妖魔との戦い
(ナレーション)
洞窟の奥で、影が跳ねた。
ぬめる妖魔が地を蹴り、距離を一気に詰めてくる。
湿った空気が裂け、黒い影が二人へ迫る。
(白巫女)
主様、来ます……!
(草薙)
ここで迎え撃つ。
(ナレーション)
草薙が前へ踏み込む。
拳が唸り、洞窟の空気を叩き割る。
(草薙)
はっ!
(ナレーション)
鋭い打撃。
火花が散り、妖魔の肩口が裂けた。
(妖魔)
ギィィッ!
(ナレーション)
不快な叫び。
だが、妖魔は止まらない。
裂けた傷口から黒い霧を噴き出しながら、さらに踏み込む。
(ナレーション)
草薙は即座に体を捻る。
岩を削るような一撃が、すれすれを通り過ぎる。
(草薙)
ちっ……数が多いな。
(白巫女)
主様、私めが支えます。
(ナレーション)
白巫女が一歩前へ出る。
洞窟の闇の中で、神衣が静かに揺れる。
呼吸とともに胸が上下し、命の気配が満ちていく。
(白巫女)
浄化の息……主様へ。
(ナレーション)
両手を胸の前で重ねる。
白い光が、彼女の身体から静かに滲み出た。
(白巫女)
感じます……主様の力と、私めの祈りが重なっています。蒼生の守りが、今ここで一つに結ばれています。
(ナレーション)
光が細い流れとなり、草薙の背へ届く。
身体の奥へ、熱が流れ込む。
(草薙)
……いいな、この感覚。力が、拳の奥まで通る。
(ナレーション)
拳が、白く光る。
(白巫女)
そのままです、主様……今なら、妖魔を打ち抜けます。
(ナレーション)
別の妖魔が飛びかかる。
黒い影が大きく広がり、洞窟の空気が歪む。
(草薙)
遅い!
(ナレーション)
一歩踏み込む。
真正面から拳が突き出される。
白光の一撃。
妖魔の体を、真っ直ぐに貫いた。
(妖魔)
ギ、ギャアアアアッ!
(ナレーション)
黒い霧が弾ける。
妖魔の身体は崩れ、闇へ溶けるように消えていく。
洞窟に、再び静寂が戻る。
だが――




