秘密、そして…
物語の都合上、セリフがほぼ無いです。それでも楽しんで読んでいただける人には感謝!
とりあえず考えても仕方ないと思い、何か無事に残っているものがないかそこら辺を探してみる。
「ん?あれは…物置か。」
何で物置は燃やして行かなかったのだろうかと思いつつ、ガラッ、と勢いよくそれの扉を開けて、何か盗まれていやしないかと、その中を確認してみる
「物置は…無事か…」
誰にも聞かせる訳でもないのに、言葉を発してみる。それは、自分の不安を紛らわす為なのかどうか、わからない。が、一つ言えることは、僕が恐がりなことぐらいである。
物置には、樽や木箱やらと何が入ってるのか分からない、開けるのさえ少し億劫になるくらい古く埃っぽかった。いきなり中からねずみやらなんやらが出てこられたら、正直対処に困ってしまう。そのほかには、柄から刃先まで1㍍60㌢、刃渡り30㌢はあるであろう、バスターソードぐらいある大きな木剣が立てかけてある。こんなのいったいどうやって使うんだろう…という考えを巡らせているうちに、そういえば…と思った。1年間師匠、ビザンツの弟子として特訓してきたが、1度もあの人の『刃』を見せてもらったことがない。見せて欲しい、といってもいつも「おめぇにはまだあれを見るには修行が足りなすぎるぜ。もし見てぇなら、今の100倍強くなりな。」と大笑いしながら話された記憶がある。
━━━━あの人はいつもそうだった…
あの人はいつも、砕けた口調で何でも話してくれそうだが、過去の話やあの人本人についてに質問はいつも、深い森の霧のように靄をかけ、触れられないようにしていた。そんなに他人には聞かれてはまずい過去でもあるのか、それともただ単に信用が無かったのか、世界にたった一人の弟子にすら話せない秘密を隠し持っているのか…
━━━━ほんとに、視えるようで、掴めない人だった…
と、脳神経の回路を働かせているうちに、思った。なんかもう、死んだ人みたくしている、と。これに気がつき、脳神経の回路を別方向に向きを変えた。
物置を物色する。実は、自分達の家の物置なのだが、中を見るのはこれが初めてなのだ。特に見るな、とは言われていなかったが、何が入ってるのか興味が無かったので、見ようとさえしなかった。
僕はそこで、一つ他のものとは雰囲気の違う箱、薄く煤けた、元は鮮やかな赤い色だったのでだろう、小さな宝箱があった。どうやら鍵穴などはないらしい、その箱を開けてみようと思ったが、一瞬、躊躇してしまう。何故なら、その箱は我が師匠、ビザンツの秘密が隠されているかも、と考えたからだ。それを知ってしまえば何かよくないことが起こりそうだと、直感がそう言っていたからだ。しかし、それの中身が空っぽということもあり得る。そこで、開けてしまう前に一回持って中身があるかどうか、確認してみようという方向に切り替え、両手を宝箱の上ではなく、下へと持って行く。
その箱は、中身が入っていないと思われるくらい軽かった。そこで、何か入っていてもどうせ、大した物じゃないだろうと思い、躊躇せずその箱を開けようとした瞬間、何やら、ここから西の方角、ポロコの街の方から『碧』い光が見えた。ここは山の麓なので、ちょっと上に行けばポロコの街を含め、アズテック王国の領土を一望出来るくらいだ。まさか、と思い、ちょっとした高台に登って街の方を見た瞬間、僕は目を見開き呼吸をするのさえ忘れ、そのまさかの光景を目の奥に伝え、脳へと伝達した。
「そんな…おい…こんなの嘘だろ!」
そんな言葉を口にした時にはもうその足を、ポロコの街へ向けて猛然と走った。あの宝箱の事も忘れ、とにかく必死に。
全力疾走すれば15分程でそこに着くことができるはず、と頭の中で瞬時に考え、それだともう手遅れになってる可能性が高いと思った。しかし、手遅れでも何でもいいと吹っ切り、走りつづけた。
次回はセリフ入れていきたいなと思っております。楽しみにしていただけると幸いです…