04 もう1人の自分
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今日、取引先の人に合コンに誘われたけど、家でゲームしたかったから断ったひとりぼっちの桜です(^^
おかげでオーバーウォッチも70レベルまで上がって……ん? どうしたんですか?皆さん?
なぜそんなに悲しそうな目で私を見るんですか?(゜ー゜;A
べ、別に、私は後悔してないよ!(゜A゜;) 家でゲームした方が100倍楽しいし! 外で飯とか食べたって金がかかるだけだし、私は下戸だから酒飲めないし…楽しくないし…どうせ、、、どうせ…。。
遂に今回のお話からこの章の主人公が出てきます(まぁ、正確には出てくるのは次回になるのですがw)
では、どうぞお楽しみ下さいませ♪
その人はわたしにとってとても大きな人だった。
大きさといっても身体では無く、その存在が…。
わたしと変わらない背丈なのに
わたしと変わらない見た目なのに
「オイ、早く来いよ!」
急かすその声は少しキツいけど柔らかい。
差し伸べられた手はいつも冷え性のせいで冷たかったけど、とても温かかった。
わたしはいつも1人だった。
周りの人はわたしの何倍もの速度で生きていて、
その速度にわたしが入ると、息苦しくて、めまぐるしくて、つらい。
この世界はわたしには速すぎる。
無理だ、諦めよう。
それがわたしの出した結論。
だから塞ぎ込むように家に篭っていつも人形遊びをしていた。
人形たちは他の人たちと違って、わたしを焦らせない、次のわたしの言葉をいつまでも待ってくれる。
ホッと出来る。
でもそれは何処か予定調和のような変わらない世界。
それでも外の世界に比べたら変わらない世界の方が何倍もマシ。
私はよくいじめられていたから。
ある日、悪の巣窟が住まう外界に1人、出ることになった。
少し歩いて、やはりと言うか、同年代の子たちに絡まれた。
最初に言っておくと、いじめっ子たちの気持ちも分かる、だって考える速度が遅いと喋る速度も遅い。
わたしを見ていてイライラするのは分かるから。
でも、わたしだって言い分ぐらいある。
こっちは好き好んで外に出たわけじゃない!
本当だったらお父様の忘れ物もわたしじゃなくて、彼女が持っていってただろう。
その日は運悪く彼女は外に遊びに行っていた。
いじめっ子は威圧的に言った。
「久しぶり、何してんの?」
反射的に身構えてしまうわたし。
「え、あ、、、あ、あの、」
「何?何て言ってんの?」
緊張すると何も言えなくなるわたしは、ただ怯えた。
でもそんな時、助けてくれた。
助けてくれたのはいつも外で遊んでいる彼女。
「オレの妹に何してんだよ!」
その一言でわたしを取り囲んでいた誰もがぐうの音も出なくなった。
これぐらいからだろうか、わたしの中にあった強いコンプレックスが憧れになったのは。
それから彼女はわたしを外に連れ出すようになった。
ちょっとでもわたしに強くなれって意味かな?
何はともあれ、それからわたしは彼女と一緒に外に出ることが増えた。
彼女と一緒だといじめっ子たちは決してわたしをいじめなかった。
ある日、いじめっ子の誰かが彼女が席を外した少しの間を見計らったかのように言った、わたしは寄生虫だと。
その言葉をわたしは怒るわけでもなく、かといって悲しむわけでもなく、彼女が戻ってくるまでの間、空を見上げ、ただ「あぁ~その通りだな」と、思った。
似た姿形をした自分。
でも能力はまるで真逆の自分。
全てが出来る自分の傍らにただ居るだけの自分。
1人では外を出歩く事すら出来ない自分は無力、無能。
彼女は何て凄いんだろう。。
もちろん、そんな万能な彼女にも何の障害も無かったわけではない。
父に内緒で通ってる、騎士学校。
わたしは剣なんて振り回したく無かったが、彼女の手を振りほどく勇気も無く、一緒に通う事になった。
宮殿のような建物のあちこちから聞こえる剣戟の音、そこに在籍するわたしたちよりも少し上の歳の男子学生からの奇異な眼差し。
もちろんこの学校は99.9%男性。というか、わたしたちという異物を含まなければこの学校はずっと100%を維持し続けただろう。
だからこの突き刺さる眼差しも当たり前。
つらい、つらすぎる。
「調子のんなよ、手加減してやったに決まってるだろ。えっ、じゃあ今からもう一回やろう?…や、やるわけないだろ!先生達に黙って決闘したらダメなんだぞ!」
「テスト100点何てどうせズルしたに決まってんだろ。ほんとマジむかつく」
「親のコネでこんな所まで来やがって、迷惑なんだよ」
「どうせこれからの実地訓練には女が付いて来れるわけがねぇ」
ごもっとも。
反論の言葉もございません。
でもやっぱりこの人は反論したよ。
面と向かって堂々と。
「陰口は陰で言えよ。男のクセに女々(めめ)しいんだよ」
しかも、そんな相手の勘に障る言葉をわざわざチョイスして。
わたしはいつものように彼女に言った。
「無理だから、今回は諦めよう」
でも彼女は決して諦めなかった。
それどころか、生き生きとした目でわたしに、
「じゃあオレがその捻じ曲がった偏見ごとひっくり返してやる」
マメだらけの手で木刀を素振りしながら彼女が言ったセリフ。
ハッキリした声だった。
その結果、彼女が得た物は賛美の嵐だった。
「さすが!ムンガル将軍のご息女」
「これからも期待していますよ」
「同年代の子達全員に勝つとは…天才だ」
「女の子とは思えない」
この全ては私に向けられた言葉ではない。
同じ顔をした自分に向けて発せられた言葉。
彼女は本当に自分の力で他者の偏見をひっくり返させた。
心の中で、
失敗しろ。
諦めろ。
無理だ。
と、背中から黒々とした感情で眺めているわたしの目の前で彼女はやってのけた。
もう脱帽だった。
「なっ!出来たろ」
満悦の表情。
彼女の声は何処までも自信に満ちていた。
「う、うん。あはは、やっぱり凄いね」
果たしてわたしが彼女と同じ才能を持っていたらここまで努力できただろうか?
答えは否だ。
わたしなら自分に乗り越えられない壁が現れたらすぐに立ち止まってしまうだろう、容易く折れてしまうだろう。
自分の事だ、誰よりも分かる。
わたしは努力すら出来ない。
運動、勉強、料理、全てが出来る彼女、心底憧れた。
ある日そんな自分を変えたくて、1つでも勝てるものを作りたくて家の家事を手伝った。
お手伝いさんに無理を言って。
でも、グラスを割ってしまった。
割ってしまったそれは、お父様が大切にしているグラス。
いつもお父様が晩酌の時に爵位を手に入れた祝いで自分で買った物だと自慢話をしながら使っているグラス。
なぜ、このグラスなの?
なぜ、お手伝いを買って出た初日なのだ?
怒られる。
そう、思った。
でも、お手伝いさんは言った。
「気にしないで下さいお嬢様、私がやったことにしますから、そうすれば旦那様もお怒りになられませんよ」
調子に乗って首を突っ込んだ結果がこれ。
そんなことよりお怪我はありませんでしたか?。お手伝いさんのその言葉に首を振って自室へ走った。
扉を後ろ手で閉めて、その場にしゃがみ込む。
指先から薄く流れる血を見ると落ち着いた。
その血が、痛みが、自分に罰を与えてくれているようかのようで、、
いや違う。
自分がいかに無能なのか、そしてこれからは何もするな、お前は何もしなくていい。と、言われているようだったから安心したのだ。
だからかな?
それが原因なのか、
自室の鏡に映った自分の口元は笑っていた。
お手伝いさんが身代わりになってくれたことを喜んでいる。
本当にクズ。
たぶん、わたしはグラスを割ったとき咄嗟にこの結果を予想していた。
予想した上でその流れに乗った。
彼女ならそんな事はしなかっただろう。
名乗り出て謝っただろう、お父様と同じで曲がったことが大嫌いな人だから。
その人は似ていた、正義感の強い父に。
いや、その前に彼女ならそんなミス自体しなかった。
だって似ていた、要領の良い母に。
でもさ、なら、
『じゃあ、こんな失敗ばかりのわたしは誰に似ているの?』
要領も悪い。
頭も悪い。
運動神経も悪い。
おまけに性格が悪い。
何をしても失敗ばかり。
自分から動くだけ時間の無駄。
自分が大嫌い。
こんな、わたしに意味があるの?
ほんと、なんでわたし、、、
生きてるんだろ?
伸ばした手はどれだけ伸ばしも届かない。
いつも影を掴むようにすり抜ける。
だから意味が無いならやらなければいい。
努力しなければいい。
いつか逆に守れるようになりたい…。
なんてことを思わない。
いつまでもこのままでいい。
守られるだけの存在でいい。
だって努力しなくてもいいなら、その人生はどれだけラクなのだろう。
そう考える。
それがわたし。
そんなわたしを一言で表すなら
「フリョウヒン」
閲覧ありがとうございましたm(_ _"m)ペコリ
次回から3日物語(裏)の1日目が始まります、よかったら次回も見てもらえると嬉しいです♪
では、また次回お会いしましょう(^^)/~~
皆様、完成しましたよ!(。>∀<。)
え?何がですって?
ハッハッハ♫分かってるクセに~w 1万人記念ですよ♪
1万人達成した時、当初何をしようかと悩んでたんですけど、ひとりぼっちの桜は人生初の短編書く事にしようと決意しました。
でもやっぱりやるならブックマークや評価を付けてくれた皆が喜んでくれることをしたい!と、思ったんですね。それで完成しました20ページ越えの力作です。
短編アップのタイミングは次回のお話のアップ直前、タイトルなどもその時に発表しようと思っていますが少しだけ内容をば…
………
……
短編の主人公はマリアンヌの母、リーシャ。
彼女が死ぬ前、マリアンヌを生む前のお話になります。




