8.魔法と銃器と剣士様
異世界といえば魔法と剣だ。
どの作品にも剣士は登場するし、圧倒的な剣術で主人公をサポートする。
もしかしたら長きにわたる修行や特異体質のおかげで素晴らしい剣術の才を主人公自身が持っているかもしれない。
いずれにせよ敵味方問わず一人は剣士が存在するだろう。
そんな花形である剣士だが銃が登場する作品においては遠くから狙われたり何もできずにやられたり、少々不遇な立場になる。
確かに普通に考えれば銃があるなら剣はいらなくなるかもしれない。
しかしそれは現実世界の話だ。
異世界では魔法も弓矢も銃器も、あらゆる生かし方が存在することが前回でわかった。
では剣士はどう進化するのだろう?
現実世界では剣士は弓矢とともに廃れていく。
初めこそは弾込めの手間や弾丸の供給の問題で、剣士と銃士が肩を並べて戦ったこともあった。
しかし薬莢の開発、連射能力の強化により剣は次第に廃れていくことになる。
厚い鉄の装甲をもろともしない弾丸の前では近接武器は無力だ。
剣などの近接武器の優位点は乱戦時、いわゆる混戦状態の時にある。
むやみに弓や銃が使えない時のメインウエポンだ。
近代においても白兵戦、ゲリラ戦などは短剣が活躍したのだ。
銃の本質は遠距離から人を無力化出来るという点にある。
しかし同時にフレンドリーファイアの危険性もはらんでおり、遠近両立した銃の登場は現代を待たなければならない。
さて、魔法の世界の剣はどのような進化をするか考えてみよう。
まずは魔術師や大砲を守るガーディアンとしての剣士。
いうまでもないが奇襲や不測の事態によって、自陣近くに兵士が入り込み白兵戦になった時、敵を排除するために剣を振るう。
現代なら銃剣でもいいのかもしれないが異世界の製鉄技術ではコンパクトかつ丈夫な銃は難しいだろう。
もう一つはゲリラとしての剣士。
つまり少数の兵士で大多数の兵士を撹乱するという、まさに物語で活躍するタイプだ。
隠密行為において音を立てずに行動を取りやすく、軽い装備で済むのは大きな利点だ。
意外に剣士としての戦術は近代戦と変わらない。
奇襲や強襲を行うことを考えると主人公がフルアーマーの鎧を着込まないのも頷ける。
そもそもフルアーマーの鎧なんて実際装備したら自分で外せないし高いしでそう持っているものなんて少数なのだが。