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短編(ざまぁとかコメディとかテンプレ外しとか)

昔々のお話です

作者:

童話風

「今日も我が国は平和だな」


 さる国の王は、王宮の執務室から庭園で遊ぶ自分の家族を見つめながらそう呟いた。


 視線の先にはつややかな黒髪と小麦色の肌をした美しい妻と、彼女によく似た可愛い子どもたち。

 この国にはない色彩を持った、異世界から召喚された、美しい私の妻。


 彼女の力は我が国に繁栄をもたらし、また彼女の存在によって争っていた多くの国は、互いの平和と共存を目指すようになった。



 そんな彼女のことを、皆は『聖女』と呼ぶようになった。


 最初は元の世界に帰りたいと泣いていた彼女も、次第にこの世界で生きようとしはじめた。


 そうして、私たちは夫婦になった。



 出会った頃の彼女は私に反発し、まったく打ち解けなかった。だが、時間が解決してくれた。


 子どもができたことによって、彼女は変わった。

 微笑みを見せるようになり、軽い冗談などでは声を上げて笑うこともあった。


 この国にはない黒い巻き毛。小麦のような肌の色。すらりとして細身であるのに、柔らかな肢体。はっきりした顔立ちは、意志の強さを感じさせた。


 初めて見たときから、虜になっていたのだろう。

 召喚や魔法などを馬鹿にしていた私は、素直にそれを認めることができずにいたのだが。



 窓の外から聞こえてくる声に耳を澄ませる。

 妻はどうやら昔話を子どもたちに語り聞かせているようだ。


 子どもたちの楽しそうな声に、思わず頬が緩んだ。



『……ある日山の中で、サルの群れに攫われたゴリラの子ども。母ゴリラを探して泣いていると、「助けてください!我がサル帝国が、隣のチンパンワールドに支配されそうなんです!」という相談をされました。「知らんわ、自分らで解決せぇ」と言うゴリラに、サルの王は「なんだと、この黒い獣は!我々と似ているが、なんとまあ醜い怪物ではないか!」とまわりのメスザルと大笑い。

 サルの群れがどうなろうとどうでもいいゴリラは、「王様むかつくなあ、帰りてぇなあ」と毎日思っていました。……』



 王様は、近くに控えている側近に尋ねました。


「なあ、大臣。

 コーリアは、もしかしてまだ私のことを許してくれていないのだろうか……?」


 側近は王様を見つめてはっきりと言いました。


「何を今更。コーリア王妃様は、王様とは口もきかれませんし、目も合わせたくないほど、蛇蝎のごとく嫌っていらっしゃいます」



『……一度口から出た言葉は、取り消すことはできません。人の傷つくことは言わないようにしましょうね……』


 窓の外から聞こえてくる妻の声が、王様の心に深く刺さった。

犬も猫も大好きですが、ニホンザルとか可愛いので好きです。……目を合わせたり、食物を見せたり、敵だと認識されなければ、安全です。……多分。

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