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僕は水滴だ。  作者: 亜紋
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僕は水滴

水滴を見ていると思った。

似ている、水滴と生き方が似ていた。

水滴がついている葉は、いつもより綺麗に見える。

そして、いつの間にかなくなり誰もきずかない。

俺も同じ、醜い俺がいるから美しい人がよりいっそうに輝く。

俺がいなくなっても誰もきずかない、俺を一部の風景としか見ていない。

当然教室でも一人だ。

窓の外に木が見えてそこの葉に水滴がついていた。

その水滴をずーと見ていた。

いきなり体に冷たいものが触れた。

俺は慌てて逃げた。

振り返ると女性が立っていた。


「すまんな、驚かせるつもりは無かっやけどな」


「そう、で何のよう」


「毎日外見てるから気になもうて」


「それだけ」


「うん、そうなんよ、すまんな」


「別にいいけど、誤らないで欲しいな」


「あ、ほんまに」


「後そんな話し方やめてくれない」


「うち、普通やねんけど」


俺はこんな女性を見たことが無かった。


「のんきそうだな」


「そうみえる?」


「あぁ」


「そうかいな、それはしゃないな」


「そろそろ行かないと遅刻だぞ」


「ほんとやね、次移動やったね」


俺は次の教室まで向かった。

さっきの女性の名前は河原かわはら美紗みさクラスでも地味なやつだった。

誰かに話すなんてほとんど見たことが無い。

チャイムが鳴り教室に戻るとまた美紗が話し掛けてきた。


「うちと一緒にどうえ?」


「いいけど、何で?」


「いつも一人やから、うちもあなたもね」


美紗はいつのまにか友達のような話し方になっていた。

俺はコンビニで買ったパンとコーヒーを取り出した。

買いに行くのが面倒でいつも買ってきている。

人気のない昼の屋上に行った。

普段入ってはいけない場所だが昼になると必ずここに来る。

昼寝がここでは気持ちがいいのだ。


「ここって入ったらあかんのと違うん?」


「たぶんダメだ、でも見つからんからいいんだよ、来たくなかったら、来なくてもいいが」


「嫌だ行きたいんよ」


「あっそ」


本当について来たから聞いて見た。


「何で、そこまで俺にかかわるんだ」


「友達やから、初めての」


「はぁ、初めてなんでなんだ」


「体が弱くて学校に来れなかったんよ」


「今は大丈夫なのか?」


「うん、大丈夫やな体育はまだ無理やけど」


「そういえば、友達にいつなった、俺ら」


「わからんよ」


「そうですか」


それ以外返す言葉が無かった。

俺は横になると寝る体制になった。

昼を食べるといつもここで寝る習慣だった。


「寝るん?」


「すまんな、忘れてた」


「ううんいいよ、寝よっか二人でぇ」


「あんたも寝んの?」


「うん、ここ影ができて風も通って気持ちよさそうやねんもん」


「その言葉体が弱いやつの言葉じゃあないぞ」


「気にしない、外で寝るの初めてやわ」


「・・・・・」


「なに黙っているんの?」


「俺がなにかするとか考えないのか?」


「そっか、男の子やもんね、でもやらないでしょう」


「まいっか」


俺は面倒だと思った。

昼休みの間寝ているとふと目が覚めた。

美紗は隣で寝ていた。

丸く小さくなって寝ていた。

スカートがめくれて見えそうになっていた。

寝顔がすごくかわいく見とれていた。

時間も迫ってきたから美紗を起こすことにした。


「そろそろ授業始まるぞ」


「ほんとや、でもほんとに何もしなかっやね」


「・・・・・・・・・」


「私の寝顔ずーと見てたやろ?」


「え、起きてたのか」


「ほんまに、うそついてやけやのに」


「え、キツイは今の嘘、恥ずかしいな」


そんなこと話しているとチャイムが鳴った。


「もう遅刻や、まぁいいか」


「そうやね」


ふたりは今日一日でかなりの距離を縮めた。

次の日は学校に小説を持っていった。

学校で呼んでいると、美紗が「なに読んでるの?」と聞いてきた。


「家族狩り」


「面白い?」


「読むか?、俺呼んだし」


「違うねん、私読んだことあるから、面白かったし、やから気になってぇ」


「そう、面白いよ」


「そうかぁ、気が合うとこまたひとつ見つけたなぁ」


そういうと美紗は楽しそうに笑った。

教師が教室に入ってきた。

慌てて美紗は席に戻り座った、チャイムはすでに鳴っていた。

慌てた姿もかわいく思えてしまった。

昼は必ず屋上に行き、ふたりで食べた。

そして雑談や寝るなどしかしなかった。


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