21 俺とエマ
エマは地面に座りながら自分の尻尾を大事そうに手で抱えている。
辛い、こんな時どうすればいいんだ。
尻尾でエマの顔が隠れており、偶に尻尾の隙間からチラチラこちらを見つめてくる。
「エマ」
俺は気まずさのあまりエマに話しかける
「はい!なんでしゅか」
「いや、そのだな、とりあえずごめん、気付いたら夢中になっていて」
「いえ、うれしいのですが、そのですね、こんどからもう少し優しくしてください」
エマが恥ずかしそうにそう言ってくる。
「ああ、今度から優しくするよ」
あれ?いつの間にか今度があることになっている?
『ご主人!』
近くの岩の上で休んでいたリムがこちらに来て話しかけてくる。
「どうしたリム」
『おなか減った!』
「そうだな飯にするか」
ダンジョンの中だと時間の経過が判りにくいが、外はおそらく昼ごろだろう。
西の森で狩ったビッグボアを空間収納から出し、それをお好みに切り、近くの平らな石を火魔法で焼き、そこにビックボアの肉を並べ、いい色になるまで待つ。
「できたぞ、エマ、リム」
『やったー!』
「はい、いただきます」
飯を食いながら次の階層のことを考えていた。おそらく次の階層はエマにはきついだろう。今日はこの辺でレベル上げをして、帰った方がよさそうだな。
飯を食べ終えたあと、エマとリムにその旨を伝え、この階層でレベル上げに徹した。
ついでに、粉々になったゴーレムはリムが吸収した。
3階層でレベル上げをしていると4匹のオークがこちらに襲いかかって来た。
名前:ハイオーク
種族:オーク
状態:普通
ステータス レベル18 ランク2
HP:104
MP:0
攻撃力:82
防御力:75
魔力:0
敏捷:66
器用:46
運:2
≪スキル≫
槍術2 回避1 身体能力強化1 腕力強化2
3匹は普通のオーク、そのうち1匹はハイオーク、これまたエマにちょうどいい相手だ。
俺は普通のオークをファイヤーボールで撃退し、ハイオークだけを残しエマに相手をさせた。
仲間がやられたことに怒り狂い、ハイオークは2段突きを放ってくる。
エマは短剣技、バックトラストを使う。
バックトラストは攻撃をかわし、そこから予備動作なしで一気に近づき攻撃を仕掛ける技だ。
エマは攻撃を横に避けた瞬間、攻撃に移りわき腹を一気に切り裂いた。
早いな、予備動作が無くなるだけでエマのスピードスにさらに磨きがかかった。
これは、所見で見切るのは難しい技だろう。
オークは血が噴き出しながらもなんとかこちらに攻撃をするが、エマのスピードについてこられずに徐々に体に傷が増え、出血多量で倒れていった。
先程は同じぐらいの強さのゴーレムに苦戦していたが、今は圧勝している。これが勇者のスキルの影響なのか?
俺はエマを倒したハイオークを収納した。
今思ったが今日はじめてモンスターを収納した気がする。
そのあと、3階層でモンスターを狩り続け、いい時間になったので今日は宿に戻ることにした。
宿の金は何かあった時のために2日分ごとにお金を払っている。そうしないとエルジナの街の宿のようにお金が無駄になる可能性があるからだ。
「エマ俺は宿のシャワーを使って来る。そのあと、外で食事にしよう、それでエマはどうする?」
「私もシャワーを浴びてこようと思います」
「そうか、それならそのあと食事にしよう」
俺は宿の地下にあるシャワールームに向かいシャワーを浴びる。
冷たい、どうやら暖かいお湯はでないようだ。
まあ、それでも無いよりはましだが。
俺はシャワーを浴びたあと部屋に戻りベットに座りながらエマを待った。10分ほど立つとエマがぬれた髪をタオルで拭きながら俺の隣に座り込んだ。
どうしたのだろう?
「タクシ様、ダンジョンでの約束覚えていますか?」
「ああ、もちろん覚えている」
「そうですか・・・・」
いきなり沈黙が生まれた。気まずい、こんなときどうすればいいのだ?
「あの、タクシ様」
「はい!なんですか」
緊張のあまり変な声を出してしまった。
「犬族にとって尻尾を触られる行為は結婚と同じような意味を持つのです。私はタクシ様が物を知らないのをいいのに、お仕置きと称して尻尾を触っていただきました。しかし私はそのあとタクシ様をたばかった罪悪感が襲って来てどうすればいいのか分からなくなりました。ですのでタクシ様もう一度尻尾を触っていただけないでしょうか、お仕置きではなく、タクシ様自身の行動で」
エマが真剣な顔でそう言ってくる。というか、尻尾を触る行為は結婚と同じような意味を持つのか!知らなかった。というかもう2回も触っている。今のエマの真剣そうな表情、おそらく相当の覚悟をしていったのだろう。
男として主人として、それに答えるべきだろう。
「分かった、エマ尻尾を出せ」
「はい!」




