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XXXXI



「キキト!!

今日でオマエとの関係に……因縁にケリをつける!!」


現れたキキトを前にしてイクトは彼に向けて告げるが、それを聞いたキキトは何故か不敵な笑みを浮かべていた。


何かおかしなことでも言ったのか、それともイクトのことを軽視しているのか……真意は定かではないがキキトはイクトを嘲笑うかのように不敵に笑っていた。


「……会いたかったよイクト。

まさかこうしてキミと再会できるなんて思わなかったからね」


「ヒロムを消すように仕向けておいて……オマエの都合のいいように能力者を消すためにオレを利用したくせに何言ってやがる!!」


「利用?

あぁ、アイツらのことか……どうやら全部知ったみたいだな」


「それじゃあやっぱり……!!」


「誰から聞いた……かは聞くまでもないか。

ネクロ、オマエがわざわざ教えてやったのか?」


自身のこれまでの行いについてイクトが知っていると分かったキキトは誰から話を聞いたのかをイクトに聞こうとしたが、キキトはこの場に情報屋・ネクロがいることから彼が教えたのだとすぐに察した。


「まさかオレのことを色々調べてそいつに教えたのか?

わざわざ無駄な時間を費やしてまで調べたのか?」


「無駄な時間ではない。

こちらもオマエを潰して為したい目的があるからな。

手始めにオマエのことを調べ、この男と手を組むことで見えてきたんだよ。

オマエという人間の本性をな」


「本性?

オレは利用価値のあるものと取引をし、互いに利益がある関係を築き上げていただけ。

不要な人材は後々邪魔になるから相応の罰を与える形で始末しようとしたのさ」


「始末?

自分に都合の悪い相手を他人に押し付けることがか?

「八神」の権力を盾にして隠れながらコソコソ暗躍してたオマエは何もしてないのにか?」


「間違ってはないさ。

邪魔だから消す、それを始末って言うだろ?」


「オレが言いたいのはそこじゃない。

何もしてないのに自分の手柄のように言うその言い方を言ってんだよ」


「結果は変わらない。

それに……利用される方が悪い」


「……人間のクズが。

落ちるところまで落ちたか」


「全ては「八神」のため。

そのためならオレは多くの犠牲を払ってでも大義を得られる道を選ぶ。

今どれだけ汚名を着せられたとしてもその先には角王としての名誉が待っているのなら何の迷いもなくそちらを選べる」


「そこまでして角王とやらになりたいのか?

一時は金持ちの御曹司だったオマエが情報屋になってまでやりたかった事なのか?」


「今更そんな次元の話するのかネクロ?

オレは今「八神」に仕えるものとして全てを犠牲にしている。

そして……その「八神」のために討つべきものの首を狙っているだけのこと」


「……分かんねぇよ」


「?」


ネクロに対して己の意思を語るキキトの話を聞いたイクトはキキトの話を聞くなり彼に対して問い詰める。


「分かんねぇよキキト!!

何でそこまでしてヒロムを狙うんだよ!!

ヒロムは……アイツは能力が無くても前を進もうとしてる!!

オマエやその「八神」の人間が何もしなければ普通の中学生の少年なのに何でそこまでして狙うんだよ!!」


「……」


「オレを利用してまで消したい相手だったのか?

姫神ヒロムという男はオマエに直接何かしたのかよ!!」


「……無知とはどれだけ怖いか、それを今オマエが証明してくれている」


「何……?」


「分からないのかイクト?

あの「無能」は「十家」の一角を担う「八神」が何度も命を奪おうとしてきて失敗している相手だ。

力も持つ名家の人間が力を持たない能無しに失敗を重ねている……ヤツの存在は今や野放しにすればこの国の権力のバランスを崩しかねないほどにまで大きくなっている!!

ヤツ一人の存在で名家の先鋭が駆り出される、それがどれほどのことかオマエは理解していない!!」


「……理解なんてしたくもない!!

オマエがオレを利用してまでアイツが消されなきゃならない理由なんてないだろ!!」


「あるさ。

アイツは……この世界に落ちた腫瘍だ」


キキトの言葉にイクトが強く言い返すとキキトは殺意を秘めた瞳でイクトを睨みながら姫神ヒロムという能力を持たぬ少年がどういう存在かを語っていく。


「あの男の中には精霊がいる。

能力者を支えるべく太古から言い伝えられた能力者に寄り添う存在が何の能力も持たぬ人間に宿っている。

それも一体ではなく何体もだ……!!

後付けの契約ではなく生後まもなくして宿した複数体の精霊がヤツの中に存在している!!

器たるあの「無能」に対して異常なまでに強い忠誠心と高い知能を有した精霊が……あの「無能」にだ!!」


「それがアイツの能力ってことだろ!!

精霊を宿すほどの器量がアイツにはあった!!

それだけだろ!!」


「オマエは今の話を聞いても何とも思わないのか!!

力を制御出来ずに自我を失い家族を襲った妹と違ってその危険性すらなく平然と暮らしているあの男が、オマエは許せるのか!!」


「許すも何も無い……。

オレはアイツから何かをされたわけじゃない!!

むしろオレは……アイツに助けられた!!

本来なら敵として始末されてもおかしくないオレをアイツは助け、今も敵が来る中一人でどうにかしなきゃならない中でもきっとオレが真実を探ると信じてくれている!!

何も知らないのに無実の人間を手にかけようとしたオレが許せないくらいだ……!!

何も知らずに利用されたオレが憎いくらいだ!!」


イクトはヒロムに対する自分の気持ちを声にして口から出すと大鎌を強く握りながら走り出し、大鎌を勢いよく振り上げるとキキトを斬ろうと振り下ろす。


「オレを信じてくれているアイツの為にも……オレはオマエを殺す!!」


「不可能だ」


「やってやる!!

殺すことに躊躇ってたオレは……オレを利用してたオマエは殺せる!!」


「気持ちの問題じゃないのさ、イクト」


イクトの言葉に対して冷たく返すとキキトは服のポケットから何やら片手サイズの機械装置を取り出し、装置中央のボタンを押してそれを起動させる。


『……Shen show gin。

I let it loose to let all distort……start』


起動された機械装置は何やら音声を発しながら紫色の怪しい光を発し、光が発せられるとイクトがキキトを斬ろうと振り下ろす大鎌を弾き、そしてイクトをも吹き飛ばしてしまう。


「何……!?」


「黒川イクト!!」


吹き飛ばされたイクトは勢いよく倒れてしまい、倒れたイクトを心配してネクロが駆け寄る。


「大丈夫か?」


「平気だよ。

それより……何が……?」


容体を聞こうと声をかけるネクロに対して問題ない事を伝えるイクトだが、キキトに吹き飛ばされたイクトは自分の身に何が起きたのか分からず戸惑っていた。


イクトが戸惑う中、キキトは手に持つ機械装置をさらに光らせながらイクトとネクロ、そしてこの場にいるリュクスに向けて話していく。


「イクト、ネクロ、リュクス……!!

オマエたちはもうオレには触れることすら出来ない!!

この力……シェンショウジンの力の前ではな!!」


「シェンショウジン……?」


「何をする気だ……!?」


「へぇ……」

(やっぱりキキトが持ってたか。

オレがグリズリーを利用してでも手に入れたかったアレを!!)


キキトの言葉から何が起きるか読み取れぬイクトとネクロが戸惑う中、何かを知るリュクスはどこか嬉しそうな笑みを浮かべながらキキトを見ていた。


リュクスの視線を受ける中キキトは手に持つ機械装置を自身の胸にかざし、機械装置がキキトの胸にかざされるとキキトの全身は紫色の怪しい光に包まれていく。


紫色の怪しい光に包まれるキキトの全身は紫色のボディースーツのようなものに身を包んでいき、肩・腰・胴体・脚に紫色の結晶体のアーマーを装着し、顔を無数のケーブルが接続されたバイザーで覆い隠すとバイザーに接続されたケーブルを肩と胴体へと接続していく。


ケーブルが接続されるとキキトが胸にかざした機械装置は結晶体のアーマーの中へ取り込まれ、機械装置を取り込むとキキトは全身に魔力を纏っていく。


「!!」


「な、何だあれは……!?」


キキトの変化、それを前にしてイクトとネクロは驚きを隠せなかった。


そんな二人に対してキキトは余裕があるのか親切丁寧に解説していく。


「願望器の一つであるシェンショウジン、あらゆることを歪ませ改変することで願いを叶える万能器の一つであるシェンショウジンを人為的に生み出すべく完成したのがこのレプリカだ。

願望器としての願いを叶える力は持ち合わせていないが、能力者を始末するには十分すぎる力が備わっている」


「まさか……オレを吹き飛ばしたのはそれの力か!?」


「その通りだよイクト。

このシェンショウジンにはあらゆる物理運動や力の流れを歪ませ逆流させることが出来る。

オレを攻撃しようとするキミの動きを止めて吹き飛ばすのも簡単なこ……」


イクトに対して余裕を見せつけるように話すキキトの言葉を遮るかのように無数の炎が工業の中より飛んできてキキトに襲いかかろうと迫っていく。


が、キキトが右手を軽く動かすと迫っていく炎は突然何かに押し潰されたかのように歪みながら消滅してしまう。


「……誰だ、邪魔したのは」


「誰でもいいだろ、どうせこれから死ぬオマエにはよ」


不機嫌そうにキキトが言うとそれに言い返すかのように工場内部からひどい火傷を負った男を引きずりながらソラが現れる。


現れるとソラは引きずってきた男を手放し、右手に拳銃を構えるとキキトに向けて炎の弾丸を撃ち放つ。


撃ち放たれた炎の弾丸はキキトに向けてまっすぐ飛んでいくが、キキトが右手を軽く動かすと先ほどの炎と同じように歪ませられて消滅してしまう。


「……厄介な能力だな」


「能力ではない。

これはシェンショウジンを纏うもののみが使うことを許された御業だ」


「大層な言い方してるけど、機械頼りってことだろ?」


「ならヒロムのことを偉そうに言わないで欲しいな」


キキトの言葉に対してソラが呆れながら言うと彼の後ろからガイが歩いてきてキキトに向けて言った。


「アイツはそんな機械に頼ることも無く強くなっている。

オマエとは大違いだ」


「黙れ……!!

あの「無能」と一緒にするなよ……!!」


「ああ、違うな。

アイツは「無能」じゃない……オレたちの大切な仲間でありかけがえのない友だ!!」


キキトの言葉に強く言い返すとガイは刀を抜刀し、ソラは拳銃を構えるとイクトに向けて叫んだ。


「イクト!!

コイツを殺せばオマエを狂わせた過去に終わりを告れる!!

オレたちはヒロムのためにコイツを殺す!!

オマエは……オマエが信じるもののためにコイツを倒せ!!」


「ソラ……」


「三人でやるぞイクト!!

オレとソラで可能なかぎり援護するから決めろよ!!」


「……ああ、任せろ!!」


「いくぞ!!」


ガイの言葉にイクトが強く返事をするとソラは二人に合図を告げるように叫び、ソラが叫ぶと彼とイクト、ガイはキキトを倒すべく武器を手にして走り出す……!!

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