【フリーシナリオ】いじわるなのじゃロリ座敷童に耳かきされる。
(位置関係:正面 近距離。主人公の枕元に座っている状態)
おーい、おーいお主。起きんか。
おーい……あぁ、やっと起きたか。
お主、妾と遊べ。
ん? 今は何時かじゃと? 今は夜中の2時じゃが……
こんな時間に遊んでたらお化けが出るよじゃと。お主……それで妾を脅しているつもりか?
そうやって妾を怖がらせて帰らせようって魂胆じゃな。
まぁ、よい。それにお化けが出るというのもあながち間違いではないかもしれんのぉ。現にお主の目の前にも……ククッ。
妾か? 妾は座敷童と呼ばれている妖怪じゃ……
非現実的すぎて信じられない? じゃが、不思議には思わんか?
部屋に入ったときお主はちゃんと鍵をかけたよなぁ。それに窓には鍵がかかっていた。なら、妾はどうやってこの部屋に入ったというのじゃ?
確かに部屋に鍵はかけたけど、窓の鍵までは確かめてない? そうか、確かにお主はこの部屋に入ってきてすぐに寝てしまったからなぁ。
もしかして疲れておったのか。ほれ、何があったか言うてみい。力にはなれんが悩みを聞いてやるぐらいはできよう。
…………。
……そうか。仕事の都合でこの地に出張に来たけど慣れない土地で迷ってしまい取引先に迷惑をかけたと。なるほど、それは辛かったの。
だから、今はゆっくりしたいと、妾と遊ぶことはできないというのじゃな。
なっ、なら耳かきはどうじゃ?
前にこの部屋に泊まった男が耳かきされるのが好きなやつでのぉ。エーエスエムアール? とかいうやつじゃ。それならお主もゆっくりしながら妾も楽しむことができる。
耳かきが楽しいのかじゃと? まぁ、もっと他に楽しい遊びはあるが、中々嫌いではないぞ。
ほれ、妾の膝に頭を乗せよ。
ほうほう、結構溜まっておるの。これはやり甲斐があるのじゃ。それじゃあ、早速始めていくかの。
(耳かき音)
ちょっと掻いただけで耳垢がもうこんなにも取れる。耳の中を綺麗にしていくのはそれなりに達成感もあって妾は好きだぞ。
それに…
(耳に息を吹きかける)
ククッ、耳に息を吹きかけたときのビクビクッとした動きはやはり面白いな。
(耳に息を吹きかける)
またビクッとしたな。一度やったら二度目はないと思ったか? 妾は意地悪な性分でな、寝ようとしている姿を見れば悪戯をして起こしてしまいたくなるのじゃ。
何? 座敷童は見た人に幸福をもたらす妖怪って言われているから、きっと優しい性格だと思った。
何を言っておる。お主を耳かきで気持ちよくしておる妾はとっても優しいじゃろ?
なんての、冗談じゃ。確かに妾は意地が悪く、お主が言うように優しくはないじゃろうな。じゃが、噂には尾ひれがつくものじゃ。妾のような意地悪な座敷童でも巨万の富をもたらせば、優しく見えるのではないか?
それに座敷童が悪戯好きな妖怪だというのは有名な話だぞ。
例えばどんな悪戯をしたのか?
何だお主、妾のやった悪戯に興味があるのか? いいだろう。特別にお主に教えてやろう。
と、その前に――
(耳に息を吹きかける)
うむ、こちらの耳は綺麗になったな。ほれ、反対の耳も綺麗にしてやろう。反対を向くのじゃ。
(反対の耳。耳かき)
ククッ、こちらの耳もまあまあ溜まっておるな。これは楽しめそうじゃあ。
カリカリ、カリカリ。こうやって耳垢を掻き出す度にお主の表情が少しずつ柔らかくなっていくのを見るのは楽しいな。
ん? 何じゃ? おぉ、そうじゃった。妾がやってきた過去の悪戯を聞かせてやるのじゃったな。お主の耳かきに夢中になってすっかり忘れておったのじゃ。
そうじゃなぁ、それはこの宿ができるより前のかなり昔の話じゃ。
この場所には神社が建っておったのじゃが、その神主はインチキで信者を騙す悪いやつだったのじゃ。だから妾は一晩中騒いでやつの安眠を邪魔したり、物を勝手に動かして困らせたり、他にはそうじゃのう歩いているときに足を引っ掛けて転ばせたりもしたものじゃ。
――っと、お主。ちゃんと聞いておるのか? 先程から頭がぐらぐらと揺れておるぞ。耳かきで気持ちよくなって寝ちゃいそうなのは分かるが、動くと耳かき棒が刺さって危ない。
(耳に息を吹きかける)
うむ、前に耳かきをした人間は耳に息を吹きかけると身体をびくりと震わせて起きたのだが……お主相当疲れておるのだな。
そうか、もう寝てしまうのか?
ならば、耳かきはしまいかの。妾は遊び足りないぞ。もう少し、もう少しだけ妾と遊ぼう。
ほれ、妾にやって欲しいことはないか? 今の妾は寛大じゃからの、遊んでくれるならお主の願いを叶えてやってもよいぞ。
ん? じゃあ、耳マッサージをやってじゃと? はて、そのマッサージとは何じゃ?
ほうほう、なるほどのぉ。つまりは耳を按摩すればよいのじゃな。それならば任せよ。気持ちのいい按摩……っと、マッサージじゃったな。それをしてやろう。
(耳マッサージ音)
どうじゃ? 気持ちいいじゃろ?
耳の周りの凹凸を指で擦って。もみもみ、もみもみ。
それにしても、お主の耳は柔らかくて気持ちがいい、妾も耳を触るのが楽しい。
……返事がないぞ。
(顔を覗き込む数秒の間)
そうか、寝てしまったか。
まぁ、妾も満足したし今日はこれでよしとするか。
次来るときはもっとゆっくり耳かきをしてやろう。だから、また遊びに来るのじゃぞ。




