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42 憤怒

 「お前は!ワイバーンを盗んだ旅人!」


 ルカスはいきなりそんなことを言ってきた。

 いや、盗んでないし。寧ろ盗もうとしたのはお前じゃなかったけ?


 「タクシ様、何故あなたがここにいるのですか!」

 

 エリスが驚いた表情で聞いてくる。


 「俺とリムは離れたところでも意思疎通が可能だ。リムが2人に危険が及んでると伝え、急いでここまで来た」

 「リムちゃんにそんな能力が!」


 エリスは驚いた顔でこちらを見てくる。

 なんだかむずがゆい。


 「貴様ーーー、王女の仲間だったのか!道理で俺の誘いにも乗らないはずだ。お前はここで殺す!」


 ルカスは一旦後ろに下がり、再び渾身の力で斧をふるってくる。

 遅い。


 「はあ!」


 ルカスが気付かないほどの速さで横を通り過ぎ、脇腹を切る。


 「がぁああああーー、何をしたーーーーー」


 よだれを垂らし顔を真っ赤にしながらそう聞いてくる。


 「お前の横を通っただけだ」

 「ふざけるな!」


 そいった瞬間、後ろから来たエマが短剣でルカスの首を切り飛ばした。

 

 「タクシ様に無礼は許しません」


 そう言いエマはゴミを見る目でルカスを見る。

 それはすでに死体となり果て、地面に茫然と横たわっている。

 あっけない奴だった。


 『ご主人!リム、護衛した』


 リムが跳ねながらこちらに来る。

 

 「ありがとうリム、偉かったぞ」

 『リム偉い?』

 「ん、リムは偉い」

 『リム偉いの!』

 

 俺の周りを小躍りして回っている。かわいい。

 しばらく落ちついた後。エリスとティーヤと話す。

 話すと言っても、2人が聞いてほしくないことはもちろん避けてだが。

 しかし、こんなことになった以上話してくれないと困るのも事実。

 

 「そうだったのか・・・」


 まさかエリスがこの国の王女だったとは、いや名前で予想はしていたがまさか本当にそうだったとは


 「そんな顔をするな」


 今にも泣きだしそうな顔していた。

 やさしく声をかける。


 「気にしないでくれ、協力はする。だから・・・」

 「違います!私はエマ様にも注意されていましたが、タクシ様を危険なことに巻きこんでしまいました。それが情けなくて」

 「エリス様・・・」

 

 その場で泣いてしまった。これから、兄が何をしようとしているのか聞こうとしたが、これでは無理そうだ・・・・・・


 「エリス、ティーヤとりあえず今日は宿に戻って休め。エマ2人を護衛してくれないか?」

 「タクシ様はどうされるのですか?」

 「俺は少し用事がある」

 

 真剣な顔をし問いかける。意思が伝わったのかゆっくりと頷く。

 念のためリムにも護衛をしてもらうことにした。

 

 4人が遠くに見えるころ、俺は下の階層に向かうべく逆に歩き始める。


 くそが、ヘルドトスに裏切られた過去がまだ足を引っ張っているのか、エリスの境遇が自分の過去に少し重なった。話を聞いた瞬間エリスの兄アバルスへの怒りが現れどうしようもない気持ちになった。


 オークジェネラルか、今は機嫌が悪い邪魔をするな!

 現れた、オークの群れに剣王技、飛剣斬を虚空に一線。 

 天外に血が一斉に噴き出し、雨のように降りかかる。

 

 どちらにしろ、ルカスを倒した以上次の追手が来るはずだ。

 いいさ、俺は勇者を演じてやるよ。

 エリスの兄アバルスの計画も気になるしな。


 血を浴びながら、更に下の階層を目指す。

 7階層に着き、真ん中の道に入りリザードマンのもとに向かう。

 

  『キュキュウ!ウッ』

 

 うるさい。

 襲ってくる。リザードマンの首を跳ねる。

 

 「かかってこい」


 一斉に来る。それを剣技、連撃斬で6匹を解体、奥にいる黒いリザードマンのボスはその場から立ち上がり、こちらが今した剣技、連撃斬を繰り出す。剣技、連撃斬。


 二つの剣技が空中で交差しあう。衝撃が剣を伝わり骨へとしみる。

 火花が6線散り終え、互いに後ろに飛ぶ。


 リザードマンのほとんどは盾を持っているが、ボスは両手剣だ。

 流石に強い。

 だがこんなものか・・・・・・

 この様子なら今日中に攻略できるな。

 

 『キュキュウ!』

 

 少し気を抜いた隙に懐に入られ、剣技、剣光が来た。

 剣に火魔法を纏う、剣技、剣光。

  同じ技がぶつかりあう。


 『キュキュウ~~~~』


 右腕がなくなっていた。

 俺の剣光のほうが威力が強く、剣を天井に弾き飛ばし再び剣光を放ち、腕を切り飛ばした。


 自分の腕がなくなったリザードマンは何が起こったか分からず、無意識に後ろに下がる。

 腕を切り落した剣が見えなかったのだろう。

 リザードマンは自分が最強だと思っていたのだろう。

 直ぐに咆哮を上げ、爪を立て襲った。


 ふぅ、遅いな。横に避け、前傾姿勢になっているリザードマンの首に剣を入れる。

 勢いよく入った剣は首を空中に舞わせ地面に落ちる。


 次だ。

無情な感情で残った残兵にそう言う。

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