蒼生民家にいく
ナレーション(低く、ゆっくり)
【室内】
ナレーション
「日本の民家。」
「典型であり、そして前線の拠点として使われる、特殊な場所。」
(畳を踏む音)
「畳は長年の重みを吸い、踏めばわずかに沈む。」
「戸を閉めれば、外の風と妖気は遮断される。」
(戸を閉める音)
「漂うのは、乾いた藁と、木と土の混じる湿った空気。」
「生きていた土地の匂いだった。」
【主の確認】
草薙
「……蒼生家だ」
【巫女の観察】
(静かな足音)
ナレーション
「白巫女が、三歩後ろから歩み出る。」
「この家が、どれほど“実り”に満ちている
かが、黙っていても伝わってくる。」
【衣擦れ】
(畳のきしみ/布が擦れる音)
ナレーション
「巫女が歩くたび、畳がきしみ、法装の布が擦れる。」
「その動きに合わせ、胸と腰が、抑えきれずに揺れた。」
(わずかな衣の揺れ)
「室内だからこそ、その存在感は際立つ。」
「湯気の残る空気の中で、白い肌の輪郭が浮かび上がる。」
【巫女の言葉】
白巫女(小さく)
「……落ち着きますね」
草薙
「そうか」
白巫女
「土と、木と……生きていた場所の匂いが、残っています」
【主の視線】
(衣が揺れる微かな音)
ナレーション
「主は壁際に腰を下ろし、外の気配に意識を向ける。」
「だが、視界の端に入るものがある。」
「揺れ。」
「体温。」
「女という、確かな存在。」
【任務の再確認】
草薙(低く)
「ここは、ただの民家じゃない」
「前線の拠点だ」
白巫女(静かに)
「……はい」
「主様と共に、ここから戦います」
【不穏な気配】
(遠くで風の音)
ナレーション「洞窟の方角で、何かが動く気配。」
【締め】
ナレーション
「だが今は――」
「この古い田舎家の中で、
命が、静かに呼吸していた。」




