【広陵辞退】高野連は本当に「選手」を守りたいのだろうか……? 【朝夕二部制】
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は25年8月10日に出場辞退した広陵高校の今年1月に起きた部内暴力問題と
朝夕二部制についての個人的な意見を語っていこうと思います。
◇広陵高校暴力事件
質問者:
広陵高校と言えば、高校野球の強豪校として有名ですけど(春夏80勝、春優勝3回)……今回は春夏甲子園大会開幕後の不祥事による初の出場辞退という不名誉なことにどうしてなってしまったのでしょうか?
筆者:
実は広陵高校は25年7月下旬からSNSでは部員間の暴力行為が指摘されていたんですね。
これを受けて8月5日には高野連(日本高等学校野球連盟)が3月に厳重注意とした事案があったと公表し、翌6日、学校も2年生部員4人による1年生部員への暴力(カップ麺を1年生が食べたとした暴行事件)を公式に認めたんです。
更に8月6日夜には「性器を触られたり、乳首を舐めろと言われたりした」「風呂で熱湯をかけられた」「首を押さえつけられた」と言った「新しい事案」については被害届けも出しているということで問題になりました。
しかし、「厳重注意」と言う処分を受けているということで出場を引き続き行い、しかも8月7日の1回戦に勝利までしたんですね。
質問者:
それじゃなんか隠蔽しているみたいだと思われて炎上しますね……。
そもそも、体育会系の部活動は上下関係があって厄介なことが多そうですよね……。
筆者:
確かに目上の人生の先輩を敬うことは人生全体においても大事なことだと思います。
ですが、学生同士の関係ですからね。何がOKで何がダメかその境界線をハッキリさせることは難しいのかなと思います。
暴力や圧力以外の形で教師が指導していくことが大事でしょう。
質問者:
広陵高校については今後どうなるのでしょうか?
筆者:
8月10日には広陵高校堀校長が辞退を表明、SNS上で「爆破予告」を受けたり、野球部以外の生徒が誹謗中傷を受けるなどの被害があったと明かし、
「校長として生徒、教職員、地域の方々の命を守ることは、最優先することだということも踏まえて(出場辞退を)決意しました」ということで事態の鎮静化を図りました。
新事案についてはまだ正式なことは分からず、今後どうなるのかは推移を見守るしかありません。
春夏甲子園優勝7回(96勝)、プロ野球名球会員7人を輩出したPL学園では生徒の上下関係問題(付き人制度)などによって休部(事実上の廃部)まで追い込まれた事態がありましたが、似たような状況の広陵高校も最悪はそう言ったことにもなると思います。
◇高野連と広陵高校の「癒着疑惑」
質問者:
今回はSNSで騒ぎになったから何とか表面化したという感じですね……。
筆者:
ただ、こういった問題で難しいところは「転校=暴力事件」や「SNSで炎上=事実」が確定するわけでもなく、ただ単に「学校と合わなかった生徒」が「モンスター化して腹いせに」と言った可能性もあり得るんですね(今回は明らかに違いそうですけど)。
ただ今回は高野連で「厳重注意」があったということはある程度の「暴力事件の現実性」はあったことは間違いないんです。
質問者:
この件について問題の本質はどこにあるんでしょうか?
筆者:
これは「高野連の体質」に問題がある気がします。
特に厳重注意と言う処分を受けたことが「公表されない」ということが最大の問題でしょう。
公表されなければ「無かったことにできる」も同然ですからね。
特に退部や転校にまで追い込まれた被害者としてはこの状況は溜飲は下がらないでしょう。
しかもこの「厳重注意処分」をされた事案については25年1月に起きたそうなのですが、
高野連の
『 「注意・厳重注意」および「処分」結果の公表基準ガイドライン』
というのが2025年2月6日制定 2025年4月1日から施行されたのがありまして、
『憲章第 27 条に基づく「処分」は、「注意・厳重注意」に比較して、重大な憲章違反行為の場合
ですから原則公開とし、憲章第 26 条に基づく「注意・厳重注意」については原則非公開とする基本的な考え方は合理性があります。」』
という規則・要綱になったみたいなんですよね(これまでもこの規則だったのが問題視され、尚且つ肯定・確定された形)。
質問者:
なんと……まるでタイミング的に広陵高校を守るようなそんな感じがしますね……。
筆者:
正直なところ、高野連の内部がどうなっているかまでは僕は正確には分かりかねることですが、事実を並べるのであれば、
広陵の堀校長は広島高野連の副会長だった(今回の一件で辞任)ために「忖度」された可能性もあり、
広陵野球部中井監督は広陵高校理事の1人でもあるようで、「広陵高校内で野球部が聖域化」されている可能性も高いように思えます。
内部の人間では無いので憶測をすることしかできませんけどね。
質問者:
「絶対的な権力は絶対的に腐敗する」と言う言葉がありますけど、
この体制では多少の問題は“揉み消す“ことできそうですね……。
あの……高野連って高校を守るために存在しているんですか?
筆者:
高野連の理念として「3つのF」というのがあるようで
「Fair play」(フェアプレー)
「Friendship」(友情)
「Fighting spirit」(闘志)
だそうです。
「偉い人同士の3つのF」なのでしょうかね?
本来は高校生が溌溂と野球をプレイできるような環境整備をするために存在していると思うんですけどね……。
※8月11日追記:大会会長の角田克朝日新聞社社長と副会長の宝馨・日本高野連会長がその後会見し、
広陵高校と同様の事案は「各学校からの報告は年間1000件以上になる」とトンデモナイことを発言しました。
現状の「非公表」や「加害者が出場できる」状況では全くイジメの抑止力になっていないことの証左だと思います。
◇朝夕二部制の「奇妙なところ」
質問者:
何か話を聞いていると悲しくなってきますね……。
もう一つのトピックスとして「暑さ対策」として去年から「二部制」というものが甲子園で取り入れられたみたいなんですが、これについてはどうなんでしょうか?
筆者:
暑さ対策としては他にも大会中は理学療法士を10人以上常時在中、クーリングタイムの実施、救護室の設置などがありこれらは良い試みだと思います。
ただ、この「二部制」というのは暑さ対策として合理的なのか? と言うと疑問があります。
質問者:
どうしてなんでしょうか?
筆者:
まず、朝の試合では「回の終わった時点で13時半を過ぎていた場合、次の日に継続試合になる」「13時45分になった際にはその時点で打ち切りで翌日継続試合」というルールが2つ新設されたのです。
質問者:
継続試合って何ですか?
筆者:
継続試合と言うのは例えば9回裏でツーアウトランナー2塁・3塁)先行A高校4点ー後攻B高校3点で13時45分になった場合その瞬間で打ち止めになり。
翌日全く同じ状況(9回裏ツーアウト2塁・3塁)から再開します。たとえそれが1球で試合が終わりそうだとしても、です。
質問者:
なんと……。応援団の方とかはるばる応援に来た方は悲しいですね……。
筆者:
しかも神奈川県、愛知県など14時から県の決勝を行った地区もあったんですね。
7月27日ぐらいの13時半と8月7日ぐらいの14時にそこまで暑さに差があるとは思えません。
そのために「13時半」や「13時45分」は「全国共通のエビデンスがあるルール」ということではなく「なんとなく」決めているんですね。
更に2回戦からは2部制はなくなるんです。
8月中は基本的に暑いことに変わりなく、その間で急に涼しくなるということもない(涼しくなっても雨の影響でしょう)と思います。
質問者:
……そう言ったお話を聞くと「選手を暑さから守ること」と「二部制」というのはかなり遠いものに思えてきますね。
それなら一体何のための二部制なんでしょうか?
筆者:
ここからは完全に憶測なんですけど、試合形式の変更による「便乗値上げ」なんじゃないかと思います。
近年コロナで赤字に転落したことを受けて、急激に各席の値上げが行われています(カッコ内は前回改定値との差)。
2017年以前
中央特別自由席 2,000円
1塁・3塁特別自由席 1,500円
1塁・3塁アルプス席 600円
外野席 無料
2018年〜2021年(100回〜103回大会)
中央特別指定席(自由席から変更) 2,800円(+800円)
1塁・3塁特別自由席 2,000円(+500円)
1塁・3塁アルプス席 800円(+200円)
外野席 500円(+500円)
2022年(第104回大会)〜
中央特別指定席 4,200円(+1,400円)
1塁・3塁特別指定席(自由席から変更) 3,700円(+1,700円)
1塁・3塁アルプス指定席(自由席から変更) 1,400円(+600円)
外野指定席 1,000円(+500円)
2024年 午前券・午後券を新設(ある日のみ、半日分しか見れない)
中央指定席(午前・午後) (大人、子ども)2000円
1塁・3塁特別指定席(午前・午後) (大人)1700円(子ども)500円
1塁・3塁アルプス指定席(午前・午後) (大人、子ども)800円
外野指定席(午前・午後) (大人)500円(子ども)100円
2025年
中央指定席(1日券) 4800円(+600円)
中央指定席(午前・午後) 2500円(+500円)
1塁・3塁指定席(1日券) 3900円(+200円)
1塁・3塁指定席(午前・午後) 2000円(+300円)
1塁・3塁アルプス席 2000円(+600円)
1塁・3塁アルプス指定席(午前・午後) 800円(+200円)
外野指定席 1000円(+300円)
(子供料金は据え置き)
と言った感じです。
質問者:
中央席は8年で2倍以上、外野席は無料から1000円って尋常じゃないですね……。
筆者:
二部制とかシステムが変わればややこしくなるんで余計に値段を上げやすくなります。
商品のパッケージ自体が変わってきますからね。
何か「暑さ対策」とか「選手を守るため」とか「建前」にしか見えないというのが個人的な感想です。
◇「選手ファースト」の大会にして!
質問者:
そうなると暑さ対策ってどうしたらいいんでしょうか?
筆者:
本当に「酷暑から選手を守りたい」のであれば「甲子園大会を夏にやる」と言う固定観念を捨てた方が良いかなと思いますね。
ただ、「甲子園でやる」ことに関しては選手の多くの方に拘りがあるアンケート結果もあるようなので「複数球場制」にはしにくく、「夏」と言うところを変えるしかないと思います。
質問者:
でも、9月にやったら秋の大会が出来なくないですか?
筆者:
僕の改革案としてはこうです。
あまり存在意義を感じない春のシードを決めるだけの春県大会、春関東大会、秋の国体を廃止して
6月から7月まで夏のための大会を土日朝の早い時間か夕方に毎週ちょっとずつ行っていきます。
9月に夏にやっていた全国大会を行います。
10月に次の春選抜甲子園のための秋県大会を行い秋の各地区大会、秋神宮大会も廃止にします(1県1チーム出場にする)。
こういう感じのプランです。
質問者:
確かに3月から11月までプロ野球以上に高校野球って試合しているイメージありますよね……。
筆者:
よほど強いチームでない限りほとんど全ての大会に出ることは少ないとは思いますけど、
そんな強いチームにいる選手ほど将来有望な訳ですから、故障防止のためにも大会は減らすべきです。
運営する側も大変だと思いますしね。中学なんて全国大会そのものが無くなっている競技があるわけですから、メインの全国大会は残るので問題ない気がします。(審判は交通費宿泊代は支給も日当は3000円とほとんど出ないようで“やりがい搾取ボランティア”となっている)
――まぁ、僕は「見る専」でプレイヤーだったことは無いので感覚として分からないのが最大の弱点ですが(笑)。
質問者:
筆者さんは「文系もやし体型」ですからね……。
筆者:
僕のプランは一案なのでスルーでも良いですけど、
広陵高校事件の「厳重注意非公表」や「現在の二部制」というのは、
「生徒を守っているフリ」をしているだけにしか見えないのは間違いないのかなと思います。
「球数制限1週間500球」などもプロ野球でそんなに投げている方はまずいないレベルなので「無意味な球数制限」と言えるでしょう。どんなに多くても週300球が限界ラインかなと思います。
「ボロボロになってまで投げる」と言った昭和の雰囲気がぬぐえない感じがしますね。
こうした「やってます感」を出す運営ではなく、「選手ファースト」の運営をもっと行って欲しいなと思います。
ということで、普段は政治・経済について語りますが野球についてもたまに語りますのでどうぞご覧ください。