04 森の中の記憶道
クリックありがとうございます(_ _)
最近暑くて困ります(;´Д`A
もうそろそろクーラーかも(笑)
それではよかったら読んでいってください(^人^)
星明りが入ってこれないほど鬱蒼とした森に不釣合いな背の高いヒール。
メイド服にはあまりに不釣合いなアーミーブーツ。
その2つが木の葉を踏み砕きながら地面に足跡をつけていく。
「まだ着かぬのか?」
カーディガンを軽く羽織り、いつも着慣れた黒いドレスを風になびかせるマリアンヌ。
カーナはほんのりと周りを照らすランタンを持ちながら答えた。
「申し訳ありません、もう直ですのでどうかご辛抱してください」
「その申し出は不可能だ、だって足が痛いからな」
ならこんな夜中にヒールの高い靴なんて履いてくるなよ!!
なんてカーナが露程も思うわけも無く、気遣うなんて生易しい表現なぐらい慌てふためて、まるで世界の終わりをまじかにしたようにたじろぐ。
「大丈夫ですか!?たっ、たしかに足が少し赤い!?」
「それはお前の持っているランタンの灯りの色だろ」
「お気をたしかに!!マリアンヌ様、死なないでください!!」
「いや、別に死にはせんが、、、カーナ、我を抱えて屋敷まで運べ」
嫌がる素振りも見せないカーナ
けして太いとは言えないその腕でマリアンヌをひょいっと抱きかかえる。
「そういえばあの女はお前と古い知り合いだと言っていたが、どういう付き合いだったのだ?」
カーナは器用に指に引っ掛けてあるランタンを持ち直すように一度揺らす
そしてゆらゆらと揺れる明かりと同じように口を濁す。
「いちおう知り合いですが、、、マリアンヌ様がお聴きになって面白い話しでは無いですよ」
「構わぬ、面白いか面白くないかは我が判断する。 面白くなければ止める、話せ」
カーナはいつも通り「はい」と言うと、夜の暗闇をたぐるように思い出を語り始めた。
「彼女との出会いは当時私が自暴自棄で嫌々ながらメイドのイロハを覚えていた頃です。 歳はたしか14~5ぐらいだったと思うのですが、いつものように城の一室で私は1人居残りでテーブルマナーを覚えていたときです」
いつものようにと軽く言うところにお前の出来の悪さがうかがえるな。
「何の目的があったのか、アンジェラ皇女が侍女を3人ほど連れてやってきたのです。 そして彼女は居残りでいた私に声をかけました、その第一声は」
『あなたがメイド長が言っていた新米のポンコツメイドね。どれほどのものか見てみたかったのよ♪それはそうと何をしているの? 見せてみなさい。あら…うふふ、このナフキンの折り方はキャンドルのつもりかしら? 塔が崩れ落ちる瞬間に見えるわね』
「大きなお世話だと思いましたね。おかげさまで周りの侍女たちにクスクス笑われました。 それからもことある事に彼女はやってきました、私は元々喋るほうではないのでアンジェラが一方的に話しかけてくるという感じの会話でしたが」
それは一般的に会話とは言わんだろ。
「当時、私は母を亡くしていたこともあったので城の傍に建っている侍女やメイドたちが住み込んでいる館…」
「ああ、お前もあそこに住んでいたのか。 なかなか住み心地が良いと聞いているが、まぁ我からするとペット小屋程度の広さだがな」
「の、横の小屋に住んでおりました」
その間が紛らわしいわ!
「チラッと、本当にチラッと見かけたことがある程度ではあるが、あれは物置小屋か何かではないのか?」
「たしかにモップやホウキ、バケツ、花の苗、肥料、補充用品が多種多様に置かれていたのでそういう別名もありましたね」
その「そういう解釈もありますね」みたいなスタンスは何さ?モップ、ホウキ、バケツ、で何だっけ? 肥料?室内に肥料がある時点で物置小屋以外の解釈は無理だろ。
「ですが私は自分に与えられた小屋の生活に何の不満もありませんでした」
「そ、そうなのか?」
「はい。 元が馬小屋だったこともあり崩れ落ちてきそうな天井、雨風にさらされ風化したことでボロボロになった木目の壁、開け閉めする度にギーギー音が鳴る扉、明かり1つない暗闇で視界を塞がれる事によって聞こえるおびただしい数の隙間風のヒューという音、外の空気が蹲りながら寝ている私に冷たくあたる。 言うこと無いぐらい最高の居住空間でした」
不満いっぱいじゃねーか!!
「そんなある日の夜中のことです。 いつものように暗闇に溶け込んで寝ていると、戸をコンコンと叩く音が聞こえました。 嫌な予感が死ぬほどしたので開けずに無視することにしました。 すると叩いていた人間は強引に戸を開けたのです、ええ、アンジェラです」
『あら、馬小屋だと思ってドアを開けてみたらカーナじゃない、どうしてこんな所に?』
「本気で帰ってほしいと思いましたね」
カーナはマリアンヌをお姫様抱っこをしながら、過去を思い出してため息を漏らす。
「その日はベラベラとあれ昼食はビュッフェはいいだの、乗馬で乗っている馬がかわいいだの、くだらない話を一晩中私にしてきました。壁の隙間から朝日が入り込んできた時間になると彼女は言いました」
『もう眠いから帰りますわ』
「死ねと思いました。 そのせいでその日のメイドの訓練はミスばかりする始末」
今までの話の流れを考えると、アンジェラが来ようが来まいがお前はミスをしたと思う。
「それからも彼女はよく小屋に来ました、ええ、昼夜問わず。しばらくすると城で会う回数より私の小屋で合う回数が上回ってましたね。 その関係も気付くと数年が経過していました。そんなある日、彼女はいつものように私の小屋に来て言いました」
『聴いてカーナ! 私、好きな人が出来たの!すっごい素敵な人でね、明日お食事に行くのよ!』
「目をキラキラ輝かせるアンジェラの顔は今でも昨日のように思い出せます。私は素直に友人として祝福しました」
で、その後なんやかんやあった後に皇帝陛下と言い合いになるわけか。
「彼女が婚約して城を出てからはほとんど会うことも無くってしまい疎遠になってしまいましが、今の私がこうしてマリアンヌ様にお仕えできているのはアンジェラのおかげだと思っています」
「なぜアンジェラのおかげなのだ?」
「どうやら私がマリアンヌ様にお仕え出来るように口ぞえしてくれたらしいのです」
「ふ~ん、そうなのか」
この2人にそこまでの信頼関係があったとは
「お前はもし我とアンジェラが手を…」
言いかけた言葉を飲み込むようにマリアンヌは目を閉じた。
「いやなんでもない。 つまらぬ思い出話だったが、暇つぶし程度にはなった」
「マリアンヌ様のお役に立てたのであれば光栄です。あっ、そろそろ森を抜けます」
「そうか、なら下ろせ」
「はい」
リフトのようにゆっくりと地面に降りる。
するとそこは既に塗装されたレンガだった。
そして数歩ほど歩くと森を抜けた。
そして見えたのは大きな館。
「いらっしゃいませ、マリアンヌ様、そしてカーナ。 約束どおり2人で来てくれたこと感謝しますわ」
その声は吹き抜けるように森から出てきた我たちに届いた。
屋敷の扉を背にして月夜に照らされたアンジェラ
ドレスの裾を少しだけ摘み高貴にお辞儀をする
それはさながら今からスポットライトに照らされ、主役を演じるミュージカル女優のようだった。
閲覧ありがとうございました(o^^o)
無課金の私がチェインクロニクルVで狙うキャラ、「宿命の当主ハルアキ」もアリかと思ってます。スキルが1マナですし、Vita版だと強化される可能性もありますからね(´∀`*)ウフフ




