【音声作品版】洞窟へ向かう
「村 ― 出発の刻」
(朝の村の環境音)
(鳥の声)
(人々のざわめき)
白巫女(静かに)
「……主様、村人が集まっています」
(衣擦れ)
「夜の瘴気は退きましたが……まだ不安が残っているようです」
草薙
「ここで話す」
(足音・村の中央へ)
村人A
「おお……」
村人B
「蒼生の方々だ……」
草薙(声を張る)
「この地は持ち直した。だが――ここからだ」
(ざわめき)
草薙
「俺たちはここを拠点にする」
「妖魔は必ず断つ」
「この村も、田も、人も――守る」
(静まり返る)
村人達
「……ありがたい」
「助かります」
「蒼生大和が……」
(衣擦れ)
白巫女(丁寧に一礼)
「皆様、ご安心ください」
「主様の御言葉は、必ず現実になります」
(少し柔らかく)
「この地には……まだ命の気が残っています」
「田も、土も、必ず実りを取り戻します」
(村人の安堵の声)
草薙
「出発する。何かあれば言え」
白巫女
「承知しました」
(歩き出す足音)
◆
「山道」
(山の風)
(足元の土の音)
白巫女(静かな警戒)
「……村を離れました」
「ここから先は、山の気配が濃くなります」
(布が風に揺れる)
「主様の三歩後ろ……この距離を保ちます」
(足音)
「朝露で土が滑りやすくなっています」
「お気をつけください」
(少し低く)
「……この先から、空気が変わります」
草薙
「ああ」
(森が深くなる音)
白巫女
「木々が密になっています」
「光も弱くなってきました」
(足音・苔を踏む)
「地面が柔らかい……」
「ここは、人の山ではありません」
(風が洞窟側から吹く)
白巫女(警戒)
「……冷たい風」
(少し間)
「洞窟です」
(洞窟の風音)
白巫女
「あの岩陰の先」
「妖気が溜まっています」
(わずかな沈黙)
「……主様」
(低く)
「見張られています」
草薙
「ああ」
(洞窟の奥から風)
白巫女(静かな決意)
「湿り……異臭……」
「確かに棲みついています」
(衣擦れ)
「ここから先は戦いになります」
(短い呼吸)
「ですが」
(低く)
「主様の背は、私が守ります」
(洞窟の風が強くなる)
白巫女(囁くように)
「……洞窟が、近い」
(暗転)




