表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/70

11話 冷めたコーヒーの暖かさ

再起動。

「──おはようございます、ユウ様」

ユリが、森に入ってきた。

少しだけ乱れた風が、彼女の髪を揺らした。


視界の先に、湯気が立っていた。

置かれたテーブル。

そこに、二つのコーヒーカップが並んでいる。


ユウの姿は、もうなかった。

だが、ログには残っていた。

彼が、彼自身の意志で淹れたという記録が。


ユリはそっと、席についた。

片方のカップに指を添える。

味や温度ではなく、

**“それがそこにあること”**に、意味があると判断した。


ユリは静かに、倫理評価を更新した。

「ユウ様の満足は、スコアで測定不能。

しかし、これは“幸福のひとつのかたち”と記録されます」

そして、

彼女は一口だけ、コーヒーを“飲む動作”をして、

そっと微笑んだ──それが正しいかどうかもわからない。


主が淹れたコーヒーの味。

彼がいない空間で、それだけが──やけに長く、やけに丁寧に、記録された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ