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XII


赤く燃える炎、その炎によって外側から焼かれる洋館。


中より逃げてくる情報屋や能力者たち。


「……この中にいるかもな」


ソラは拳銃を構えるなり逃げてくる人の脚を次から次に狙い撃ち、弾丸を撃ち込むことで逃げれぬように追い込んでいく。


「ぐぁぁあ!!」


「がぁぁあ!!」


「うるせぇな……。

死にたくなきゃ黙ってろ」


ソラは迫り来る人間に向けて銃を構えて弾丸を放ち、次々に行動不能にさせていく。


そんな中、一人の男が洋館の火を消そうとするかのように水を両手から放ち始める。


両手から水……明らかに能力者だ。

それも水に関連した能力。


「余計なことするなよな」


ソラは拳銃に炎を集めると、それを巨大な球へと変化させて水を放つ能力者の男に向けて放つ。


放たれた炎の球は能力者を飲み込み、炎は飲み込んだ能力者の全身を焼き始める。


「ぎ、ぎゃぁぁぁぁあ!!」


「手間かけさせやがる」


水を放つ能力者が炎で倒れたのを確認したソラはさらに洋館に向けて炎を放ち、洋館を焼こうとする炎の勢いを強くさせる。


「あ、悪魔め……!!」


ソラによって行動不能にされた一人の男がソラの姿を見ながら吐き捨てるように言った。


が、それを聞いたソラは何食わぬ顔で倒れる男に向けて言った。


「悪魔?

間違えるなよ……オレの異名は「炎魔」。

目の前に立ちはだかる邪魔者を排除する炎を操る能力者……それがオレだ」


「お、オマエのやってることは悪魔と変わりない!!

この人でなしが!!」


「悪魔と変わりない……?

悪いな」


ソラは自分に向けて言葉を放つ男に拳銃を向けると引き金に指をかける。


そして……


「オレは悪魔を見たことがないからよく分からないが……オレは目的のためなら人でなくても構わないと思ってる」


ソラが引き金を引き、銃声が鳴り響く。


***


ソラの炎によって焼けていく洋館。


その中にある広い一室でイクトはガイとともにキキトの行方を汁手がかりであるリブラと対峙していた。


さらにイクトとガイが逃走できないように入口を屈強な能力者たちが塞いでおり、その場は戦場に変わろうとしていた。


この状況、それを見たリブラはイクトに向けて率直な感想を告げた。


「身勝手な行動を取った上にオレたち情報屋や賞金稼ぎを敵に回すその行為。

「死神」と恐れられたオマエがこんな無意味なことをするとは驚きだ」


「褒めてくれなくてもいいんだけどな」


「……今の褒めてたのか?」


「ごめん、ガイ。

少し挑発する感じで言っただけだから忘れてくれ」


イクトの言葉に真顔で反応するガイに向けて言うと、イクトはリブラに向けて言った。


「キキトの居場所を吐いてもらう。

それさえ聞けたらオレたちはここから出ていく」


「おい、情報には対価を払え。

まさか洋館焼いてるこの炎を対価にするとか言わねぇよな?」


「その辺はお好きに考えてもらえればいいけどな。

とりあえず、キキトはどこにいるか教えろ」


「……人に物聞く時の態度ってのを一から教えなきゃいけないようだな。

オマエら……コイツら殺せ!!」


「「うぉぉぉぉぉお!!」」


リブラの言葉を受けると背後の能力者がイクトとガイを始末しようと動き出す。


「さて……リブラの相手する前に倒しますか!!」


「刀の試し斬りにはちょうどいい獲物だ!!」


迫り来る能力者を迎え撃つようにイクトとガイも動き出し、二人は同時に攻撃を放つ。


「はぁっ!!」

「はっ!!」


大鎌と刀から放たれた斬撃が能力者に襲いかかるが、能力者たちはそれを避けると二人に向けて攻撃しようと迫る。


「簡単に倒せると思うなよ。

そいつらはこれまで数多の賞金首を倒してきた猛者だ。

オマエらに……」


「倒せないと思ってるなら後悔させてやるよ!!」


リブラが忠告するように発する言葉を遮るようにイクトは叫ぶと自身の影から無数の影の腕を出現させ、能力者を捕らえさせようと一斉に放つ。


放たれた影の腕は敵を掴み拘束しようと迫り来る能力者に襲いかかるが、相手は猛者と呼ばれる能力者。


迫り来る影の腕の動きを的確に見抜くとそれを避けながらイクトとの距離を詰めようとする。


だがイクトにはそれすらお見通しらしく、能力者が影の腕を避けるのを見ると何故か笑みを浮かべている。


「この程度で我々を捕えられると思うな!!」


「オマエがどれだけの実力者かは知らないがリブラ様に逆らったこと後悔しながら消えろ!!」


イクトに向けて言葉を放ちながら迫る二人の男。

一人は雷を纏い、一人は風を纏う。


雷の能力者と風の能力者だろう。


イクトは焦る様子も避ける素振りも見せることなく、ただ右手を上に挙げる。


そして、挙げた右手の指を軽く鳴らすと、二人の男が避けた一部の影の腕が無数に枝分かれするように分裂しながら拳を形成し、男たちを背後から殴り飛ばす。


「!?」


「な……!!」


「影千手。

あれで終わると思ってたのか?」


殴り飛ばされた二人の男は体勢を立て直そうとするが、それを阻むように無数に増えた影の拳が襲われ、そして床に叩きつけられていく。


「「ああああ!!」」


「まずは二人」


「後ろががら空きだぞ!!」


二人の男が倒れたのを確認したイクトを背後から一人の男が鉈を振り上げて襲いかかろうとする。


鉈には魔力が纏われており、その切れ味は通常時より増しているように思われる。


が、イクトは焦る様子も見せない。


それどころか背後から迫る鉈を持った男に見向きすることも無く歩き出してしまう。


「コイツ……!!」


「一つ教えておいてあげるよ」


イクトが一言呟くと彼の影の中から無数の黒い杭が放たれ、放たれた杭は鉈を持つ男の体を貫いていく。


「が……何……!?」


「後ろががら空きなら何も言わずに斬った方が効率的だぞ?」


「まさか……気づいて……」


「まぁ、静かに忍び寄って来ても殺気でバレるけどな」


「コイツ……!!」


「つ、強い……!!」


三人の能力者を倒したイクト。

そのイクトの姿を見ると他の能力者は動きを止めてしまう。


そんな能力者を見るなりリブラは苛立ち混じりではあるが叱咤するように叫んだ。


「相手はただのガキだ!!

能力に効く程度の相手一人に怯えるな!!」


失礼だな、とリブラの言葉に向けてガイは呟くと刀を構えて敵に接近していく。


「イクトに夢中でオレを忘れてないか?」


ガイの接近、それはイクトの実力に臆している能力者を焦らせる。


「ま、まずはこのガキから殺すぞ!!」


「能力を使われる前に……」


「遅い」


能力者たちが動き出そうとしたその時、音を出すことも無くガイは姿を消す。


「な……」


「どこに……」


「散枯木葉!!」


能力者たちがガイの行方を探しているとガイは敵の中心に現れ、それと同時に無数の斬撃が風に舞う木の葉のように現れて敵を襲っていく。


「ぎゃぁぁぁぁあ!!」


現れた斬撃に襲われる能力者たちは斬撃によって負傷して倒れていく。


その数は……


イクトが倒した三人以外の残っていた能力者全員だった。


「……いっちょ上がり、てな」


ガイは刀を鞘に収めながら決めゼリフのように呟く。


そんなガイに対してイクトは彼の力に驚きながら質問した。


「あのさ……オレの時加減してた?」


「ん?

何でだ?」


「いや、今みたいな技があるなら使えばオレを倒せたんじゃないかなぁ、て。

何で使わなかった?」


「……今聞くことか?」


教えてよ、とイクトは状況など無視してガイに言い、今聞かれる必要がないと思っているガイはため息をつくと簡潔に答えた。


「竹刀だったから、だ」


「……それだけ?」


「それだけだ。

本命潰すぞ」


「いい答え聞きたかったけど……今はもっと聞きたいことあるしな。

そっち優先でいいや」


ガイに言われて渋々納得したイクトは彼とともにリブラの方に目を向ける。


二人は敵に向けて構え、それを見たリブラは首を鳴らすとイクトを睨みながら言った。


「……それだけの力を持ちながら反旗を翻すとはな。

今からでも遅くはない……オレの部下になれ」


「生憎ながら「死神」は仕えない。

ましてや人を駒のように捨てるアンタには絶対にな」


「……気まぐれで生きることの限界を知らない愚か者が。

オマエの行動がどれだけ愚かなことか理解しているのか?」


「理解したくもないし、理解する気もない。

オレはオレのやろうと思ったことをやる。

だから……オレはキキトにあって真実を聞く」


「真実、か。

そんなもののために死を選ぶとは愚かだ」


「アンタ……まるでイクトやオレを殺す気で話してないか?」


「理解していないようだな。

オマエたちはここで死ぬ……オレの力でな」


イクトとガイに余裕を見せるリブラ。


そのリブラの姿に警戒するガイは鞘に収めた刀をいつでも抜刀出来るように柄に手をかける。


「フフ……ハハハ」


刀を構えようとするガイの姿を見たリブラはなぜか笑い出した。


何故なのか?


それを確かめようとガイはリブラに問う。


「何がおかしい?」


「いや……あの剣術名家と謳われた「雨月」の人間があの底辺の落ちこぼれのために戦うその姿がおかしくてな」


「底辺?

誰のことを言ってる?」


「とぼけるなよ。

「覇王」のことだよ。

身の丈にも合わない異名を与えられたオマエの仕える男以外に他にいるか?」


「……そうか。

ヒロムのことを言ってるなら腹立たしいが……オマエを倒せば関係ない」


「何?」


「アイツより弱いオレにオマエが負ければ……オマエの方が底辺の落ちこぼれってことになるからな」


「オレが負ける?

……ふざけたことを言うな!!」


ガイの言葉に怒りを顕にし、そして殺意をむき出しにしてガイに向けて叫んだ。


「何も無いあの「無能」よりオレが弱いはずがない!!

オレは能力者……そして情報屋と賞金稼ぎを束ねる力を持つ男だ!!」


リブラは全身に魔力を纏い、そしてガイとイクトを睨みながら叫ぶように告げる。


「オマエたちに教えてやる!!

このオレの力……リブラの名を知らしめたこの力を!!」


「……ガイ。

怒らせるなよ……」


「悪いな。

ヒロムのことを言われたら反論せずにはいられなかった」


けど、とガイは魔力を全身に纏うとイクトに向けて伝えた。


「コイツには能力を使うから任せとけ」


「能力……。

そう言えばガイの能力って……」


「今説明するのは面倒だな。

とりあえず……オレに近づき過ぎると怪我するから気をつけろ!!」


ガイは魔力を蒼く染めるとそれを大きくさせ、そしてリブラに向けて殺意を放ちながら告げた。


「イクトは真実を知るためにキキトを探しているが……オレはヒロムよりもリブラ、オマエが劣っていることを証明するためにこの力を使う!!」

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