方をしてしまう。それだと魔道具を使用したと疑われて皇女殿下側に不利になる。という意味。

 確かにこの対処法なら魔道具は使用しづらいだろう。

 でもこっちも攻撃しづらいな。


「で、ここからはここに来る前にクロトやファルヴィとも話して出た結論なんだが、今回のマリアンヌ皇女殿下がそのナイフを欲したとやっぱり思えない。マリアンヌ皇女殿下の目的はそのナイフ、そう考えて間違いない」

「ちょっと待て、ちゃんと順序だてて説明してくれ」


 マリアンヌ皇女殿下は魔道具を欲していないんだけど、マリアン皇女殿下の目的は魔道具?

 まるでなぞなぞのようだ、意味が分からない。


 ラムゼスは考えが追いつかないと口にする。

 するとスレインは椅子に座りながら額に手を当てがう。

 そして数刻後、考えが纏まると話し始めた。


「マリアンヌ皇女殿下が魔道具を欲していない、それはラムゼスの魔道具、その魔道具に対してどれだけ思い入れがあるかで判断できる。クロトの情報を聞いた限り、どう考えてもマリアンヌ皇女殿下よりカーナのほうがラムゼスの魔道具を欲してる」

「父親の形見だったからだっけ?」

「そう、おそらく今回の御前試合、勝負を持ちかけたのはマリアンヌ皇女殿下ではなくカーナ・マキシマムだ。なぜならそのナイフは皇族であるマリアンヌ皇女殿下にとっては大した価値は無いが、カーナにとっては父親の形見であり、いつか自分の手に取り戻したい大切な物だから」


 ラムゼスは懐に入れた魔道具を取り出す。


「これが大切…ねぇ」


 少し大振りナイフはずっしりと腕に加重を与えてきた。


「俺は忌々(いまいま)しいけどな」

「ナイフを欲したのはカーナ、その構図さえ出来上がれば今までの色々な事がに落ちる。おそらく彼女は10英雄を倒した褒美として皇女殿下に頼み込んだんだろう『あのナイフが欲しい』と、そう考えれば皇族の中でも魔道具に関心の無いマリアンヌ様が魔道具交換を持ち出した理由が納得できる。今思い出してみると、俺たちに魔道具交換を持ちかけてきた時、取って付けたかのように最後に言い出したしな」

「なるほど、じゃあマリアンヌ皇女殿下が褒美の為に」

「まぁ、ついでだろうけどな」

「ついで?」

流石さすがに従者の褒美だけの為に皇族であるマリアンヌ様が御前試合を持ちかけたとは思えないだろ? カーナが男なら男女の関係も疑えたが、カーナは女だ、しかもここ最近マリアンヌ様に仕えることになった人間、マリアンヌ様とそう関係が深いとは思えない。たぶんカーナに魔道具の話を持ちかけられたマリアンヌ様が策を講じた、昨日言った次期皇帝争いを有利に進めるため、優勝したラムゼスに勝つ、それが一番の目的。カーナという強い従者を付き従わせていると内外に知らしめ、その”ついで”に10英雄に勝利したカーナの希望も叶えてやる…って感じじゃないかな」


 なるほど、確かにそう言われるとストンと納得出来る。

 喉の奥に突っ掛かっていたものが無くなった感じだ。


「あ~なるほど」


 分かってはいたがスレインという人間の分析力には感服した。

 確かにクロトが集めてきた情報あっての物種ものだねだが、それでも凄い。

 反論できない。

 頭も切れて身体能力も高い、更に魔道具の素養もある。

 これだけ揃うと、こいつのメンタル弱くなかったらな~と思わずにはいられない。


「相変わらず頭良いなスレイン。じゃあその分析力で、何で皇女殿下が八百長を知っていたか分かったわけだな」

「分かるわけないだろ」

「何でだよ!お前の頭ならこう…ちょちょい♪と、考えたらイケるだろ」


 人差し指をクイクイと曲げるラムゼス。

 あまりの軽いノリに鼻で笑うスレイン。

 子供に諭すような口調で


「ラムゼス、冷静に今までのクロトの情報を総括してみろ。何処にマリアンヌ皇女殿下が八百長を気付く理由を推察できる要素があるっていうんだ?」

「無いのか?」

「無いな」

「無いのかよ…」


 残念だったが、スレインがここまで言うのだ、タイムリミットが明日ということを考えればマリアンヌ皇女殿下が八百長を知っていた件は完全に闇の中と考えたほうがいいだろう。


 ラムゼスは自身を納得させるように頷く。 


 親友たちは各々に課せられた仕事をこなした。

 その結果だ、八百長の事はいったん忘れよう。


 ただ1人を除いて。。


「クロトは情報収集、スレインは敵の分析。で、ファルヴィは…」

「何だよ?何かオイラに言いたいことでも?」


 使えないなファルヴィ、という生易なまやさしいラムゼスの視線。

 だがそれに一切動揺を見せずいつものように薄く笑みを浮かべるファルヴィ、その表情から心中を察することは相変わらず出来ない。

 ファルヴィは言った。


「じゃあオイラからも取って置きの秘策を伝授してやるよ」

「なんだよ、その取って付けたような秘策は?」


 疑問符を浮かべるラムゼスにファルヴィが断言する。


「大丈夫、今考えたから」

「それの何処どこが大丈夫なのか分かんねぇよ」

「オイラの勘を信じろ、これを思いついた瞬間『イケる!』って思ったから」


 言い張るファルヴィにラムゼスは眉をひそめ腕を組む。


「本当かよ?てか、思いついた瞬間って…今だよな?」

「大丈夫、大丈夫♪因みに、この策をお前にさずける前に言っておきたいんだけど…恐らく、オイラの勘ではお前とあの女の戦いは長引くと思うんだよ」

「そうか?勝負なんて決まる時は一瞬だぞ」


 おどけた様に言うラムゼス。

 ファルヴィは目を細める。


「こっちはあの女の魔道具の特性を知らないんだぞ、それでもお前は一瞬で決めにいくのか?」


 そう言われると、一瞬で勝負を決めにいく気ががれるな、とラムゼスは視線を外す。

 ファルヴィはそんなラムゼスの心を読んだかのように


「まぁ向こうもこっちがまさか”魔道具を使えない”なんて思ってもいないだろうから、情報戦じゃトントン、もしくは魔道具を”使えるはずなのに、使わない”そう思わせてる、こっちがリードしてるかもしれない。それでそれらを踏まえた上で、、、いいか、これは1回しか使えない技だ、ここぞという時に使え。分かったな?乱発はするなよ、絶対だぞ」


 異常なまでの念押しに圧力を感じるラムゼス。

 口ごもりながらも返答する。


「お、おう、分かった」

「お~け♪じゃあよく聞けよラムゼス」


 そしてくし立てるわけでもなく、次の言葉をゆっくりと、重々しく口にした。


「明日の試合中、もう少しでカーナに致命傷を与えれる、でも隙が無い困ったな~。その状況になったら、奴の足元にでもお前のその魔道具を」


 ファルヴィの瞳の奥にわずかな輝きが灯す。


「投げ捨てろ」



閲覧ありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ

個人的には今回の終わり方、物凄く気に入ってますwだってカッコイイでしょ( •̀∀•́ )キラッ!

では次回が2日目の終わりの話になりますが、よかったら次回も読んで頂けると嬉しいです♪では~♪

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