17 冒険者
冒険者、それは王国直轄のもと運営している組織、それがいま、目の前にいる。
「俺はこのエルジナの街を任されている冒険者ギルドのマスターのルカスだ。お前は他の街の冒険者だな、ワイバーンを2人で倒すとはかなり高位の冒険者のようだ。ご協力感謝する。しかしここは、この街が管理している森。そのワイバーンはこちらに引き渡してもらおう」
なるほど、俺達のことを冒険者と勘違いしているのか。
さて、どうするかな。
あまり面倒事はごめんだ。
しかし、ワイバーンを渡すのもいやだ。
「俺達は冒険者ではありません、ですのでワイバーンを引き渡すことはできません」
俺れがそう言うと、一瞬ルカスが嫌な顔をした。
「冒険者じゃないだと?だったらお前はなんだ?」
「俺達は旅をしている者です」
「そうか、旅の者か、それなら今から冒険者になるのはどうだ?」
やはり、来たか!
俺達がいま冒険者ギルドに登録をすると、このワイバーンは合法的に得られるわけだ。
「いえ、俺達は一か所に留まるつもりはありません。ですので冒険者にはなれません」
ここは冒険者になりたくないとはっきりと言っておこう。
「そうか、それなら王国で騎士になるはどうだ?」
「騎士?」
「ああ、ワイバーンの鱗はとても貴重なもので王国が欲しがっている。それを献上したとなれば騎士に取り立ててもらえるかもしれない」
なるほど、冒険者は国が管理しているもの。
つまり、ワイバーンの鱗をこの街の冒険者ギルドが献上すれば評価が上がるということか。
ギルドと言っておきながら実際は国の役人と変わらないわけか。
「いえ、旅をしたいので断らせてもらいます」
「それは王国に刃向かうということだな?」
「はあ?」
何を言ってるんだこいつ。
「王国にワイバーンを献上したくないということだな。そうか、そうか、お前らこいつは王国に刃向かう反逆者だ。もしかしたら他の国の間者かもしれない、殺せ!」
ちっ、そういうことか、端から交渉するつもりは無いという訳だな。
相手は8人、さっきこっそり鑑定したが、今の俺では全員を相手にするのは荷が重い。
ここは逃げるか。
目の前に土魔法で壁を作り分断する。
そしてワイバーンを収納し、リムをポーチの中に入れ、エマを担いで逃げる。
「ワイバーンがいない!どういうことだ」
土の壁を壊したルカスがそう叫んでいる。
俺はすでに木をうまく利用し、見つからないよう遠くに移動していた。
ここまでこれば大丈夫だろう。
5分ほど走り、エマを下ろす。
「大丈夫かエマ、リム」
『大丈夫!』
「はい、大丈夫です」
「エマ、先のルカス行為はよくあることなのか?」
「いえ!あんな横暴な行為は認められるはずがありません。もし国に知られれば、直ちに投獄されます」
「俺達が指名手配される可能性は?」
「それもないです。指名手配をするのには、真実が判る魔道具に触り審議をする必要があります」
それなら、俺達が捕まる心配はないか。そのかわり暗殺などに警戒する必要はあるな。
おそらく、ルカスは俺達を殺してワイバーンを頂くつもりだったのだろう。しかし、殺し損ねたのはルカスの誤算だった訳か。
それなら、ひとまずは安心してもいいだろう。
さて、これからどうするかな。
さすがにあの街に戻るのは却下だ。
そういえば、商人が隣街のエラスに行くって言ってたな。
そこに行くか。
ルカスは冒険者ギルドのマスターだ。
その職業柄あまり動けないだろう。
「エマ、これから隣街のエラスに行く」
「エラスですか?」
「エラスの街の近くにはダンジョンがあるらしい。そこでレベルを上げてから、王都を見て他の国に行こうと思う」
「なるほど!そういうことでしたか!私は何処までも着いていきます」
そう、私はタクシ様の物、いつまでも着いてまいります。
あれ?エマの目が尊敬の眼差しになっている。何故だろう?
エラスは西の方向に3時間ほど歩くと着くようだ。
俺達は西に向かって歩く。
その途中で西の森によりエマのレベル上げをした。
もちろん経験値共有はいったんOffにして。
さて、エマのレベルはいくつになったかな!
名前:エマ
年齢:11歳
種族:獣人(犬)
状態:普通
ステータス レベル8→16
HP:47→186
MP:16→78
攻撃力:28→107
防御力:25→99
魔力:17→82
敏捷:48→118
器用:32→96
運:5→9
≪スキル≫
苦痛耐性3 料理2 裁縫1 身体能力強化1→2 忠誠2→3 短剣術1→2 New腕力強化1 New回避1 New新聖魔法1 New光魔法1
≪ユニークスキル≫
New勇者
すごい上がったな。
それに新しいスキルが・・・・ん! 勇者!何だこれ!
(勇者)圧倒的なレベル差の相手に勝った者だけに贈られる超レアスキル。スキル成長、スキル取得、経験値、レベルアップ時のステータスの増加にプラスが付く。
(神聖魔法)勇者のみが持つスキル。モンスターに与えるダメージがとても大きくなる。
チートだ!
何だこのスキルは、勇者って何だ?
しかも、この説明だと、ワイバーンを倒したのは俺だ。
それなのに、何故エマに勇者のスキルが?・・・・ あっ!
そうか、経験値共有のスキルか!
圧倒的なレベル差が経験値による判断だとすると。取得経験値5倍×ワイバーンの経験値÷2=エマの経験値となる。なるほど、納得だ。
しかし、これでは主人としての威厳が。
「タクシ様、どうかされましたか?」
「エマ、自分のステータス見てくれ」
「ステータスですか?・・・これは!勇者スキル何故私に?」
「それが、俺のスキルの関係でそうなってしまったんだ」
「そうですか!さすがタクシ様です」
エマが尊敬の眼差しでこちらを見てくる。
軽い、軽すぎる。普通はもっと喜んだりするものじゃないのか?
しかしここは。
「そうだろ!・・・・」
普段言わないことは言うもんじゃないな。
「まあ、エマが頑張ったおかげだ。これからもよろしくな」
「はい!」
本当にいい子だ。何か自分の器が小さく思えてくるな。
さすがはタクシ様です。勇者のスキルをいとも簡単に私に付けられとは。
このスキルで強くなって、必ず役に立って見せます!




