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Ordinary  作者: ギヨティーヌ
第一章
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偶然という名の出会い

毎朝6:30起床。簡単な朝ごはんをすませ、近所じゃそこそこ人気のある制服を着て学校指定の靴を履きガランとしたさびしい玄関を出る。我ながら、さびしい部屋だとは思っているのだが、なにぶん無趣味なのでこれといってやる気は出ない。よって玄関も部屋もつまらない空間と化している。


わたし、月野翠は平凡な生活をこよなく愛しているごく普通の高校生だ。薄ピンク色のふちをしたメガネと胸あたりまでのびている黒髪。地味とまではいかないものの、すれ違っても印象には残らなさそうな容姿をしている。翠自身もそう自覚しており、平凡好きな翠にとってはこの容姿に心地よさも感じている。


翠の通う白崎第二高校は同じ市内にある白崎第一高校の姉妹校で、第一高校に通う生徒の数が年々増加傾向にあったために創立された。第二が創立されたことと交通の便が良いことから受験者も増え、両校ともに生徒数は500人程度になるが、第一しかなかったときは第一だけで生徒数が800人近くいたらしい。


もう桜が咲いていた影もなくなった木々から昨日の雨の雫が風に揺られてポツリとおちている。道路の水溜りは太陽の光が反射してきらきらと輝いていた。


(今日は天気がいい・・・。)


雲一つない空を見上げながら翠がそう思っていると、


「す~い~ちゃーん!!」


朝でもいつでもハイテンションです!というほどの元気な声が聞こえてきた。


「香奈華ちゃん、おはよう。」

「おっはよ~う!翠。元気がないぞ!」

「香奈華ちゃんは元気だね。普通の人は朝からそんなに元気じゃないよ。」


まぁね~と胸を張って答えている彼女は、千条香奈華。翠と一緒のクラスで翠の友達だ。肩に着くか着かないかぐらいの髪と、制服からのびている日に焼けた腕はいかにも体育会系に見えるし、実際にそうだ。


「香奈華ちゃん、今日は早いね。」

「目覚ましへんな時間にセットしちゃって。ほんとはもっと寝てたかったんだけどね。あと三十分くらい。」

「それじゃ遅刻しちゃうよ!」


香奈華はいつも遅刻ギリギリの時間に来ている。前に理由を聞いたら睡眠に勝てるものはないと胸を張って答えられた。自慢できることじゃないと思うのだけれど。


「それにしても翠はえらいよね~。こんな早い時間に学校来てるのにお弁当自分で作ってるんでしょ?」

「うん。」

「一人暮らしだっけ?」

「そうだよ。」

「いいよね~。一人暮らし。憧れるわ・・・。」

「あんまりいいものじゃないよ?」


帰ってきたときだれもいないあのガランとした雰囲気が翠は好きではなかった。「おかえり」と言ってくれる人がいるのは幸せなことだと思う。

そんな他愛もない会話をしているうちに、翠たち第二校生のほとんどが通学に利用している白崎駅についた。







(今日もあまり人はいないな・・・。)


この時間帯は人が少ない。白崎駅は主に通学の手段として使用されている。だから登校するにはまだ早いこの時間帯で利用する人は、通勤者か翠たちのように早めに登校する生徒だけである。


「この時間帯も人って少ないんだね~。」


香奈華ちゃんも同じことを思ったらしい。しかしその発言に私は若干の違和感を感じた。


「この時間帯もって?」


「あ~・・。ほら、あたしっていつも遅刻ギリギリに来るじゃない?そのときも第二校生はあまりっていうかほとんど見かけないのよ~。」


「あぁ、なるほど。」


ちょっと恥ずかしそうに答える香奈華ちゃんに私は苦笑交じりで答えながら入学式の日のことを思い出していた。


入学式の日、生徒用玄関に貼られたクラス表をみて自分がF組だと分かった私は、1-Fの教室にむかった。そのときすでに何人かの生徒が教室にいた。みんな好きなところに座っているらしく私は窓際の空いている席に座った。知り合いがいないことに少しさびしさを感じてはいたが、話しかける勇気も出ず、ただ時間だけが刻々と過ぎていった。それまでおしゃべりに興じていた人も、時計の針が55分を指すころにはみんな着席していた。初日ということもあって緊張しているのだろう。そのときしゃべる人はいなかった。私も初めての高校生活に期待と不安を寄せていた。

が、そのとき

 

「すいません!寝坊で遅刻しました!!」


とても大きな声だったから今でも覚えている。1人の少女がバタンッとすごい勢いで教室のドアを開け、よく通る声でそう言ったのだ。一瞬静まり返った教室だったが、


「香奈華~。入学式も遅刻ギリギリに登校?」


「さすが千条!遅刻女王は高校でも健在か!」


などと、別段驚きもせずクラスメイトが半分笑い半分呆れながら香奈華という少女に声をかけた。


(にぎやかな子だなぁ・・・。)


というのが私にとっての香奈華という少女の第一印象である。

香奈華ちゃんは空いてる席を探してキョロキョロと教室を見渡し私の後ろの席が空いていることに気づくと軽い足取りで歩いてきた。運動が得意そうだな~なんて見ていると、途中ぱったりと目があった。反射的に私は視線を逸らしそうになったが、香奈華ちゃんは違った。私にニコッと微笑むと私の後ろの席にかばんを置いて、私の横に来ると


「あたしは千条香奈華。よろしくね?」


と人懐こい笑みを浮かべ自己紹介をした。私もとっさに


「私は月野翠です。こちらこそよろしくお願いします。」


と自己紹介をした。香奈華ちゃんは、


「すい、かぁ~。すごくきれいな名前だね!」


と私の名前を褒めてくれた。私も自分の名前は気に入っていたので、うれしくなって、


「かなかっていう名前もすごく素敵です!」


と香奈華ちゃんの名前を褒め返した。香奈華ちゃんはありがとうと、また笑みを浮かべてくれた。


(すごくいい人だぁ~・・。)


これが香奈華ちゃんの第二印象だった。



読んでくださった方ありがとうございます。

及川零夜君が登場するのはもう少し先になるかと思います。

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