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60 決着

 敵は豹変した自分の変化に戸惑っている。しかし直ちに意を取り戻す。そして身体の節々を確かめていた。その中で先程殴り飛ばした奴のフードがめくれ素顔が見えた。


 なんだあの変化は。


 そいつは注射を打ってから肌が徐々に黒みがかり、目の奥が龍の目の様に細く怪しく黒々と光っていった。


 この変化は他の3人もおそらく同様だろう。


 そう考えていると身体を確かめていた一人が前触れもなく、まるで軟体動物の如きゼロ距離助走最速スピード襲いかかって来た。


 「速い!なんて敏捷性だ」


 少なくとも7メートルは離れているはずだ。その距離を一足の間合いに詰める迫る。


 驚きを押さえ込み敵に相対する。敵は天高く剣を上げ、恐ろしげなスピードこちらのガードした剣に叩きつける。


 重い。


 その剣を弾く、そして横薙ぎに斬りかかる。しかし獣のごとき反射神経で避けられた。反応速度も上がっている。


 俺は一旦体勢を立て直す。


 成る程、これが龍の血を取り込んだ力、確かに数倍だ。


 そう考えていると4人全員が一斉に襲いかかって来た。


 しかし、これは・・・


 4つの剣線が一気に振り下ろされる。


 俺はその4つの剣撃を、剣技、連撃斬を放ち相殺する。


 しかし、直ぐに体制を立て直され、次々と激しい攻撃が来る。


 流石にキツイ、一人一人は何とかなるが、4人の攻撃を捌きながら、こちらから攻撃するのは厳しい。


 後ろに下がりながらそう考える。


 「リム、一人頼む」


 『わかった!ご主人!』


 リムは触手を伸ばし、背後から体に素早く巻き付けた。


 相手も流石に死角からの攻撃には対応できず。あっさり捕まり、遠くに投げ飛ばされた。


 『直ぐに終わらせて来る!』


 そう言い、飛ばした奴の元に追いかけていった。


 あちらは大丈夫だろう。


 3人の剣が無差別に飛んでくる。


 そこに合わせ、風魔法、エアボールを唱え吹き飛ばす。


 身体を浮かせながら吹き飛ぶ奴に縮地で一気に間合いを詰め、剣を振り下ろす。


 空中で咄嗟に剣でガードされたが、地面に勢いよく激突した。


 腰はいっただろう。


 トドメを刺そうと再び剣を振るうが、リーダーによって遮られた。流石に強い。


 まあ、これで一人は戦闘不能だ。


 距離を取り二人と睨み合う、いや、この表現はだだしくない、目の前の奴らは、どんどん獣のに近づいて行っている。リーダーの横の奴に至っては理性が残っているかわからないほどだ。リーダーはああ言う風にいってたが10倍でも感情のコントロールができなくなるのか。


 それとも、適性があり個々によって違うのか。


 とにかく尋常では無い、こちらを見据える目はもはや獲物を狩る獅子だ。


 獣の如き一撃が下から来る。

 

 剣を横にガードする。


 しかし、威力がさらに上がっていた。


 その威力は俺が宙に浮くほどだ。


 空中でクルリと回り着地する。


 そしてお返しとばかりに剣を頭上に振り下ろす。


 それは今日1番の威力、咄嗟に剣で受けたようだが、その剣がガチャンという、皿が割れたような苦言の鈍い音が鳴り、キンと言う音ともに切断された。しかしそれでもなお威力は減衰することなく、相手の胸部から腹部にかけてを切り裂いた。


 あと一人。


 残りはリーダーだけだ。


 お互いに構える。


 地面をズリズリトという音を立てて間合いを詰めて行く。濃密な殺気が漂ってきた。それが徐々に増して、辺りを埋める。


 お互いの間合いに届く距離に来た。


 先に仕掛けたのはリーダーだ。


 滑り込むような剣で頸動脈に襲いかかって来た。


 それは速く、キレがある。


 見た目は半分獣のそれだ。しかし技術は失われていない、どころか高みに上っている。


 「はあ!」


 剣を打ち払う。そして剣を振るう。避けられ、剣が来る。それを繰り返す。しかしその速度は徐々に上がり、砂埃を立て始める。純粋な剣の打ち合い。リーダーは笑ったように見えた。そして先ほどよりも低い声で言う。

 

 「まさかお前の様な化け物が存在するとは、しかし俺の力はそれを徐々にではあるが上回っている。この己のうちに湧きあがる力の高揚感、俺はまだ強くなるぞ」


 その直後筋肉がマント越しからでもわかるほど隆起し、力が上がった。


 「どうだ。流石のお前でもこれには耐えられないだろう」


そういい攻撃を再開する。


 確かに重い、だけどやっぱり徐々に・・・!


 そう思った瞬間、後ろに気配を感じ片目で煌めくモノを見る。縮地ですぐさま移動した。


 「誰だ!」


 俺が見たのは先ほど戦闘不能にした二人だった。


 俺は二人を観察する。傷が癒着している!龍の血が再生能力を上げたということか。


 これは厳しい、奴らもリーダーと同様筋力が上がっている。


 出来れば無傷で捉えて情報を聞き出したかったがあの様子では吐きそうもない。ならばやるしかない。


 俺は先ほどとは違い殺意を振りかざしながら、目の前の敵に挑む。


 一人に剣を振るう。それをなんとか受ける敵。横からリーダーが剣を振るうのが見えた。前の奴を強引に剣で押し込み飛ばす。そしてリーダーの攻撃をまるで盾のように構え止める。


 上からもう一人の剣が振るわれるが、風魔法を唱え体を切り裂き切断した。


 流石に切断されれば傷も治らないだろう。


 仲間の死を見た二人は驚きの声を上げる。


 「貴様!先程と動きが!はぁ!」


 そんな素っ頓狂な声を上げる。その時には俺は剣に風を纏い切れ味を増した剣で下から切り上げた。


 血しぶきが舞う。


 そして縮地でもう一人の背後に移動し火炎魔法を放つ。命中した。


 炎に包まれ、もがき苦しんでいる。しかしやがては地面にばさりと倒れていった。

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