その4
テスト期間があったため、1ヶ月ほどお時間を頂くこととなってしまいました。
申し訳ないです。最新話の方よろしくお願いいたします
今日の授業は何も聞いていないし何も書いていない。
上野の言葉や俺の迷いから、授業への集中力はかなり散漫になっていた。
だが、大丈夫だろう。まだ入学から1週間しか経っていない。
オリエンテーションや部活見学などを終えたばかりで、授業という授業は受けてはいないのだ。
俺は帰りのホームルームが終わると、この一週間で通い慣れた図書室へと向かう。
最近の放課後は必ず図書室に行き、この部活動入部書と睨めっこだ。
「全く、何を悩んでるんだか…」
俺は立ち上がってライトノベルコーナーに立ち寄った。
棚の上から見ていくと、どれも見慣れた背表紙が広がっていた。
俺の部屋の本棚の方が充実してたな…なんて考えながら、
俺はそっと、1冊の本をとってペラペラとめくる。
この本は俺が初めて読んだライトノベルだ。懐かしい挿絵が見える。
「懐かしいな。これ読み切った時は感動で小説家になるとか言ってたっけ…」
過去を思い出すと恥ずかしくなりながらも懐かしさが込み上げてくる。
誰も居ない図書館でこうやって過去を振り返るのも悪くない。
窓から差し込む夕陽や、静けさが今という時間を輝かせてみせる。
「バラされたいのかと思ったら、放課後に1人でラノベ大会かしら。随分とやる気ね?」
突然後ろから声をかけられた。顔を見なくてもからかうよう表情で言っているんだろうと言うことがよく分かる。振り向くまでもない上野だ。
「別にそういう訳じゃない。俺はもう辞めたんだ。」
「そう、どうでもいいわ。それよりも、明日の土曜日暇?コホン、ごめんね。暇じゃないわけないよね」
なんなんだ。この女…失礼にもほどがある。まぁ暇なんだけど。
「言い方は腹立つが、暇だ。それがどうした?」
「明日、8時に神ノ星高校駅前に集合ね。現金は多めに持ってきて。遅刻したら殺す」
「ちょ、なんだよそれ?どこかいくのか?」
「行くのかもね?とりあえず、誠くんそのあきらめ顔を消し去ってあげるわ」
「いや、だから俺は誠だって…」
上野はそれだけ言うと、さっさと帰ってしまった。
1人残された俺は現実を受け入れられず、佇むだけだ。
「女子に誘われた……これはデートか!?」
だが、考えてみろ。あの上野だぞ?出会ってまだ数週間だぞ?
気がつくと、俺は手に取ったライトノベルを落としていた。
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「お兄ちゃん!おっはよー!!!!」
ドン!!と、鈍い音と共に俺の腹部に衝撃が走る
意識は夢の中から一瞬で現実にドロップアウトだ。
「げふぇええ!!!」
「もう、お兄ちゃんの唾がすごいよォ。ほら、でーとでそ?起きて!お兄ちゃん!」
視界がぼんやりとしている中で、俺の部屋に明るく日光がさしているのがわかる。
そして、こちらを見つめる可愛い妹が見えた。
「ゲホゲホ、お、おう…。おはよう瑠香…」
だが、朝からなんてダメージだ。美少女の妹でさえ重さがゼログラムなんてことはない。思春期の美少女が思いっきり乗っかったらどんな奴でも衝撃に苦しむはずだ。
妹よ、兄に優しくしてくれ…
ちなみに、久しぶりだから紹介しておくとこいつは俺の妹の瑠香だ。
歳は1つ下で、顔はめっちゃ可愛い。妹ながら嫁にしたいレベルで可愛いのだが、実の兄に結婚する権利などない。
いつか、お兄ちゃんキモイなど言われると思うと時々しんどくなる。
「お兄ちゃん?何キモイ顔してこっちみてるの?顔洗ってきなよ」
ガハァ!言われたぁぁああ!
だが、待てよ?思ってたのとちがった。俺の妹のセリフは嫌な感じがせず、言葉に冷たさを感じない。
この暖かさを含む暴言なら、興奮すらできる…新しい扉を開く時がきたのか!?
「お兄ちゃん?また変なこと考えてるの?ほら、準備しないと。」
「そうだな。準備しないとな…そうだ、俺は今日デートなんだ」
「うん、そうだね。妹からすれば嬉しさ半分、悲しさ半分です…ウルウル」
「悲しんでくれるのか!?じぁ、今度お兄ちゃんとデートするか?」
「えへへ、嫌です♡」
デスヨネーあれ、目から汗が…
「それはいいとして、妹よ。今日も頼む!俺を何となくオシャレに見えるようにしてくれ」
「うん!まかせて!お兄ちゃんをでーと仕様におしゃれさせちゃうよ?任せなさい!」
瑠香は、エッヘン!と胸を叩く。こいつは本当によく出来た妹だ。
俺が脱オタを計画をしたとき、ボサボサの髪や服装など、妹にお願いしてイメージチェンジをしてもらったっけ。
今回も妹に服や髪をいじってもらって手伝わせてしまっている。
本当に妹神感謝です。
愛してるぜ!妹よ!
その後、俺の服選びになった。
あれやこれやと俺のクローゼットから取り出した服を合わせて、瑠香は唸っている。
あの服をあてては、この服をあてて…と、かれこれ1時間だ。
「あ、あのー、迷ってるのはいいけど、長すぎませんかね?」
「うるさい!お兄ちゃんは黙ってて!」
「はい……」
まぁ、こんな感じだ。
とりあえず形になったと、鏡を見た俺は驚いた…これが…俺なのか!?
「まぁ、こんなもんかなぁ!どう?お兄ちゃん」
「す、すげぇーよ!本当にお前は天才だな」
俺は妹の頭をわしゃわしゃと撫でる
瑠香もえへへとはにかみ、穏やかな時が流れた。
って、出かけなくては!
それから何かとデートについて一通りレッスンを受けて俺は家を出た。
「行ってらっしゃい!お兄ちゃん!DQNに絡まれないようにね!」
「おーう!行ってくる」
今日の扉は何だか重く、大きく感じた。
そんな扉をグッと開くと俺は歩みを進める。
俺こと、秋葉誠。16歳。初めて女の子とデートしてきます
って、デートじゃないだろ……
重かった扉は一瞬にして紙切れのように軽くなった
ありがとうございました。
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