47 別れ
「それは本当なのですか!」
「ああ、俺は勇者じゃない、勇者はエマだ」
「タクシ殿、それならばあなたの強さはなんなのですか、その強さは明らかに常軌を逸している。それこそ勇者としか思えないほどに」
ティーヤはエリスと対照的でそこまで動揺していないようだ。もしかしたらそうかもしれないという可能性を感じていたのかもしれない。
「俺の強さの秘密はユニークスキルにある。このスキルはどんなスキルでも作れるスキル。つまり自分に有利なスキルを作りそれを活用して戦っている」
「しかし、そんなスキルがあれば無敵ではないのですか?」
「そうです!それにそんなスキルがあれば、兄を止めることも簡単です」
「いや、確かに反則めいた力ではあるが、作れるスキルに制限がある。それに自分でしっかりとイメージできないスキルは作りにくい、作れたとしても別のスキルになることもある」
「そうですか・・・・・・」
兄を止められると思ったエリスは少しがっかりしている。
「いえ、タクシ様ばかりにご迷惑をかけられません、これは私自身が解決しなければならない問題なのですから、それでタクシ様はこれからどうなされるのですか?」
「さっきも言ったが俺はレベル上げに専念する。それに確かめたいこともあるしな、あと二人にもこれを付けておく」
二人の腕を握り念じる。
「あのタクシ様!嬉しいのですがいきなりどうしたのですか!」
「タクシ殿、エリス様は分かるが私など、触っても嬉しくないだろう?」
「いや、違うんだ。そういうことを目的としたことではなくスキルを発動させるのに必要な行為で」
俺は直ぐに通信を発動させ二人に話しかける。
聞こえるか?
「へえ!タクシ様の声が頭の中に聞こえる」
「なんだこれは!どういった現象だ」
二人とも驚きのあまりベットから立ち上がる。
「落ち着いてくれ、これは作ったスキルで通信という離れた所からでも通話ができるスキルだ。このスキルを相手に掛けるには相手に触れる必要があった。それと、通信はそっちからも掛けることも可能だ」
「そんな便利なスキルがあるのですか、これで何時でもタクシ様と話すことができるのですね」
あれ、なんか少しうれしそうにしてる?
「もし、兄を止められそうにないと感じたら直ぐに連絡をくれ、直ぐに駆け寄る」
そういった後、立ち上がり別れを告げる。
「エマお前の目的を応援している。何かあれば直ぐ連絡くれ」
「はい、頑張ります。タクシ様も何かあれば連絡ください」
「エリス、王女としての役割頑張ってくれ、でも無理だと思ったら頼ってくれよ」
「はい、必ず」
「ティーヤ、俺が言うまでもないが、エリスの事を守ってくれ、後エマの事も少し気にかけてやってくれ」
「承った」
全員に別れを告げ扉に手を掛けゆっくりと開ける。そして振り向かず扉を閉めた。
はあ、これからやることが多いな。
正直なんでこうなったか自分でも分からない、唯一分かったことと言えば自分が巻き込まれ体質だということだけだ。
『ご主人!』
ポーチに入っていたリムが起きた。
「どうしたリム」
『みんなと別れたの?』
「ああやることがあってな」
『そうなんだ!リム手伝う!』
「リム・・・ありがとう」
「褒められた!」
さて、最初に行く場所はあそこだな。
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「エマ様、もうすぐ夕方ですし明日ここを旅立ちましょう」
「分かりました」
タクシ様が行ってから、少し元気がなさそうにベットに座っていられます。
ここは私が何とかしなくては。
「エマ様、お食事に行きませんか?腹ごしらえをしなければ元気が出るものも出ません」
「エマ殿、エリス様の言う通りだ。タクシ殿がいなくなって悲しいのは分かるが、何時までも悲しんでもいられない、それにそんな悲しそうな顔をしていたらタクシ殿も悲しまれるのではないか?」
「!・・・分かりました。食事に行きましょう」
ナイスです。ティーヤ!
何時も食べている店に来た。
「エマ様は何を食べますか」
「私は・・・」
少し考え口を開く。
「私はビッグボアのサイコロステーキを」
「そうですか、では私も同じものを、ティーヤはどうしますか」
「そうですね、では私も同じ物を」
一緒の物を頼み、ビックボアのサイコロステーキをみんなで食べる。
「おいしいですねこれは!あの時以来癖になってしまいました」
二人もおいしそうに口に運んでいる。
このステーキもこれで最後でしょうか?
味わって食べましょう。
食事を終えるころにはエマ様も話してくださり少し距離が縮まったきがします。
今頃タクシ様は何をされているのでしょうか?




