巫女を狙う気配と守る流れ
【ナレーション】
「幸い給え」
巫女の吐息は、次第に――熱を帯びていく。
(息遣い、ほんのり近づく)
白い肌には、汗とも、光ともつかぬ艶が浮かび、その輪郭が――ゆっくりと際立っていく。
(肉感神秘音)
主との感応によって、浄化の力は、確かに高まっていた。
(間)
【主】
「……ここは、安定しつつあるようだな」
【ナレーション】
浄化の様子を見届け、主は静かに頷く。
妖魔の邪な干渉は、霧が晴れるように――
徐々に、霧散しつつあった。
だが。
その“影”の強さは、なお――濃い。
(低く息を吸う音)
【巫女】
「主様が……いてくれたから」
もし、主との直接の感応がなかったなら。
もし、主がいなかったなら。
(わずかな間)
妖魔の気配は、村人の意識に――
甘く、粘つく衝動を植えつけていただろう。
(胸元が上下するような呼吸音)
触れたい。
近づきたい。
奪いたい。
――そんな情動が、この肉感を持つ巫女へと、無遠慮に向けられていたはずだ。
(間)
だが今は――違う。
主と共にある。
それだけで、この場は、かろうじて保たれている。
【ナレーション】
一旦は、安心できそうだった。
……その時だ。
(SE:ぞわり、と空気が裂けるような低音)
殺気。
(環境音が一段、重くなる)
空気が変わる。
さっきまで薄れていた妖気が――
怒るように、干渉を強めてくる。
(遠く、洞窟の反響)
村の外れ。
洞窟のある方角から、
じっとりとした――視線。
【巫女】
「……見られている。これは……」
【主】
「妖魔……」
【ナレーション】
主は、警戒するように視線を据える。
この感覚は、間違いない。
白巫女は――気づいているのだろうか。
いや……気づいているはずだ。
(舞の途中、衣が大きく揺れる)
一瞬だけ。
巫女の胸が――いつもより、大きく揺れた。
(間)
……違う。揺れたのではない。
【ナレーション(低く)】
狙われている。
妖魔は、理解している。
あの巫女が、どれほど――
“力”を宿した存在かを。
どれほど、穢し甲斐のある――
生命の器かを。
(主の呼吸、静かに整う)
……ぶっ倒してやる。
【ナレーション】
主は、遠く――妖魔の潜む方角を見据える。
守るべきを、守るため。
倒すべきを、倒すため。
(一歩、踏み出す音)
白巫女もいく事を決意する
主と、感応したまま。




