1~2 side 香奈華Ⅱ
駅についてまず思ったことは、
「この時間帯も人って少ないんだね~。」
だった。
だって、ぐるりと一回りしてみても、第二校生が一人もいない。
私が行くときもいないけど・・・・。
しかし、よくわからなかったらしい翠が尋ねてきた。
「この時間帯もって?」
あぁ・・。翠は遅刻ギリギリの時間に来たことがないからわかんないよね・・・。
「あ~・・。ほら、あたしっていつも遅刻ギリギリに来るじゃない?そのときも第二校生はあまりっていうかほとんど見かけないのよ~。」
言っているうちに恥ずかしくなって、顔が熱を持つ。最後のほうはもう聞き取れないくらい小さな声になってしまった。
「あぁ、なるほど。」
そんな私の答えに翠は苦笑を交えて答える。
翠さん・・・・。どうしたらそんなに早く起きれるのでしょうか?疑問です。
すると不意に翠が笑った。
・・・どうしちゃったのかな?何か面白いものでも見えたの?はたまた思い出し笑い??
思わずじっと翠に見入っていた。その視線に翠も気づいたらしく顔を上げ、私の顔を不思議そうに見る。
「どうしたの?香奈華ちゃん。」
「ん?いや、翠が笑ってたから何かな~と思って。」
「うそ、私笑ってた?」
「うん。ばっちり。」
どうやら無意識に笑っていたらしい。
翠らしいな~なんて思った。
だから、このまま聞き流そうかと考える。
けど、気になるものは気になるんだから仕方ない。
(聞きたいことは質問するのが一番!好奇心には負けられないよね!)
だから聞いてみた。ちょっと冗談を含めて。きっと翠は真っ赤になるであろうと予想して。
「何考えてたの?エッチなこと?」
「もう!!香奈華ちゃんたら!」
案の定翠は真っ赤になる。こういう反応が可愛いと思う。恋愛に奥手な翠の純情な反応。駄目だと思うんだけどついついからかっちゃう。
「もう、香奈華ちゃんたら・・・・・。」
ぶつぶつと文句を言っている翠。こういうのも翠が相手だと可愛いななんて思ってしまう。
微笑ましい翠の姿に思わず笑みをうかべる。
けど、そんな私に気づいたかあるいは気づいていないか、たぶん気づいていないのだろうけど。翠はさっきの私のからかいを否定する。もちろん翠がそんなこと考えているとは、端から思っていないけど。
「違うよ。入学式の日の事思い出してたの。」
(ゲッ・・・・・。)
思わず顔を歪める。
だって、たぶん翠の言いたいことは始業式の朝。初っ端から遅刻した私のことだから。
「忘れてよ。あのときの事は。恥ずかしいんだから・・・。」
「そうは思わないけどな・・・。」
私にとっては忌まわしい思い出。それを翠は否定する。どうして??
反射的にたずねる。
「なんで?初日早々遅刻ギリギリだよ!恥ずかしいに決まってるじゃない~。」
遅刻女王なんて呼ばれる私の遅刻癖。
なんで、恥ずかしくないの?
「そうかな?だって、あの日香奈華ちゃんが遅刻ギリギリで来なかったら私香奈華ちゃんと友達になれなかった気がするんだもん。」
翠は言った。
「だから、恥ずかしくなんかないよ?香奈華ちゃんと友達になれてよかった!」
(あぁ、そうだった。翠はこういう子だ。)
人の欠点を長所とみなし、どんなことでも人を嗤ったりしない。
私は、こんな翠が、優しくてあたたかなこういうところを好きになったのだ。
目頭が熱くなる。溢れ出てくるのは喜びと嬉しさ。
そんな私を見た翠があわてた声を出す。
「香奈華ちゃん!?」
たまらなくなって私は、この小さな体に抱きつく。
わぁっという翠の声が聞こえたが、今はそんなことおかまいなしだ。
「ありがとぉ~~!!」
一番伝えたい言葉。
私の様子におろおろする翠。
「そんな風に思ってくれてたなんて・・。翠ありがとぉ!!大好き!!」
一瞬翠が固まった気がした。そしておずおずと私の背に手を回す。
「私も香奈華ちゃんのこと大好きだよ!!」
翠は言った。
大好き。翠と出会えてよかったよ。こんなに友達思いの優しい子、めったにいない。人生で一度も会えないかもしれない、そんな親友に私は出会えた。だから、ありがとう。時々貴方が見せる暗い顔。一体何がそうさせるのかは分からない。けど、待ってる。貴方が話せるときがきたら話してほしい。私はあなたの親友だから。
だから、信じて?
まず、謝ります。
今日中に更新できるとか言って、一体何日かかっとんじゃ~~!!
ほんとにすみませんでした!!
え~・・、気を取り直して内容について。
前回、そして今回。香奈華視点でした。
いかがでしたでしょうか?
なんかもう最後のほうグダグダになっちゃいましたけど・・。(笑)
でも香奈華はこういう子だって分かってくれたらうれしいです!
次回は本編に戻る予定です。
しばしお待ちくだされ!
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次回もよろしくお願いします。