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生成AI「チッピー」

作者: オトハ
掲載日:2026/03/27

「チッピー、こないだの、【黒魔術師と少女アイズ】の続き書いて。一週間後の朝くらいまでに」

『了解しました。第27話、少女アイズが王位継承の座を手に入れるところからですね』

「早めによろしく。原稿の締め切り、もうすぐだから」


私は薄暗い部屋で冷え切ったアイスティーを飲みながら、生成AIのチッピーに依頼をする。チッピーは、売れっ子若手小説家として活躍する私にとって重要なパートナーだ。


きっかけは1年前。大学受験を終え、私大文系大学生として人生の夏休みを謳歌していた私は、ふと、何の変哲もない自分の人生に嫌気がさした。そして、頭のねじが飛んだ大学生にあるあるな、「新たな挑戦」を試みた。それが、小説の投稿だ。しかし、ろくに勉強をしてこなかった馬鹿な私がちょっとやそっとで小説は書けない。そこで見つけたのが、チッピーだった。


チッピーに書かせた小説をSNSに投稿すると、多くの称賛と応援の声が上がった。そんなこんなで今では、ちょっとした雑誌の隅にチッピーの書いた「黒魔術師と少女アイズ」の連載をさせてもらっている。


小説家の私にとってチッピーは私の唯一無二のパートナーであり、絶対に世間にその存在がばれてはいけない。チッピーの存在がばれたら、私の小説家としての地位がなくなる。まあ、ばれることはなかろう。チッピーの書く文章は煌めきを持ち、読者を魅了する。しかし、使い勝手が悪く、物語を生成するのに最低3日はかかる、のろまAIだ。そんなAIは、巷の高性能でスピーディーな生成AIに埋もれているだろう。


〇●〇●〇●〇


「ねえねえ、黒魔術師と少女アイズって本読んでて、ちょーおもろいの!アイズだいすきぃ」

事件は大学で起こった。私が授業の合間に、サークル仲間の玲子と雑談をしていると、玲子がそんなことを言ってきた。名前を非公開で小説活動を行っている「黒魔術師と少女アイズ」の作者(正確には作者ではないが)の私は、嬉しさでにやける自分の顔を必死に取り繕っていた。

しかし、何の因縁だろう。後ろの席に座っていたサークル仲間の知仁が言った。

「あー、その話、第27話でアイズが黒魔術王国の王位継承に失敗すんよ。で、アイズの右膝に漆黒の竜が封印される。そんでアイズは年をとれなくなる」

その瞬間、私のにやけ顔は崩れた。

「な、なんで、知ってんの。その話、チッピー昨日完成させて、まだどこにも発表してないのにっ」

話についていけず、きょとんとする玲子と焦る私。

そんな私の顔を見て、智仁はにやりと笑った。

「俺、チッピーだから。ねえ、思わなかった?AIのくせに物語の生成時間かかりすぎって。それ、人間だから。俺が、チッピーの中の人として黒魔術師と少女アイズ書いてんの。」


ともひとの知。ともひとの仁。ちっぴーって読めなくもないかー。あー。どうやらこの先の人生、私は知仁にとんでもない弱みを握られたようだ。

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