11 1日目 - 午後(5)
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私の大好きなお鍋が美味しい季節になりました(´⌒`。)人類が開発したもっとも素晴らしい物は「鍋キューブ」だと思う!で、有名、ひとりぼっちの桜ですw
では今回のお話もどうぞお楽しみ下さいませ♪
5ページ予定が気が付いたら9ページ、、、(・ω<) テヘペロ
「ラムゼスさん、弟子にしてください!!」
4人の男の人たちは姉の申し出に顔を見合わせ、数秒目でやり取りする。
一言も喋らない。
あからさまに驚きの表情を見せる4人。
突然の事態に面食らってる。
それもそうだろう、見知らぬ女の子から急に弟子にしてくれと言われたらどんな人でもだいたい思考が停止する。
ていうか、わたしも停止している。
「おい…ラムゼス」
一呼吸置くようにしてまず口を開いたのは右端にいたとても小柄なお兄さんだった。
大人の声にしては妙に高い声、わたしたちと変わらない背丈、顔も童顔、一見すると騎士学校の同級生とも取れる風体のお兄さん。
でも手にしている自分の背丈を大きく上回る三つ又の槍の存在が、ただの小柄な男の人でないことをわたしに教えてきた。
「この2人お前の知り合いか何かか?」
その問われるラムゼスと呼ばれた男の人。
暴力的な目つき、お父さんほど大きな身体というわけではないけど服の上からでも分かるほど鍛え抜かれた筋肉、金髪オールバック、顎まで伸びたモミアゲ、手に持った大き目のナイフ。
恐怖の権化か!?
そんな感想を持ちました。
彼は首を左右に振る。
「いや…こんなガキ知らない」
「私はラムゼスさんのファンです!!」
姉の瞳は更に一層キラキラと輝く。
「は?俺の…?」
「はい!ファゴット際で戦ってる所を見てファンになりました!あの正面から敵に挑んでいく戦いかた、凄くカッコよかったです!それを見てオレ…私は、弟子入りするならラムゼスさんしかいないと思ってました!」
今まで理解が追いつかず困惑していた4人であったが、一拍置いて目の前のわたしたちが敵でないと理解してきたんだろう。
きっちりと整えられた髪、眼鏡、身なり、知慮深そうに考え込む視線移動、そんな全身から醸し出す知的な雰囲気のお兄さんが口を開いた。
「スレイン君どう思う?僕には彼女達か嘘をついているようにはとても見えないんだけど…スレイン君!」
「えっ!あ、、そ、そうだな」
スレインと呼ばれた最後の1人。
感想としては
もの凄くカッコイイ。
とにかくカッコイイ。
そんな感想しか出てこない。
そんなカッコイイお兄さん、スレインさんは僅かに目を伏せ考え込むと
「うん、クロトの言う通りこの子たちは”ただの”ラムゼスのファンだ…と思う」
と、、。
すると微かに聞こえる笑い声。
「ははは、モテモテじゃないかラムゼス、それはそうと皆そろそろ武器を下ろせ、ラムゼスのかわいいファンが恐がってるぞ。それとスレイン…お前の持ってるそれ、魔道具じゃなくてフォークだから」
「えっ?あ、本当だ」
自分達の持っている魔道具とスレインの持っている”物”を見比べる3人。
若干呆れ顔。
その中、何でお前はいつもそうなんだ…。と、ため息をしつつ、めんどくさそうに頭を掻くラムゼス。
「悪るいけどな、俺は弟子みたいなのは求人してないんだ。だから帰え―」
即断、断ろうとするラムゼスさん。
懸命な判断だろう。
ここでわたし達のこの突飛な物語も幕引き、詰み、チェックメイト、そう思った。
だが、姉はラムゼスさんの言葉が完全に言い終わる寸前に自分の言葉を大声で差し込んだ。
「私の名前はモルドレッド! モルドレッド・エクスキュート!皆さんが昔所属していた部隊、ムンガル・エクスキュート卿の娘です!」
「「「「っ!?」」」」
思いの寄らない人物の名前だったのだろう。
その瞬間4人全員の顔が破顔した。
「………」
そこまで大袈裟に驚くことですか?
そして姉よ、使えるものは何でも使うあなたですが、そこまでしますか。
そんな感想を持ちながらも、こういう時に改めて実感させられる。
自分達の父がどれだけ凄いかをしてきたのかを。
その時だった。
チラリと後ろを見ると背後の階段を重そうな靴音が聞こえてきたのは。
「騎士様悪いね!私は止めたんだけど、勝手にこの子達が上に上っちゃったんだよ!」
大股で歩み寄って来る女将さん。
表情は、怒っていた、凄く。
姉に…いえ、言うことを聞かずに勝手に2階に上った”わたし達”に。
恐っ!
そして女将さんの太い腕が今や遅しとわたし達を羽交い絞めにしようと近づいてくる。
「すぐにその子供下に下ろしますから!」
だが小柄なお兄さんはそれを制止した。
サイズが合ってないブカブカの袖が笑い声の前でヒラヒラとなびく。
「ははは、いいよいいよ♪ どうやらラムゼスのファンみたいだし、女将が気にしなくていいよ」
「いやいや、でも騎士様たちも迷惑だろ」
「そんな事ないよ、いつも迷惑かけてるのはオイラ達だからな」
小柄なお兄さんは女将さんの肩に手を伸ばす、そして回れ右と言わんばかりに身体を下階段に向けさせた。
「後はこっちで対処するから、女将は仕事に戻ってくれ」
「そ、そうかい?なら…ごゆっくり」
たった3~4歩先に見える下階段、今ではそれが遠く見える。
そしてそこを怒りとも戸惑いとも取れる目をわたしたちに向けながら下りていく女将さん。
ああーわたしも連れて行って~。
「で、そのムンガル卿のご息女が我々に何か用なのかい?まさか本当にラムゼス君に弟子入りしたいが為だけにこんな所まできたのかい?」
クロトさんは知的に眼鏡をかけ直すと姉に話しかける。
姉は言う。
「実は…」
姉はその後、ここまでの経緯を話し始めた。
因みにこの激流のような展開をわたしは半ば唖然と聞いていた。
姉の口調は説明が進むにつれて更に熱を帯びていく。
そしてその説明が一段落するとスレインさんが少し伏せた状態の流し目で問いかけてきた。
「じゃあ君達は騎士学校を父上であるムンガル卿に無理矢理辞めさせられたけど諦めきれない、そして急遽我々を見つけラムゼスの弟子に弟子入りすることで騎士の道が開けると考えてここに来たと」
おしい!スレインさん!
そこは”君達”だじゃなくて”姉”だけです!
「はい!でも、弟子入りするならラムゼスさんと決めていたのは本当のことです!」
ガサツなように見える姉であるが、こういった人の心にどんどん入っていき相手の気持ちを解きほぐす立ち回りにはいつも目を瞠る。
過去、彼女は騎士学校の教員相手に物の数分で取り入ってみせた。
説明の中に時折見せるお世辞を混ぜるその技量が一段階パワーアップしている。
もう人懐っこいネコみたいな立ち回りに言葉のチョイスだ。
現にさっきまで2階に上がってきたわたしたちに対して疑いの目でしか見ていなかった4人、その内3人からは既に懐疑的な色は失われていた。
そう、ただ1人を除いて。
「ははは、そこまで心酔されてるなんてラムゼス、凄いじゃないか♪」
なぜだか妙に耳に残る笑い声、わたしたちから見て右端の椅子に座った小柄な人、ファルヴィと呼ばれているこの人だけは未だただのファンという姉の言葉に対して疑いの目を緩めていない。
あのカッコイイ、スレインさんは序盤こそお姉ちゃんを疑っていたけどもう疑いの目は向けてない。
あの頭の良さそうなクロトさんに関しても完全に姉の味方のような立ち位置になってるし。
ラムゼスさんに関しては弟子入りの当の本人だからめんどくさそうにはしているが、敵とかは思ってはいないだろう。
でもファルヴィさんはわたしたち明確な敵意が見え隠れしている気がする。
「ははは、流石は大会4連覇中の猛者だ」
どうしてここまでわたしたちを疑うんだろう?
姉の演技にしてもラムゼスさんのファンというのは本当だし。
嘘があるのだとしたら4人のお兄さんに好かれるために立ち回っているぐらい、でもそれを果たして嘘と言えるのだろうか?
「で、そっちのお前もラムゼスの弟子になりたいのか?」
「ふぇ?」
急な問いかけられた言葉。
ドクン、と心臓が鳴った。
と同時に素手で心臓を掴まれているような錯覚を覚えた。
そして、その一言、向けられた目を見て直感した。
この人は…
この人は、お姉ちゃんの演技を見破ってる。
見破った上で騙されたフリをしている。
お姉ちゃんのお世辞はこの人には効いてない。
間違いない、この人が一番…恐い。
「え、あ、あの、わ、わたし」
歯がカタカタと音を立てて止まらない。
言葉が喉の奥に絡んで外に出ない。
「ははは、すまないけど、声が小さくて聞こえずらいからもう少し大きな声で言ってくれないか?」
優しそうな言葉とは裏腹に刺すような鋭い視線が、わたしに突き刺さるように動く。
逃げたい…。
でも逃げ出したくても足が動かない。
必死に声を出す。
「わ、わたし、は!あんまり、そのみ、皆さんのこと、知らなくて」
その時だった、救いの手がわたしの視界とファルヴィさんの間に割って入って来た。
「バカ知らねぇのか!このラムゼスさんはな、4人の中でも一番強くてCoolな人なんだよ。なんたってここ最近は魔道具をほとんど使わずにここいる超強い3人にも勝っちまうんだぞ!」
その言葉を聞いてラムゼス以外の3人が鼻で笑うように小さく噴出す。
なぜ3人が笑いを押し殺しているのかは分からないけど、場の雰囲気が一気に明るくなった。
わたしはファルヴィさんの視線から逃れるように姉の後ろへ隠れる。
助かったよ~お姉ちゃん。
「で、どうするんだい? ラムゼス君、弟子を取るのかい?」
「いや、そりゃ…ムンガル卿には世話になったけどよ」
しぶるラムゼスにファルヴィは薄い笑いを浮かべる。
「ラムゼス受けろ」
「はぁ!?マジかよ?」
「ははは、マジだ。オイラ達はムンガル卿に昔世話になった、なら今ここで恩返しをするっていうのも悪くないだろ?」
それを聞いてラムゼスはファルヴィににじり寄った。
そして声を低く問いかける。
「あの件はどうするんだよ」
「それはオイラ達で何とかする、お前は彼女たちの師として明日一日過ごせ」
「いや、でも…」
スレインにも指示を仰ぐように視線を動かすラムゼス。
それから数回会話を交わした後、ラムゼスは姉妹の前に来た。
「分かった、とりあえずお前達を俺の弟子って話は了承してやる」
えっ!嘘!?
今、お前達って言いました!?
「ありがとうございます!どんな過酷な修行にでも耐え抜いてみせます!」
いやいやいやいやいや!無理です!!
「明日から来い、修行をつけてやる」
嘘でしょぉ~。
「あざっす!!」
「ははは、現金な子供だ~。あ、そうそう、因みにそこにいるクロト、そいつならお父上であるムンガル卿の学校に対して出した指示をひっくり返せるかもしれないぞ」
ファルヴィさんは姉の不安を取り除くような明るい声で話しかける。
脊髄反射のように満面の笑みになる姉。
「本当ですか!クロトさん!」
「まぁ、僕がお願いしたら騎士学校ぐらい簡単なことだろうね」
だめだ!このままでは本当にわたしも取り返しの付かない所まで行ってしまう!
そんな焦燥感を覚えつつも
まっ、それはいつものことか。
と思うライオネル。
彼女はいつものように流れに身を任せるのであった。
「皆さん流石です!私、今日ここに来てよかったです!今回のことでもっとファンになりました!」
本当に嬉しそうな姉。
一方わたしはというと、恐そうな男の人たちの前で震えを止めるのが精一杯だった。
いつも思うのだが、姉のこの誰に対しても物怖じしない度胸は大したものだ。
見習いたい…とは、あんまり思わないけど。
ただ1つ疑問は持った。
そう、不思議でならなかったのだ。
一連の話の流れを聞きながらライオネルは思う。
なぜお姉ちゃんはなぜこの人たちをここまで信用できるのだろう?
物言いにしてもいつもより感情的で違和感がある、騎士学校を辞めさせられて追い詰められて八方塞なのは分かる。
でもこの人たちはそんなに信用できる相手?
わたしから見たらこの人たちを”信用”なんてする価値があるようにはとても見えなかったから…。
閲覧ありがとうございました(^^)
1日目も残す所次回のみ(予定w)なのでよかったら最後までおつきあい下さいませ~(*^_^*)




