デビルエンジェル
窃盗犯の身体を羽交い締めにしているデビルエンジェル
警察官があらわれる。
警「その人を放しなさい!」
デ「俺は、法で裁けない悪を裁く、デビルエンジェル!」
警「いいから放しなさい!」
デ「法で裁けない悪を裁く!」
警「だから、放しなさい」
デ「法で」
警「聞けって!……その人のやったのは窃盗なの!法でカバーしている範囲だから」
デ「俺の名は」
警「デビルエンジェル!」
デ「法で……」
警「裁きますから!我々の管轄だからそこは」
デ「所轄の管轄、本庁の管轄などとゴチャゴチャとややこしい警察に、はたして本当の正義が実現できるかな?」
警「そういう意味で言ったんじゃない。……ドラマとかに影響されるタイプか?」
デビルエンジェルはナイフを警官に向ける。
警官は銃をデビルエンジェルに向ける。
デビルエンジェルはおびえる。
警「ビビったね?」
デ「俺はビビらない!俺はデビルエンジェルだから」
警官は空に向けて銃を打つ。
デビルエンジェルはナイフを落とすが、あわてて拾う。
警「空砲です」
デ「俺の名はデビルエンジェル」
警「そこ戻ってくるの?……てかさぁ、そのデビルエンジェルっていう名前もちょっとひっかかるのよね。というのもさ、たとえばだけどね、ダークエンジェル、だったら悪要素30、正義要素70くらいで、ちょっとダークなヒーローでカッコいいなって思うじゃん。でもデビルエンジェルだと、悪要素50、正義要素50の五分五分で、ちょっとどっちつかずっていう印象が拭えないのですよ。なんかヘタすると、他人に厳しく自分に甘い、みたいに思われてしまうのではないかなと危惧しているのですよ」
デビルエンジェルは首を傾げる
警「難しかった?……忘れてちょうだい」
デ「わすれよう……法で裁けない悪を裁くのみ」
警「そこの部分もね、法で裁けない悪といったら、たとえばね、たとえばよ……汚職を働いておいて秘書に濡れ衣をかぶせる政治家とか、社員を低賃金で長時間働かせて、パワハラもして自殺に追い込んだりする経営者とか……いるじゃん?」
デ「そういうのは警察がなんとかしろ!」
警「言い返せねえわ!こっちもおまえに頑張れとは言えん!」
デ「そういうデカい悪は無理だ!」
警「あきらめが早い!」
デ「俺が裁くのは小さい悪だ……ちいさい悪見ぃつけた〜♪」
警「小さい秋みたいに言うな」
デ「水を出しっぱなしにする、トイレを流さない、おもちゃをかたづけない、そのような法で裁けない……」
警「親がしつけろ!」
デ「食事の時にクチャクチャ音をたてる、くしゃみをするとき腕で口元を押さえない、風呂に入る前にかけ湯をしない、そのような法で……」
警「マナーだな……マナーとかエチケットの範囲内だ」
デ「陰で俺の悪口を言う……」
警「なんかあったんか」
デ「痴漢を働く男」
警「それは法」
デ「俺だ!」
警「おまえかい!」
デ「20年前」
警「結構前だな……あんたいまいくつ?」
デ「32」
警「犯行当時12歳か〜」
デ「小6」
警「ギリギリセーフ?」
デ「長い黒髪の小股の切れ上がった美しい女性だった」
警「オッサンくさいな!小6の時点で小股の切れ上がったとかいうイメージをインプットしておくなよ」
デ「柔らかいお尻だった」
警「いい思い出にしてんじゃねえ!」
デ「スカート越しからも伝わる、驚くほどなめらかな肌のさわり心地、優しく香る柑橘系の香水……」
警「情景が鮮明すぎるな……本当は昨日のこととかじゃないか?これは、ちょっと署までご同行願おうかな?」
デ「俺の名はデビルエンジェル」
警「それでごまかせないよ?」
デ「法で裁けない」
警「ウルセェ!法で裁くからこい!」
警:デビルエンジェルの手を掴む
窃盗犯が自由になる
警「おまえも、来いよ、おまえも!……ちょっ!まて!逃げんな!」
警:窃盗犯を追おうとする
デ:逃げる
警「えぇっ!」
警:どちらを負うか一瞬迷う
警「……まてデビルエンジェル!」




