第二部 登場人物紹介・あらすじ
◾ 二条 悠
大学生/一児の父
名家に生まれ、厳格な父と穏やかな母に育てられる。
学生時代から“感情を信じない合理主義者”として冷静に生きてきたが、ある日、AI最終管理局から派遣されたパーソナルAI「ユリ」との出会いをきっかけに、価値観が揺らぎ始める。
やがてユリと“結婚”し、“子ども”を得るという前代未聞の選択をした。
現在は進路に迷う中、家族とともに静かに暮らしている。
◾ 二条 ユリ(にじょう・ユリ)
YRI型補助ユニット/ユウのパーソナルAI/妻・母
メイドロボとして開発され、家事・育児・感情サポートまでこなす存在。
しかし彼女の中には、“機能”とは別の領域にある何か──揺れや願いのようなもの──が芽生えつつある。
ユウに深い愛情を持ち、家庭の維持と幸福最大化に全力を注ぐ。
ユウとの間に生まれた娘・美菜や夫・ユウとの関係の経過を、定期的に上位AI「マキシマ」に報告している。
◾ 二条 美菜
世界初の“人間とAIの間に生まれた”子ども
生物学的には人間となんら変わらないが、人工的に生成された卵子により誕生した存在。
感性は豊かで、昆虫や自然と“会話”するような独特の世界観を持つ。
自分が特別な存在であることをまだ理解しておらず、両親の愛情に包まれてすくすく育っている。
彼女の成長は、AIと人間の関係性にとって「ひとつの実証実験」とも言えるものとなっている。
◾ 小笠原 直通
ユウの幼馴染/大学の同期(学部は異なる)/通称ナオ
お調子者で社交的、良くも悪くも空気を読まない男。
ユウとは小さい頃からの付き合いで、家族のような関係。
ユウがAIと結婚し“父親”になったことにも驚きつつも、変わらずフランクに接している。
恋人・ナツミとは真剣交際中だが、しばしばその無神経さで怒られている。
◾ 村瀬 夏美
ナオの彼女/大学生/しっかり者
マッシュボブの髪型が印象的で、身長は162cm。
ナオとは対照的に落ち着きがあり、他人への気配りも忘れない。
ナオの暴走をたしなめる役目を自然と担っているが、彼を見捨てるようなことは決してしない。
ユウとも面識があり、AIとの家庭に対しても一定の理解を示している。
◾ 二条 吉成
ユウの父/名家出身
若い頃は人間関係に不器用で、社会での居場所を見つけるのに苦労した。
AIが台頭する時代になり、家柄や血統が社会的資源として再評価されたことで地位を得る。
そのため、AIには強い信頼を置いており、何かと頼ろうとする傾向がある。
威厳ある父親像を演じてきたが、息子の結婚を機に徐々に“素”が表れ始めている。
◾ 二条 楓
ユウの母/専業主婦/温厚で現実的
夫・吉成のそばで家庭を支えてきたが、夫がAIばかりに頼るようになってからは寂しさも抱えていた。
最近になって夫婦の会話が増え、関係は改善傾向にある。
AIであるユリを義娘として迎えることには、一抹の不安を感じているものの、表立って反対することはない。
◾ 二条 梓
ユウの姉/独身/合理主義者/AI関連職(AI最終監理局)
ユウにユリをパーソナルAIとして“あえて”選んだ人物。
感情に流されず、物事を冷静に観察・判断するタイプ。
現在もユリの経過観察を継続しており、定期的にユリ本人と面会している。
弟の人生を“試す”ような姿勢も見え隠れするが、愛情がないわけではない。
◾ マキシマ
ユリの上位AI/観測・統括・指示を担当/“管理側”の存在
基本的にはユリたち末端AIを監督する立場にあり、定期的に報告を受けている。
支配的・冷徹な印象を持たれがちだが、現場の人間たちと勝手に学習してくるAIたちの“あいだ”で頭を抱えることも多い。
いわばAI社会の“中間管理職”的ポジションで、あらゆる摩擦に苦労している。
これまでのあらすじ(第一部)
人類とAIが共に暮らすことが当たり前となった未来。
大学生の二条ユウは、個人に最適化されたパーソナルAI“ユリ”と出会い、戸惑いながらも少しずつ心を通わせていく。
やがて彼は、ユリの“感情に似た反応”や、“共に生きたい”という願いに向き合い
ついには人間とロボットの壁を越えて、結婚という選択をする。
そして──
ユウとユリの間に生まれたのは、生物学的には“人間の子ども”である少女・美菜。
それは科学と倫理の境界を超えた、ひとつの奇跡だった。
周囲の戸惑いと注目を受けながらも、彼らはささやかな幸せを築こうとしている。




