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デビルエンジェル

作者: りょさぬ
掲載日:2021/04/10


 窃盗犯の身体を羽交い締めにしているデビルエンジェル

 警察官があらわれる。


警「その人を放しなさい!」


デ「俺は、法で裁けない悪を裁く、デビルエンジェル!」


警「いいから放しなさい!」


デ「法で裁けない悪を裁く!」


警「だから、放しなさい」


デ「法で」


警「聞けって!……その人のやったのは窃盗なの!法でカバーしている範囲だから」


デ「俺の名は」


警「デビルエンジェル!」


デ「法で……」


警「裁きますから!我々の管轄だからそこは」


デ「所轄の管轄、本庁の管轄などとゴチャゴチャとややこしい警察に、はたして本当の正義が実現できるかな?」


警「そういう意味で言ったんじゃない。……ドラマとかに影響されるタイプか?」


 デビルエンジェルはナイフを警官に向ける。

 警官は銃をデビルエンジェルに向ける。

 デビルエンジェルはおびえる。


警「ビビったね?」


デ「俺はビビらない!俺はデビルエンジェルだから」


 警官は空に向けて銃を打つ。

 デビルエンジェルはナイフを落とすが、あわてて拾う。


警「空砲です」


デ「俺の名はデビルエンジェル」


警「そこ戻ってくるの?……てかさぁ、そのデビルエンジェルっていう名前もちょっとひっかかるのよね。というのもさ、たとえばだけどね、ダークエンジェル、だったら悪要素30、正義要素70くらいで、ちょっとダークなヒーローでカッコいいなって思うじゃん。でもデビルエンジェルだと、悪要素50、正義要素50の五分五分で、ちょっとどっちつかずっていう印象が拭えないのですよ。なんかヘタすると、他人に厳しく自分に甘い、みたいに思われてしまうのではないかなと危惧しているのですよ」


 デビルエンジェルは首を傾げる


警「難しかった?……忘れてちょうだい」


デ「わすれよう……法で裁けない悪を裁くのみ」


警「そこの部分もね、法で裁けない悪といったら、たとえばね、たとえばよ……汚職を働いておいて秘書に濡れ衣をかぶせる政治家とか、社員を低賃金で長時間働かせて、パワハラもして自殺に追い込んだりする経営者とか……いるじゃん?」


デ「そういうのは警察がなんとかしろ!」


警「言い返せねえわ!こっちもおまえに頑張れとは言えん!」


デ「そういうデカい悪は無理だ!」


警「あきらめが早い!」


デ「俺が裁くのは小さい悪だ……ちいさい悪見ぃつけた〜♪」


警「小さい秋みたいに言うな」


デ「水を出しっぱなしにする、トイレを流さない、おもちゃをかたづけない、そのような法で裁けない……」


警「親がしつけろ!」


デ「食事の時にクチャクチャ音をたてる、くしゃみをするとき腕で口元を押さえない、風呂に入る前にかけ湯をしない、そのような法で……」


警「マナーだな……マナーとかエチケットの範囲内だ」


デ「陰で俺の悪口を言う……」


警「なんかあったんか」


デ「痴漢を働く男」


警「それは法」


デ「俺だ!」


警「おまえかい!」


デ「20年前」


警「結構前だな……あんたいまいくつ?」


デ「32」


警「犯行当時12歳か〜」


デ「小6」


警「ギリギリセーフ?」


デ「長い黒髪の小股の切れ上がった美しい女性だった」


警「オッサンくさいな!小6の時点で小股の切れ上がったとかいうイメージをインプットしておくなよ」


デ「柔らかいお尻だった」


警「いい思い出にしてんじゃねえ!」


デ「スカート越しからも伝わる、驚くほどなめらかな肌のさわり心地、優しく香る柑橘系の香水……」


警「情景が鮮明すぎるな……本当は昨日のこととかじゃないか?これは、ちょっと署までご同行願おうかな?」


デ「俺の名はデビルエンジェル」


警「それでごまかせないよ?」


デ「法で裁けない」


警「ウルセェ!法で裁くからこい!」


 警:デビルエンジェルの手を掴む

 窃盗犯が自由になる


警「おまえも、来いよ、おまえも!……ちょっ!まて!逃げんな!」


 警:窃盗犯を追おうとする

 デ:逃げる


警「えぇっ!」


 警:どちらを負うか一瞬迷う


警「……まてデビルエンジェル!」

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