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妖探索研究部!の活動  作者: 井中 蛙
第一章 憧れの妖探索研究部
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一話 森島丘高等学校合格発表

 <森島丘高等学校はこの坂の上>


 看板に書いてある通りゆるい坂があり、目線を上げると真新しい校舎が奥にある。受験の時にも来たし、見学に来たこともあるが、その光景や坂になれることは当然無い。


「ここに合格したら、これから毎日この坂を上り下りするのかぁ…」

「何言ってるの。こんな坂全然大したことないじゃない。むしろいい運動になって丁度いいじゃん」

「真琴は昔から運動部だったからそんなこと言えるの。俺は家の手伝いがあるから帰宅部だったし、そのための体力を残したいの」

「そんなこと言ったら、アヤも帰宅部じゃん。ね!」

「僕はいつも旅行に行って、こんなの慣れてるか大丈夫。てか、アヤって呼ぶのやめて欲しいんだが…」


 片側一車線の車道と、広めにとった歩道の坂を登りながら三人の男女が会話をしていた。女子は軽やかなステップで早走に登っており、その後ろを二人の男子たちが付いて行く。


「だって前からその呼び方だし、今更変えるきないし」

「悪いが俺もだ」


 僕の名は樫代文月かしだいあやづき。二人からアヤと呼ばれているが歴とした男だ。確かにやや童顔で、身長も平均よりやや低いかもだが、決して女ではない。


「せめて苗字のほうであだ名にして欲しかったなぁ。ダイとか…」

「何かのクエストにあったな、その呼び名…。そんなにぼやくな。ほら前にいる真琴も、お前と逆で男の名っぽく聞こえて同じ気持ちなんだからさ」


 女子の名は八重木真琴やえぎまこと。普通真琴と書くとどちらかと言えば女かなと思うのだが、彼女は僕より身長がやや高く空手を習っていた事もあり、男勝りな性格だった。体型も凹凸の少ないスレンダーな体つきなため、パンツスタイルになると男と間違えられやすいのだ。


「覇!」

「グハッ!」


 いきなり真琴の拳が僕のボディに突き刺さった。うずくまるボク。


「…ナニ…スルノ…」

「なぜか無償うにイラっときたから、つい!」

「ついで殴らないでよ!真琴のは結構効くんだから」

「手加減したわよ。それに私は無駄な脂肪がないだけ!スタイルはいいはずよ。それに去年から髪を伸ばしてるからもう間違われることは絶対ないわよ!」 


 確かに今の彼女は肩に掛かり始めた髪をポニーテールにしていた。それに今は中学の制服を着てるので間違え要はない…ハズ。


「真琴、そのへんにしといてやれ。アヤも悪気はなかったんだ」

「ふん、あんたは名前も体格も普通だからそんなこと言えるのよ」

「右に同じ」


 もう一人の男子は葉先良はさきりょう。身長は真琴より高いが、それでも男子の平均より少し高いぐらい。酒屋の息子で手伝いをしてるためか、体つきはいい。


「ハイハイ、そろそろ校門に着くから一旦落ち着こうな。それにこれから合格発表を見るんだから、少しは緊張感もっとけ」


 そう、これから三人は森島丘高の合否を確認しにいくとこなのだ。




 森島丘高等学校は去年建てられた新校である。周りには木々があり、最上階にある食堂や屋上からは見晴らしのいい景色が見渡せるし、バルコニーなどの設備もある。そして学校の隣には寮が建てられており、実際何人か入寮しているらしい。ただプールの建設が遅れており夏休み以降になるとのこと。どんだけお金掛かってるのって思ってしまう。

 校門前では沢山の人だかりができており、みんな緊張の面持ちで発表を待っていた。受験の時も思ったけど結構な人数が受験してきたんだなと今更に思う。

 学校の生徒の数は去年入った先輩達しかいない。そのため今年の定員枠も多く設定されたが、それ以上の受験者が募集してきたため倍率がすごく高くなってしまった。僕なんかは偏差値ギリギリのラインなのでかなり危ない。

 しかし僕にはどうしても受かりたい目的があった。


「もし今年落ちたら、僕は来年また受けに来る!」

「ヱ、高校も浪人できるの?てっきり大学だけかと思ってた」

「実例が少ないだけで、あるにはあるけど。でもアヤのとこは浪人させてくれないと思うぞ?親厳しいし」

「その時は家を出てリョウのとこに住み込みで働きながら頑張る!」

「…働いてくれるのはいいが、家庭のトラブルでうちにこられるのは遠慮したいんだがな」


 なぜ僕がこの学校にこだわるのか。それは


「なんとしてもここにある妖探索研究部に入ってみせる!」

「…やっぱりそれかぁ。アヤ、まだ妖怪を卒業してないの。絶対この世に存在しないんだからさ、部活に入ってまでやらなくてもいいんじゃない?」

「いないのはもう分かってるよ!そんなんじゃなくもっと妖怪のことを知りたいんだ。そしてこの学校にはそのための部活がある!だから浪人してでも受かりたいんだ!」

「…まったく、その情熱をもっと違うとこに使えばいいのに」

「仕方ないよ。アヤから妖怪をとったら何もないんだし。それより紙が貼られたから見にいこうか」


 今、目の前の大きな掲示板に合格者たちの番号が載った紙が貼り終わった。受験者が今年も多いため別れて自分達の番号を探しに行く。一番最初に見つけたのは真琴。


「あったぁー!よかったぁ~」


 真琴自身はそんなにこの学校を受ける理由はなかった。はっきり言えばこの地域には女子校もあり、同じ中学の友達も受けるため、彼女としてはそこに入っても良かったのだ。でも二人が、特にアヤがここを受験するのを決めたのでこっちに変えたのだ。やっぱりこの二人といると楽しいし、アヤの真剣に打ち込む姿はどこか魅入るとこがあり、それをもっと間近で見ていたいのだ。…それが妖怪以外だったらなおいいのだが。


「おーい、真琴。俺はあったぞ!」

「うん、わたしもあったよ!さて残りはアヤだけね。この中ではアヤがギリギリのラインだったけど、去年あれだけ頑張ったんだから大丈夫よね」

「確かに趣味に没頭してたせいで成績は良くなかったけど、頭が悪いわけではないからな。大丈夫さ」


 さっそく二人はアヤの姿を探しす。周りは歓喜を上げる者や、落胆する者と溢れていて探すのが大変だ。そんな中リョウがいち早く見つけた。雑踏とする中、全く動かず俯いたままのアヤを…。

 慌てて駆け寄る二人!


「ちょっと!もしかしてアヤ落ちたの?」

「真琴、ストレートすぎ!落ち着け、まだ落ちたと決まってないから」

「だって俯いて固まってるのよ。どう考えても…」


ーどうしよう、せっかく合格したのに。又みんなで学校生活できると思ってたのに。ー


 そんなことを考えていると突然アヤが姿勢を上げ、大声を上げた!


「受かったーーー!!」


 意味が分からず二人の思考が止まった。さっきまで俯いて落胆してるように見えたアヤが、一転大はしゃぎで歓喜しているのだ。


「…ねぇ、落ちたんじゃないの?」

「失礼な。ちゃんと番号あったよ!」

「…じゃあ、なぜ俯いていたんだ?」

「いや~、去年頑張った苦労の日々を走馬灯のように懐かしんでただけだよ」


 笑顔で答えるアヤにやれやれと思うリョウに対し、真琴はアヤの胸ぐらを掴み上げた。


「ヱ、何ってグヘッ!真琴?グルしぃ~!ギブギブ!」

「あなたが悪いのよ~、人に勘違いさせる態度をとったのが~」

「笑顔で締め上げるな、真琴!それ以上キツくすると落ちるぞ!」

「落ちろ!」


 なんとか離してもらい許しを得るのに数十分かかった。


「…まったく。さぁ、帰るわよ。途中でファミレス寄ってくんでしょ?」

「そうだな。腹も減ったしそろそろ行くか」


 二人が校門の方に歩いて行く。しかしアヤだけはその場から動こうとしない。


「あ、ごめん。先に行ってて。僕ちょっと見ていきたいとこがあるからさ!」


 そう言ってアヤは校舎に向かって走っていった。


「あ、こら。ちょっと待ちなさい!今日校舎に入ったらダメ!」

「もう行っちゃたぞ、アヤの奴…」


 二人の返事を聞く前にアヤは校舎へと入っていく。どうしてもここに来た以上、もう一度覗いておきたかった場所へと向かう。


ー妖探索研究部へー

今回初めて投稿してみました。

自分なりに頑張りますのでヨロシクです。

次回は部活について書こうと思います。

では又。

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