50 学園2
さて、行くか。
朝の食事を済ませ学園に足を進ませる。途中で複数のゴブリンに襲われたがリムが全て瞬殺した。次元の穴が近くなるにつれモンスターは弱くなっていく。強いモンスターは近付けないという話を聞いたが、しかしリムは平気そうにしている。あまりに強いモンスターには意味をなさないのか?
更に歩くとシェルターが見え始めた。
モンスターが完全に近付けない150メートル圏内。リムは少し不快感を現したが一分後には何事もなく普段通りに戻った。
次元の穴には確かにモンスターは近付けないようにする効果があるようだが、リムほど強いモンスターにはあまり意味をなさないようだ。
シェルターの扉の前まで来た。
さて、どうするかな。壊すのも一つの手だがそれでは学園側に警戒をいだかせることになるだろう・・・今さらか。
扉に手を置き強度を確かめる。素材はおそらく鉄だろう。これなら、行けるか。
拳を握りしめ扉に繰り出す。
「はあ!」
扉に腕がめり込んだ瞬間「ミシ」という音を立て破れた。
これは!ハリボテか?
殴った。それはいとも簡単に壊れた。それもそのはず中身は木でできた扉だったからだ。
そうか、こちらの世界の連中が無理やり扉を壊して入ったというわけか。確かエリスも無理やり入ったと言っていたな。
モンスターが近付けないなら、この扉の役割は普通の動物を入れないためのものだろう。
それならば優先順位は低い、今は生徒が拉致されたことであたふたしているはずだ。
シェルター内部に入り次元の前まで行く。
『ご主人これがそうなの?』
「ああ、そうだ」
リムに昨夜俺の事を話した。リムはそうなんだーというだけだったが。
「リム、今からこの穴に入る。もし気持ち悪くなったら直ぐに言ってくれ」
『わかったー!』
足を次元の穴に踏み入れた。中に入ると相変わらずうす暗く陰気な雰囲気だ。
「大丈夫か」
『大丈夫!』
「そうか」
次元の穴に入っても大丈夫か、これはいい情報なのか悪い情報なのか、学園はリムほどのモンスターに対処できないだろう。もし戦争になり敵がランク6クラスのモンスターを従えていた場合終わりということだ。
まあ、そんなことにならないように対策を立てに来たのだが、どうなるかな。
次元の穴を抜ける。すると、研究員たちが驚いた顔でこちらに注目している。あるものは手を止め、またあるものは手に持ったコーヒーを落とし自分の膝に掛けたりしている。あれは、熱いな。熱いはずのコーヒーを膝に掛けたのにも関わらず、熱さより驚きの方が勝手いるようでこちらを凝視している。
まあ、今まで一度も次元の穴から生命体が出てこなかったのだ驚くのも当然か、それに横にいるリムは特にだろう、モンスターは入れないと思い込んでいるだろうし。
さてと、このままでは話も何もない、それに俺たちはガラスに覆われ閉じ込められ、動物園の珍獣生物状態になっている。このままでは流石にどうしようもない。
俺はこの学園で作られたポーチや道具を見せる。
すると今まで時が止まっていた研究員たちが動き始めた。
ガラスのケースを開けてもらい、研究員達の中で一番偉そうな人の前に行く。
確かこの人は博士と呼ばれていた人だ。
「ここの責任者ですか」
「ああ、そうだ。君はこの学園の生徒なのかい?それにそのスライムはどういうことだ」
「俺はこの学園の生徒であったことはあるが、今は違う。スライムの事に関しては言うことはない、俺は話をしに来ただけだ。取り敢えずこの学園で一番偉い人を連れて来てくれ」
そう言うと、一瞬だけ考え直ぐにほかの研究員たちに命令する。
学園長に連絡を繋げと、どうやら直ぐにこちらに来るようだ。
それにしてもこの学園を管理している存在か、どんな人だろうな。話が分かる人ならいいがそれは望み薄かもしれない。ここの学園長は国の犬だ。俺の話など切り捨てられる可能性が非常に高い。
「来たぞ」
しばらく葛藤していると、エレベーターが開き二人の人間が出てきた。
あの人は確か、俺は学園に入学した時のことを思いだす。新入生の前で演説をした人を、そうこの学園最強の戦力、生徒会長、天上凛音。
そしてこちらの小太りの男が学園長か。
「お前が俺を呼んだ生徒か?」
めんどくさそうに学園長はそう言う。
非常に人を不快にする声だ。
これは先が思いやられる。
ため息を精一杯堪えながら口を開く。
「はい、元この学園の生徒の柳 拓志です」
「元だと?どういうことだ」
俺の名前を聞いても反応が薄すぎる。どうやら俺が死んだという情報は知らないようだ。
生徒会長はどうやら気づいたようだ。腰に差した剣の柄に手を少し近付けた。
ヘルドトスの情報が伝わっているなら、俺は大罪を犯した人間ということになっているはずだ。
「学園長、この生徒は新入生の訓練で仲間を裏切り死んだという報告があった生徒です」
「ふーん、そうなのか、で、その亡霊が何をしている」
「ここでは話せません。場所を変えてください」
俺がそう言うと生意気なという雰囲気を漂わせてきた。
学園長が口をとがらせ何かを言おうとした瞬間、生徒会長が割って入る。
「学園長、話を聞きましょう。それに私個人も聞きたいことがあります」
「天上?・・・・・・ふん、分かった。好きにしろ」
「ありがとうございます」
学園長に頭を下げこちらに向き直る。
「さて、柳 拓志付いてこい」
これはひと波乱ありそうだな。




