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イクトたちがリブラが潜伏しているとされる熱海の集会所に向かおうとしてる頃……



屋敷にいるヒロムはソファーで寝転がりながら誰かに電話をしていた。


「悪いな、面倒な事頼んで」


『全くだぜダンナ。

アンタの頼みじゃなきゃ受けねぇからな、この件に関しては』


「嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。

まぁ、そんなアンタだからオレも頼んでるんだけど……ふぁ〜……」


電話をしてる最中にもかかわらずあくびをするヒロム。


すると電話の相手がヒロムにある事を質問した。


『ダンナ、アンタはあの男をどうする気だ?』


「んあ……あの男?

黒川イクトのことか?それともキキトか?」


『両方……と言いたいところだが、前者の方だな。

どうせ後者は始末するんだろ?

あのソラを合流させるくらいだからな』


「……そっちか。

アンタはどう思う?」


『オレは知らねぇけど?

別にあの男が団長によって粛清されても関係はないが、ダンナの気分次第じゃそうもいかないだろ?』


「……まぁな。

オレとしては見極めたいからな……」


『なら決まり次第教えてくれ。

そっちの都合で報告は何とかする』


「助かるよ。

ところで……ついでに頼みたいことがあるんだが……」


ヒロムは座り直すと電話の相手に向けてある事を依頼した。


少し長めの説明を踏まえた上での依頼、それを聞いた相手はため息をついてしまう。


『はぁ……ダンナ、本気か?』


「本気でないなら頼まないさ。

本気だからこそアンタの手を借りたい」


『おいおい……せっかく部下を同伴させる形で済ませようとしたのに無駄骨だな……』


「七歳のガキ殺そうとしてミスった男が何弱気になってんだよ?」


『勘違いするな、面倒なだけだ。

あとダンナ……その事まだ根に持ってたのか?』


「ただの思い出話さ。

懐かしいだろ?」


『オレとしては黒歴史だけどな。

とりあえず何かあれば連絡する』


頼むよ、とヒロムは電話を切ると再びソファーに寝転がり、そして大きなあくびをすると独り言を口にする。


「……頼りにしてるぜ、元賞金稼ぎの天才さん。

アンタの力を貸してやってくれよな……」




***



その頃……


ソラが乗って来た車にイクトとガイは乗車し、そして一行は熱海にある情報屋の集会所に向かっていた。


その車中で……


「ほら、相馬くん」


イクトは自分の影の空間から補充用の弾丸を取り出すと

ソラに手渡そうとした。


が、ソラは受け取ろうとしない。


「必要ない」


「弾切れにならないように受け取ってくれよ。

お代はいらないからさ」


「いらねぇって言ってんだろ?

しつこいぞ 」


「いやいや、だから……」


大丈夫だ、とガイはソラに弾丸を受け取らせようとするイクトに向けてソラが弾丸を受け取ろうとしない理由を話した。


「ソラの銃は特別性でな。

弾丸を直接装填するんじゃなくて魔力を蓄積させて弾丸を生み出す機構になってるんだよ 」


「つまり……弾丸がいらないのか?」


「そういうことだ。

ソラがこの銃を使う間は弾切れなんて起きる心配ないんだよ」


「相馬くんの能力は……「炎」か?」


「そうだけど文句あるか?」


イクトに能力について詮索されるとどこか不機嫌そうな顔でソラは答え、そして舌打ちをするとソラは彼に忠告した。


「無駄な詮索はするな。

オマエは疑われてる身だということを忘れるなよ?」


「……理解してるよ、悲しいけど」


ところで、とこの気まずい空気を払拭すべく話題を変えるかのようにガイはある事についてイクトに質問した。


「情報屋の集会所ってのはどんな所なんだ?」


「情報屋のって言ってるけど実際は賞金稼ぎも多くいるし、なんなら凄腕の殺し屋がいる時だってあるからな。

この辺にいるそういう界隈の人間が集まる場所だよ」


「なるほど……。

作戦はあるのか?」


「うーん……。

マスターとその店をあんだけ壊したわけだし下手したらリブラの耳にそれが入ってるかもしれない。

そうだとしたら簡単には近づけないかもな……」


「影の中に入って油断させた後にオレとソラで捕まえるのは?」


「ダメだね。

リブラは隠し事を嫌う性格だから影の中に人を隠してるのがバレたら何を言われるか分からない。

最悪の場合、キキトの居場所を聞けなくなるかもしれないしさ……」


「そうか……。

それは厄介だな」


けど、とイクトは何か考えがあるのか少し悩んでいるような表情を浮かべる。


何か考えがあるのならそれが聞きたいガイだが、ソラは違った。


「オマエが何を考えてるかはどうでもいい。

リブラを取り押さえてキキトの居場所を聞く……その上で邪魔するやつは殺す」


「ま、待て!!

さっきもだけどさ……別に殺そうとしなくてもいいだろ?」


「バカか?

相手はオレたちを殺す気でいる。

そしてキキトってのはオマエを利用してヒロムを殺そうとした。

殺す理由なんてそれで十分だ」


「いやいやいや!!

半殺しくらいでも動きは止めれるから大丈夫だろ!?」


「分かってねぇのか?

力を持って戦うってことは「殺す」のも「殺される」のも覚悟してるってことだ。

その覚悟がないなら邪魔だ」


「そんな事……」


「現にオマエたちは殺されかけた。

そして敵は殺すことに迷わなかった……ならやることは決まってる。

歯向かう敵を根絶やしにする……それで十分だろ」


ソラの極端とも言えるその考えにイクトは呆れ、そしてガイはそんなイクトに向けてある事を確かめるように質問した。


「強行突破は可能か?」


「正面から行くのか?」


「潜入が難しいのならやむを得ないだろ?

ソラの言い分も分かるし、何よりこの状況下で何もせずに情報だけを提供させるのは至難の技じゃないか?」


「それは……まぁ、そうだな。

正面から突破するのは無理ではないけど難しいと思うぞ」


何でだ、とイクトの言葉にソラは疑問を持ったらしく、それを確かめるように彼に向けて質問をした。


ソラの質問を受け、イクトはやぜ正面突破が難しいかを説明した。


「入口付近に警備が多いわけでもないけど、あそこに集まるのは大金を求める猛者ばっかり。

正面突破で攻め込んでも返り討ちにあう可能性が高い。

それにリブラのところにたどり着いたとしても伏兵がいたらそれこそ厄介だ」


「……それだけか?」


「まぁ他にも危険と思える要素はあるけど……」


「そのリブラってのとヒロムだったらどっちが強い?」


何言ってるんだよ、とソラの言葉にイクトは疑問を抱くしかなかった。


今の説明と話の流れからなぜそうなるのか?


イクトはソラの考えていることが理解できなかった。


「あのさ……話聞いてたか?

リブラが姫神ヒロムより強いかどうかじゃなくてあそこには猛者が……」


「オマエの主観でいいから答えろ。

リブラやその猛者はヒロムより強いのか?」


「……猛者の方だったら姫神ヒロムが勝つかもな。

けどリブラは別だ。

二人が戦ってどうなるかは分からない」


「つまりヒロムが勝てる確率はゼロではないんだな?」


「ま、まあそうなるけど……」


なら問題ない、とソラはイクトに言うと続けて彼にある事を提案した。


「オレとガイでその猛者どもを相手する。

その間にオマエはリブラって野郎のところに行け」


「はぁ!?

いやいや、まず猛者の方を……」


「いいから聞け。

オマエの言い分はよく分かるが、敵はオレたちが何をしてるかを把握してる可能性は高い。

そうなれば三人で手前から順番に潰してるうちに本命が逃げるかもしれない。

そうなるくらいならオレたちで敵を陽動してオマエが本命と接触する方が得策だ」


「接触した後は?

オマエらが他のやつ相手してる間にオレが時間を稼げばいいのか?」


「そんなのはオマエが考えろ。

集会所が戦場になるのは確実だからリブラってのがオマエと優雅に茶会を始めるとは思えないけどな……」


「……殺すなよ?」


「それは無理な相談だな。

生半可な同情で生かしても後ろから背中を攻撃されるだけ、命を捨てにいくようなものだ」


「だけど……」


「だが可能なかぎりは殺さずに自由を奪う程度にしておく。

それでいいだろ?」


「え、あ……ああ、そうしてくれるとありがたい……」


ソラの意外な言葉にイクトは驚きと困惑を隠せず、そしてガイはイクトに対して刀に関する確認をするように質問した。


「予備の刀はあと何本ある?」


「刀は五本くらいはあるけど……どうしてだ?」


「いや、最悪の場合新しいのを頼むかもしれないから確認しただけだ」


「ふーん……よく分かんねぇけど頼まれたら渡すようにするよ」


助かる、とガイはイクトに礼を言うとさらに彼に向けて言った。


「そう言えばオマエ、オレのこと「雨月くん」って呼んでたよな?」


「あ、ああ。

一応そう呼んでたけど……」


「どうせなら呼びやすい方がいいだろ?

オレのことはガイでいい」


「いいのか?」


「ああ、その代わりオレはオマエのことをイクトって呼ぶからな?」


「もちろん大丈夫さ!!

そうだ、ソラって……」


気安く呼ぶな、とソラはイクトに銃を突きつけると忠告するように言った。


「ガイがオマエのことを許したとしてもオレはオマエのことはまだ裏切る可能性があると思ってる。

馴れ合う気もないし、馴れ馴れしくされる筋合いもない」


「は、はい……」


ソラの忠告にイクトは怯えながらも返事を返した時だ。


移動していた車が止まり、運転席の男がイクトたちに伝えた。


「目的地から約一キロ離れた所に到着したが、どうする?」


目的地……集会所の一キロ手前に到着したのを聞いたイクトたちは静かになり、ガイとソラは武器を構え、そしてソラは運転席の男に伝えた。


「ここで降りる。

何かあればオレかガイが連絡するから対応してくれ」


「了解です」


いくぞ、とソラは車の扉を開けると先に降り、それに続くようにガイとイクトも降りた。


車から降りるとイクトは深呼吸をするが、そんなイクトに向けてソラはある事を告げた。


「……馴れ馴れしくするなとは言ったがこれだけは別だ。

オマエは真実を知るためにキキトにたどり着きたい、オレたちはヒロムを守るためにキキトを探したい……その共通の目的のために共闘することに関しては受け入れてやるよ」


「お、おう……。

なんか言い方がおかしい気もするけど……とりあえず戦いに関しては信用してくれるってことだな?」


「そう思いたいならそう思ってくれていい。

その代わり……」


「分かってるよ。

不審な行動を取れば容赦なく撃つ、だろ?

分かってるから大丈夫さ」


「……そうか。

今はオマエの言葉を信じてやるよ」


それじゃ、とイクトはソラとガイに向けて笑顔で言った。


「初の共闘作戦といきますか!!」


「……そういうのはいらねぇんだけどな」


「まぁ、いいじゃないかソラ。

ところでイクト、一つ面白いこと思いついたんだけど……聞いてくれるか?」


「ん?」



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