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61 治療

 終わったか。


 しかし、くそ、情報を聞き出せなかったのは痛いな。


 「うっーー」

 「まだ生きてたか」


 這い蹲りながら、今にも消えいりそうな悔しげな声で言う。


 「何故だ。我等は強くなったはずだ。龍の力をこの身に宿しさらなる高みへ、それなのに何故」

 「それは、龍の力を取り込んだからだ」

 「何だと!」

 「確かに身体能力は上がった。だがそれと同時に連携が失われ個人の戦いになってしまった。お前達は暗殺者。闇に隠れ殺るのが本領を発揮する。そのお前らが本来の戦いとは真逆の正々堂々なんて方策を取ってしまった。これなら龍の力を取り込む前の4人の方が、連携が取れて余程厄介だった」


 「クソが、任務失敗か・・・」


 死んだか・・・・・・はぁー、少し疲れた。今日はここまでにするか。


 『ご主人!』


 そう考えていると、背後からちょうどリムが話しかけてきた。

 

 「終わったか」


 『うん!吸収した!褒めて!』


 「そうか」


 しゃがみ、リムを撫でる。出来れば生かしておいてくれたほうが助かったが、まあ、いっても仕方がない。


 死体を空間に収納しリムを撫でたまま抱きかかえ地上へと向かう。

 それにしてもリムは本当に癒しだ。

 手に感じられる心地よい冷たさとプニプニ感が気持ちいい。

 それにリムも撫でられてご満悦のようだ。


 そうこうしている内に地上に出た。

 外は最早よるになっており心地良く風が吹く時間帯になっていた。


 そのまま宿を見つけるのではなく、屋敷に向かう。

 それは勿論クレスさんのお父さんを治しに行く為だ。確かに面倒なことはゴメンだが王国と戦うためにはある程度の戦力が必要となる。当主は強いようだし万が一の保険として、助けよう。


  屋敷には流石に門番が待機していた。


 「止まれ!・・・・・・お前は先ほどクレス様といた者か?何ようだ」

 「クレスさんにちょっと用事があります。取り次いでもらませんか」


 門番は少し考えてから分かったといい屋敷に呼びに行った。

 それにしても門番が一人なのにここを離れていいのだろうか?そもそも一人って。いや、当主自身が相当腕が立つ人物らしいらあくまで門番は気休めということか。


 しばらくすると門番はクレスさんとメイドさんを引き連れて来た。

 

 「お待たせしました。それでタクシ様どうなされたのですか」


 クレスさんは夜更けにも関わらず来ている服装が昼頃と同じだ。おそらく父の介抱に勤しんでいたのだろう。


 「いえ、実はあなたのお父さんの契約魔法を解除できる手段が見つかったのでそれで来たしだいです」

 「本当なのですか!お願いします!父を助けてください。このままでは父は」

 「お嬢様。落ち着いてください」


 横からメイドさんの声がかかる。その声には疑いの念が込められていた。

 

 「私はエルガル様が契約魔法にかけられてから何とか解こうと調べました。しかしそのような方法はありませんでした。もしそんな方法があるなら契約魔法の信頼性が失われてしまう大問題です。だからタクシ様のいうことはいいささか信じられるお話ではありません」

 「失礼ですよエレス、タクシ様は私を救っていただいた恩人です。その方の言うことなのです信じましょう」

 「お嬢様、あなたが襲われて助けるのも算段の一つだったのかもしれませんよ、それに都合がよすぎます。それに契約魔法が説く方法が昼から数時間で見つかったというのもおかしな話です」

 「それは・・・でも私はタクシ様を信じ・・・」


 クレスさんが徐々に落ち込んで黙ってしまった。しかしまさかここまでスムーズにいかないとは思わなかった。だがメイドさんの言うことももっともだ。俺はめんどくささのあまり治せる手段がありながらその場から立ち去った。そんな相手がその日のうちに治せるといったんだ。さすがに無理があるか。


 「これを見てください」


 俺は空間収納から先ほどの奴らを出す。


 「アイテムボックス!それにこの人達は!」


 「実はダンジョンを探索している途中にこいつらががこそこそ話しているのを目撃しました。話を聞くとどうやらあなた達の当主を襲ったというような話をしていたので退治しました」


 「この化け物がこれは人間なのですか!」

 「それも含めて当主の治療が済み次第話します」

 「・・・わかりました」

 「タクシ様、父をお願いいたします」

 

 屋敷に入りある部屋の寝室に来た。壁際にレース付の天蓋ベットがあり、そこから苦しそうな呻き声が聞こえてきた。


 「こちらに」


 レースを払い中を見る。

 そこにはうつ伏せになり、枕に顔をうずめ冷汗をかいている当主がいた。背中には包帯がグルグル巻きに巻いてあり、血がにじんでいる。


 これは酷いな。このままだとあと数日持つかどうかだろう。

 早速腕輪を壊そう。


 二人が心配そうに見守る中腕輪に触る。その次には腕輪は砕け散り砂となった。


 「これで終わりました」

 「へぇ!」

 「な!」


 二人とも唖然とした顔でこちらを見る。


 あれ?儀式的な演出があると思ったのかな。

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