35 ルカスと計画
タクシとエマを逃がしてから数日、エルジナの冒険者ギルドの主ルカスは自室で公務に追われていた。
くそ、あのタクシとかいう小僧を逃がしてから、こっちは忙しくてたまらん、得にワイバーンを奪えなかったのは痛い、上の奴らからは貴重な資源を逃がしただ、目撃者を逃した面汚しだとか散々なことを言われた。
「どん、どん、どん」
扉が叩かれた。
「入れ」
「どうもどうも、ルカスさんこのたびは不祥事を起こしたとかで」
入ってくるなり怪しげな男が突然そんなことを言った。その男はフードを被っており、細身で戦闘能力など皆無に見えるが、その立ち姿は自分と同じかそれ以上の修羅場をくぐってきた人物だと即座に理解した。
「貴様は!王国の奴らか、何の用だ!」
「いえいえ、アバルス様の要請でこちらに来た次第です」
「アバルス王子から!」
くそ、ついに王国から文句が来たか。アバルス王子は国王がご病気のうちに何かを企んでいるらしいが、俺のような末端の人間には計画の全貌すら知らされていない。
「それで、王子はなんと?」
「それはこの手紙に書いております」
フードを被った男はゆっくりとした動作で懐から手紙を出しこちらに渡した。
俺はその手紙に目を通す。
「これは本当なのか!」
「はい、事実です」
「それで、王女は本当にエラスの街にいるのか?」
「ええ」
「くっ、分かった必ず成功してみせる」
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「タクシ様、私たちはここで失礼いたします」
ハイベアーを倒した後、1時間ほどレベル上げを行い街まで戻ってきた。
「ああ、また明日の朝に宿に来てくれ」
俺はそう言いエマと共に自分たちの宿に向かうその道中でエマが問いかけてきた。
「タクシ様、やはりあの2人を仲間にするのはやめておいたほうがよろしいのでは」
やはり、来たか。
しかし、この質問は予想済み。
「エマ、俺は別に2人のことを全面的に信頼しているわけではない、むしろその逆だ」
「どういうことですか?」
「2人は俺をつけてきた。その理由を知りたい、それに逃げても理由が分からなくては対処のしようもない、だから近くに置いてこちらから観察する」
「なるほど!そういうことでしたか!仲間になるフリをしてボロを出したところを叩くということですね、ダンジョンという危険な場所で一緒に過ごすことによって信頼関係ができ、さらにボロを出しやすくなるということですか!」
さっきまで少し暗かったエマが急に明るくなった。
いや、そこまでは言っていないが、まあいいか。
それにしても、エマの人嫌いも相当なものだな。
まあ、俺も人のことはあんまり言えないが。
「ところでタクシ様」
明るかったエマが再び暗くなり、冷めたトーンで喋り始めた。
なんだか怖い。
「どうした?」
「エリスと5階層で何を話されていたんですか?」
え!まさか聞かれていたのか!いやそんなはずはない、あの時エマとの距離も大分離れていたはずだ。聞こえているはずがない。ん
「獣人の耳って、とても遠くの音まで聞くことができるんですよ!」
「は!」
俺は灼熱感が自分の身体の奥から溢れ出し、ひしひしと自分のピンチを感じ始め、額から少し汗が出て来るのがわかった。いや、これはただ気温が暑くて汗をたらしだけだ。そんなことより俺は物凄いピンチに陥ってるんじゃないか。これはやばい、何とかエマを説得し事の収拾を図らなくては。俺は重々しくなった口を無理やりに開ける。
「お前のことは大切に思っている。仲間じゃないと言ったのはそれ以上の感情が自分の葛藤の中にあったからだ。けしてエマを大切に思っていないとかではい」
「そうでしたか!タクシ様は私の事を嫌いなんではないかと思いました。そうですかそうですか私はタクシ様にとって仲間よりも、ずっと大切な存在なのですか」
満面な笑みで、もうご満悦といったような表情を浮かべ、赤くなった顔に自分の手を頬に添え、うれしそうにそういう。
「タクシ様、早く宿に戻りましょう!」
「ああっ・・・・」
ご機嫌そうなエマに手を引かれ俺は宿まで引きずられるような格好で連れていかれた。
夜になりベットで眠りに就こうとしたとき。エマが俺のベットに侵入してき、背中に自分の体をぴったりとくっつけ、足を俺の股の間に入れてき、息を荒くして誘惑してきた。エマの息が俺の耳にしっかりと聞こえ心拍数が跳ね上がる。その後も誘惑は繰り返され、俺は遂に限界を迎えエマに抱きついた。
「エマーーーー」
「タクシ様!だめですそんなところ!あっ!いいです!そこは!いや、でも、あぁぁぁ~~~あ!」
はっ!ここは、俺が気付いた時には朝になっておりエマが横で幸せそうな表情で眠っていた。や、や、やっ・・・・やってしまったーーーーー
これでさらにタクシ様との絆が深まりました!これであのエリスに後れを取ることはありません!そろそろタクシ様と私は○○○するでしょう!




