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57 報酬と新たなダンジョン

 「私はエルナノ街を任されているブレンス・トルティーヤ子爵の一人娘、クレス・トルティーヤと申します。この度は戦闘にご助力いただき誠に有難うございました。出来れば貴方にお礼をしたいのですが、エルナノ街に来ていただけませんか」


 この国の子爵の娘か・・・そんな人物がこんなところにいるとは何かおかしい、しかもわざわざ冒険者を雇って。子爵ともなればお抱えの護衛兵をやとっているはずだ。なんにしろロクなことはなさそうだ。しかしエルナノ街には結局行くわけだ。ここで断ってエルナノ街で万が一鉢合わせするのもなんだかんだ不味いような気がする。

 まあ、お礼をもらえるなら貰っとくか。面倒なことになれば逃げればいい訳だし。


 「分かりました。俺も旅の途中でエルナノ街に行く予定でしたので丁度いいです」

 「本当ですかそれでは一緒に行きましょう」

 「ええ」


 クレスさん手を引かれ馬車に乗り込む。男二人は気絶している盗賊のリーダを縄で縛り馬の御者をしている。女二人はクレスさんの横に座り待機している。

 俺は相対するように座った。


 「遅くなりましたが貴方の名前を教えていただけませんか」

 「ああ、俺の名前はタクシと言います」

 「タクシ様ですか!タクシ様は武術の心得があり魔法も使えるのですね、本当に旅の者なのですか?」


 興奮した声でそう言う。


 「護身用で身につけたものばかりです。旅をしていると盗賊などに襲われることが多いので、昔から強くなるために修行していました」

 「それであんなに強いのですね。タクシ様のレベルは一体いくつなのですか?」


 楽しそうに語る。

 すると横で待機している黒髪ポニーテルが喋る。


 「クレス様、冒険者にとっても一般の人にとってもレベルを聞くのはNGです」

 「はあ、そうだったのですね、私知らなくて申し訳ありません」


 頭を下げてくる。


 「いえ、大丈夫です。俺のレベルはそんなに高くないので」


 そんな雑談を繰り返しエルナノ街に着いた。

 

 検問はクレスさんが顔と装飾の入ったカードの様な物を見せると。直ぐに通された。


 盗賊のリーダーは兵士に賞金と引き換えにした。

 賞金は5対5で貰った。


 残りの盗賊達は兵士が捕まえに走った。逃げている可能性はあるが、いや、あの傷じゃ3日は動かないだろう。


 馬車に乗ったままクレスさんの家まで行く。そして冒険者達とは別れ屋敷の中へ入って行った。

 外観でも分かったが中はとても広い、ところどころに装飾が施されお金持ちに感を漂わせている。

 クレスさんが二階へと足を進め俺もそれについて行き、ある個室に案内してくれた。机を挟んである片方の縦長のソファーに座りお待ちくださいと言ったクレスさんを待つ。


 「お待たせしました」


 暫くすると手で包み込めるぐらいの袋を持って向かいの席に座る。


 「本日のお礼です、少ないですがこれを」


 机にジャラリと音を鳴らし置かれた。中身の後からするとお金だろう、俺は金額を確かめずに空間収納する。


 「アイテムボックス持ち!」


 しまった。しばらくダンジョンにいたせいで忘れていがこのスキルはレアだった。慌ててクレスさんを見る。顔は驚いてはいたがそこには利用しようとかそう言う野心は一切感じられなかった。ただ純真に驚いているだけなのだろう。


 「ええ、このスキルのおかげで旅が大分楽です。しかし、俺のアイテムボックスはそこまででかく無いので最低限のものしか入りませんが、それでも重宝しています」


 この子なら心配ないが、一応念のためにそう言っておく。


 「そうでしたか、詳しい事情はお聞きしませんが、やはりすごい方なのですね」


 「いえとんでも無いです」


 ここは無難な対応をしておく。


 「さて、そろそろここで」


 俺は屋敷を去ろうと立ち上がる。しかし扉に向かおうとすると、その扉の向こう側から非常に切迫した声が聞こえ、扉が開かれる。そこに現れたのはこの屋敷でメイドをしていると思われる女性だった。息を切らし汗を額から流し急いで声を出す。


 「お嬢様、お父上が!」


 「は! タクシ様失礼します」


 そう言いその扉を急いで出て行く。俺はどうすればいいのだろう?そう考えていると息を整えたメイドがこちらに話す。


 「あなたが、お嬢様を救って頂いた方ですね、その件は有難うございました」


 メイドらしくきっちりした姿勢と雰囲気で礼をして来た。


 「いえ、当然の事をしただけです。それよりどうされなのですか」


 俺がそう聞くと難しそうな声をする。そして一時の間を置き言う。


 「これは街の者にも秘密なのですが、お嬢様のお父上エルガル様がある者たちに契約魔法の腕輪を無理矢理つけられたのです。その際にエルガル様は抵抗し戦われたのですが敗北し傷を負い苦しんでいる次第です」

 「回復魔法はかけないんですか」

 「契約で回復魔法を掛けると自らの命を立つように命令されていると、去り際に言っていたそうです」

 「犯人の目的が何かは分かりませんが契約魔法がかかっているなら犯人側が何でも言うこと聞かせれるんじゃないんですか?」

 「いえ、契約魔法といってもそこまでの物でもないです。それに当主は元は凄腕の冒険者、それなりに耐性があり、契約で縛れる行動は極わずかなのです」

 

 なるほど、契約魔法、この魔法は一度かけると厄介だが強いものには耐性があり完全に行動を縛ることはできないということか、俺なら契約魔法を解除できるがそこまでの義理はない、ここはさっさと立ち去ろう。


 「すいません、俺は用事があるのでここで失礼します。クレスさんによろしくお伝えください」

 「そうですか・・・分かりました。外までご案内します」


 そう言うメイドさんの顔をはとても悲しそうな顔をしていた。


 屋敷を去りさっそくダンジョンに向かう、今は時間がないので宿を取らない、必要になれば後で取る。


 周りで情報収集しダンジョンの地図を買いダンジョンに向かう、ダンジョンはこの町の1番端にある様だ。


 ダンジョンの入り口にまで歩いて来た。丸い巨大な入り口には警備がおり、洞窟に入る人物をチェックしている。この街は内にダンジョンがあるため、何も見せなくても通れる様だ。俺は堂々とダンジョンに入る。


 ダンジョンの中はひやりと涼しく不気味な雰囲気だ。まあ、ダンジョンと言うのはそんな者なのかもしれないが。しばらく地図通りに進むと気配感知に引っかかる複数のモンスターがいた。


 剣を抜き構える。


 さて、このダンジョンはどんなモンスターが出て来るんだ。

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