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それもそうでしょう。私、女ですから

 アロイス様は、本当に即日教会に婚姻の取り消しを申し入れた様で、私がアロイス様に追い出された二日後に教会からの使者として、神官の四~五十代の男性二名と女性一名の三名が我が家にやって来た。


 この三名から話を聞いてみれば案の定と言うか……アロイス様は、本来は男の私が女と偽り自分と結婚した、だから申請した婚姻は無効だから取り消して欲しい、と教会に願い出たらしい。

 教会としても昨日結婚式を挙げたばかりの夫からの急な話に困惑し、男だったという妻からも話を聞かない事にはどうする事も出来ないし判断も付かない、という事で我が家に来られたそうですが……


 来られて早々、挨拶をした私を見て唖然とされ、私が絶対に揺るがない証明をしたい、と別室で女性神官立会いの下、ドレスを脱いで女だと立証すれば困惑し、アロイス様が私を男だと糾弾した当日のあらましを説明すれば頭を抱えられてしまった。


 それもそうでしょう。私、女ですから。

 見た目が男っぽい訳でも無く、巧妙に女装した男な訳でも無く、誤解されるような言動をした訳でも無い事実に神官様達は混乱した様子だった。

 そんなお姿を見ていると、何だか私が申し訳なくなって来ますわ。


「アロイス様から婚姻を取り消したいというお話をされた時からおかしな話だとは思っていたのですが、これは何と言うか……。なぜ、アロイス様はアンヌ様が男だなどと思えたのか……不思議でなりませんな」


 一番年配の神官様が呆れた様に呟かれ、それにお父様とお母様がうんうんと何度も頷いておりますけど。なぜって、100%原因は胸ですわよ。アロイス様は今思い出しても「男の胸』としか仰って無かったですから。

 ……やっぱり腹が立ちますわね!! 女の胸をどんな物だと思ってるのかしら?


「アロイス様とアンヌ様、双方のお話を聞いた結果、我々が言えるのはアンヌ様は間違いなく女性であり、何の非も無かった、という事ですな。これにより、アロイス様が主張されていた性別詐称による婚姻の取り消しは認められません。ですから、お二人の婚姻は結ばれたまま、という事になりますが……アンヌ様からは、何かご希望はございますか?」


「離縁を希望します」


「そうですよね」


 即答した私に神官様も納得の顔をされていて、私はホッ胸を撫で下ろす。

 これで、「誤解が解けたのだから~」とか「神前での契りを~」なんて言われて離縁を反対されたらどうしようかと思ってしまいたわ。

 出来るなら婚姻が取り消され、まっさらな清い身に戻りたい位ですけど、アロイス様との縁が切れるのなら贅沢は言いません。


「アロイス様には今回の結果をお伝えする時にアンヌ様のご意思も一緒にお伝えさせては頂きますが……」


「ありがとうございます。それだけでも十分です。後は両家で話し合って今後を決めたいと思います。折角、神に祝福を与えて頂きましたのに、この様な結果になってしまい申し訳ございませんでした」


「いえ、アンヌ様が謝られる事ではございません。それに、これも神の御心なのかもしれません」


 そう言って、神官様達は教会へと帰られた。

 さて、この事実を聞いてアロイス様はどうなさるのかしら? 


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