20 神聖魔法
エマはゴーレムの左側に回り込み、ゴーレムの腕に向かって短剣を振るう。
「キーン」
ゴーレムの腕に振るった短剣は火花を散らし弾き返された。
「え!」
エマは驚き後ろに下がる。
おそらくあれが、硬化スキルの効果なのだろう。一瞬だが岩のゴーレムの腕が、鉄の硬度まで強化された。
どうやら、硬化のスキルは一瞬だけ防御力を上げる技なのだろう。
しかし、今の攻撃でエマも気付いただろう。
さて、どうやって戦うかな。
エマは再びゴーレムに向かっていき、素早い動きでゴーレムを翻弄し後ろに回り込み背中かに攻撃を仕掛けた。
うまい!あれではエマの姿は見えず、何処に攻撃されるか分からず硬化が上手くできない。
短剣はゴーレムに傷を付けたが、思ったより浅い。
ゴーレムをよく見るとどうやら部分硬化ではなく、全身硬化をしたようだ。
しかし、部分硬化ほどの防御力はなく傷をつけられるようだ。
傷を付けられたゴーレムは後ろを振り返り、拳を振り上げ勢いよくエマに振り下ろした。
それを辛うじて避け横に飛ぶ、振り下ろされた拳は岩の地面に深く突き刺さっていた。
あれも腕に硬化を使い拳を強化したのだろう。それにしても凄まじい攻撃だ、さすがにあれをくらえばただでは済まないだろう。
腕を地面から引き抜いたゴーレムとエマは再び向かい合い、同時に攻撃を仕掛けた。ゴーレムは再び拳を硬化し顔面めがけて前に突き出してくる。しかし、エマは頭をかがめそのまま拳は空を斬り、エマは懐に入り短剣で腹を薙ごうとした瞬間、短剣が白い光のようなものに包まれそのまま硬化したゴーレムの腹を切り裂いた。腹を切られたゴーレムは腹の部分からひびが入り、それが全身に伝わり粉々になった。
「大丈夫か?」
俺はエマに向かいながら言葉を掛ける。
「はっはっはっ、はい、大丈夫です」
エマは汗を全身から吹き出しながらそう言ってくる。
どうやら相当疲れたようだ。 あのゴーレムはランク3に限りなく近かったのだろう。
しばらくここで休むか。
俺達は周りを警戒しながら、近くの岩にもたれかかり休憩をする。
「最後の攻撃はどうやったんだ?」
俺は疑問に思っていたことを投げ掛ける。
「あれは、神聖魔法を短剣に纏わした攻撃です。あれでゴーレムを倒せましたが、神聖魔法を使った瞬間全身から疲労が襲って来ました。どうやら何度も使える魔法ではなさそうです」
勇者の魔法か、確かに強力だが今のエマの実力では場所を選ぶか。
「エマ、その魔法は緊急事態以外は使用禁止にしてくれ、でないと神聖魔法を使った後、ろくに戦えず足手まといになってしまう」
きつい言い方だが今のエマにはあの魔法は危険すぎる。ここは心を鬼にしてでも、言っておくべきだろう。
「はい、申し訳ございません。これからは気をつけます」
エマは土下座しながら謝ってきた。
「いや、土下座しなくていいから」
「いえ、タクシ様に心配を掛けてしまいました。どうかお仕置きしてください!」
え!どういうこと!お仕置き?何故?
「いや別にそこまでする必要はないぞ!」
「いえ、主人に迷惑を掛けるところだったのです!お仕置きは必要です!」
「しかし、お仕置きといってもこんなところではできないだろ?」
俺がそう言うと、エマは待ってましたと言わんばかりの顔をしたが俺はそれに気付かなかった。
「私の尻尾を触ってください!」
え!それがお仕置きになるのか?
「触ってください!」
エマはすごい勢いでこちらを見てくる。
エマの尻尾、あの高級枕のような肌触りをもう一回だけなら。
「分かった、エマこちらに尻尾を向けろ」
「はい!」
俺はエマの尻尾に手を伸ばす。
「あっ!」
俺の手が尻尾に触れた瞬間、エマから色っぽい声が聞こえた。
「すまん!」
「いえ、大丈夫です。だからもっと来て下さい」
「お、おう!」
尻尾の先っぽから付け根のあたりにかけて、繰り返し撫でる。
「はっあ!尻尾の先は!だめぇ!いやっ!」
落ち着け俺の精神、これはあくまで、お仕置きしてるだけだ。そう、何も悪い事はしていないはずだ。
それにしても、この枕のような弾力に高級毛布のような毛触り、これは癖になりそうだ。
「モミモミ、サワサワ、スリスリ」
「あっ!激しいです!そんなにされたら、エマおかしくなります!!!」
はっ!しまった。また夢中になりすぎてしまった。
気付いた時にはエマはうつ伏せに横たわっており、頬を赤らめながらこちらを潤んだ瞳で見つめていた。




