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心力

前回、戦闘シーンに入るかもと予告していたのですが、入ることが出来ませんでした。しかし、ここの話は後々、大きな意味を持ってくると思いますので、読んでもらえると嬉しいです。

 最初に気付いのは長身の男、恐らく身長は180㌢以上はあると思われる、頭髪は黒か紺色に近く、目も同じような色をした、あっちの世界の日本人そのものだった。こっちの存在に気付いたときは一瞬、目を大きくしたが、すぐにその整った顔に冷静さを取り戻す。

 それにほんの少し遅れてもう一人もこちらの存在に気付く。身長はかなり低く、恐らく140㌢あるかないかだろう、全身を包むフードつきのマントを羽織り、顔をそのフードで隠しているかのように深く被っていて、表情や顔つきなどはあまり認識することが出来ない。しかし、口元だけはその隙間から見ることができるが、堅く結ばれていて、いや、少し口角が上がっているように見えるが、驚きの様子も見て取れない。


「まだ、生きてる奴が居るとは…」


「おぉこれはこれは…予想外でしたねぇ、この炎の中で無事な人間がこの街の中に居たとは…もしや、貴様、あの山の麓に住んでいたのでは?」


 確かに隠れて聴いていた声と一致した。エトっていう方はあの長身の男、あの聴いていて耳障りな声はあの小さい奴、あのバスって奴に間違いないと思った。

 しかしあの長身男はさることながら、あのもう一人の方はかなりやな雰囲気を醸し出している。恐らくかなりの実力者であることは確かだろう。

 そして、あんた達に話す義理はないね、と心中で呟き、質問にこう返す。


「そんな事どうだっていいだろう?僕はこの街の人達の仇を取りに来た。」


 そうするとその老婆の様な方が、嫌悪感が背中を(めぐ)っていくような声で高笑いしながら


「そんな事…無理に決まっているじゃあないですカァァァァ……いいでしょう…この私めが、お前の相手をして」


「まて、ここを燃やしたのは俺だ。仇を取りたいなら、俺が相手のはずだ」


 左手でその小さい奴の声を遮り制しつつ、潔く芯の通った声音で僕の目を真っ直ぐと見て話す。まさかこの街を燃やした人にこの様に接してこられるとは思いもよらなかった。このようにして逆に相手の動揺を誘うつもりかとも考えたが、その紺色の、しかし強い光を灯したその目が、とても相手を上手く陥れようなんて見えなかった。

 僕も視線を逸らさずに


「そうですか…じゃあ、そうしましょう…」


「決まりだな、受けて立とう。死んでも後悔しないな?」


 ここまで来て、後悔も何もないと言いたいが、残念ながらそういうわけでもない。しかし、今ははぐれた2人(、、、、、、)の事など一切頭の中に居なかった。

 昔からそうだった。普段は頭に血が上る事などほとんど無かった。だが、怒りの沸点に近づいていくうちに、周りが見えなくなってしまっていた。

 この時も多分、その様な状態になっていたにであろう。


「ここまで来て、後悔なんてないです。さあ…さっさと始めましょう……と、その前に、1つ、聞いていいですか?」


 もしも、これが組織か何かで計画的に練られた犯行なら、今のうちに突き止めておいた方がいい、このくらいの冷静さはまだ残っていた。きっとこっちに来てからの修行の成果だろうか。


 「…なんだ、何が聞きたい?…」


 「あなたは、いえ、あなた方は…」


 「組織かなんかかって聞きたいなら、答えられない質問だな…もし、お前がこの俺を倒せたならば、教えてやろう。」


 一瞬、世界が凍り付いたように感じた。途轍とてつもない、『心』の力を感じた。

 ――――――これが…この力が『心』の力…

 自分の存在が、本当に小さく感じてしまうくらい、圧倒的ない威圧感を発していた。

 しかし、引き下がろうとは思わない。敵討ちをするためにここに来て、自分の実力を試してみたい、という感情もあったからだ。

 ――――――ならば、僕もありったけの心の『力』を見せよう…


「じゃあ、僕があなたに勝ったら、その秘密を教えてくれるんですね?」


 こう返すと相手はニヤリと笑って


「あの威圧にも物怖じしないとは…今日は、すっきりとした夜になりそうだ。」


 後半はほぼ独り言のようだったが、僕の耳にも届いていた。どういう意味かはわからないがその時も顔に笑みを、安堵の表情のようなものを浮かべていた。

 その時、ほぼ棒立ちだった老婆が、一瞬何かを言いたそうな、うっすらと口を開いたような気がしたが、その場を無言で立ち去る。

しかし、その去り際に見せた表情は…歯を剥き出しにして、もはや人間のものとは思えないぐらいの、獣が獲物を狙う時に見せるような獰猛どうもうな面をしていた。その表情の裏には、怒りや憎悪といった感情が渦巻いているように思えた。恐らく、その矛先は僕、いや、エトと自分に対するものだと直感的に感じた。

 だが、今はそんな事に構っている暇は無いのだ。

 目の前の相手を倒す、それだけだ。



次話こそ、戦闘シーンに入ります。すみませんでした…


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