能力と発現
「さて、ヤマト殿。とりあえず武器防具などの最低限の装備はこちらで用意させていただきますが…その前に【能力】の発現をさせていただきます。おいミミ!コッチこい」
「はい」
髪は黒く肩にかかるくらいでとても可愛らしい顔をしている女の子だ。そして頭に横の耳とは別の尖った耳が付いている。そして尻尾も…。これが猫族か…。
「ミミでございます。ここからは私が説明させていただきます。」
「お、おう、よろしくミミ。んで能力って?」
「生物は生まれながらに1つの能力を持っているんです。それは人によって様々な能力ですが、役に立つ事は間違いないでしょう。」
「1人に1つしかねーの?」
「いえ、戦いを通して成長していく事で新たな能力が発現していきます。能力は自己強化能力だったり物理破壊能力だったりと様々です。」
「そして持ってる能力が何か、をわかる能力を持って産まれる子供が稀にいます。それが私です。」
「じゃあ君が俺の能力を見てくれるのか、ありがとう頼むよ。」
そう言うと王様もミミも驚いたような顔をした。
「ヤマト殿、ミミは奴隷ですぞ。ありがとうなどと言わなくとも良いのです。」
奴隷?本当にそんなもん存在してんのか。いや現世でだって俺が知らないだけで似たような人たちはいたのかもしれない。けど…
「良いんだ、俺は俺のやりたいようにやる。感謝したい時は感謝する。頼むぜ、ミミ。」
ミミはまだ驚いた顔をしているが
「はい!」
と言って真剣な顔つきになった
「発現!サーチ!!」
俺の背中に手を置いたミミはそう言って能力を使用した。しばらくしてミミは手をゆっくり話した
「わかりました、読み上げます」
【能力:不動】
(能力を発動した後そこから動かない事でそのとどまっている時間に比例して右手で触れている物のエネルギーが高まる。何も触れていない場合は右手の物理破壊能力が高まっていく。動いてから1分以上何もしない場合能力の付与効果は消える。)
「不動か…戦闘中に動かないってなかなかキツくない?使えんのか?これ」
「実際に見てみないとわかりませんね。やってみましょう。発現!ブロック!」
ミミがいうと目の前に身長ほどのレンガの壁ができた。
「ヤマト様。能力無しで殴ってみてください。」
え、そんなん痛いだけじゃん。手割れるわ。
「いや無理無理手痛めるだけだって!」
「あなたの世界の重力はこの星よりだいぶ強かったのではないですか?先ほどあなたの筋肉も見ましたがかなりのものでした。」
なに筋肉勝手に見た事カミングアウトしてんだよこの猫娘。でも言われれば確かにここの重力は軽いかもしれない。いける気がしてきた!よしっ!やってみっか!
「オラぁ!!!」
俺の拳は壁と正面衝突し見事な音を立てて崩れた。
なんて事はなく俺の拳が惨敗した。
「いてえええええ!!」
「勘違いでした。ではヤマト様次は発現してやってみてください」
こいつ……!!!くっそーー!!わかったよ!!やってやんよ!!!
「発現!!不動!!」
唱えた瞬間右手に青い輪っかのようなものが渦巻きだした。とりあえず30秒くらい待つか。
「……よし!!行くぜえええええ!!オラあ!!!」
殴った瞬間壁は物凄い音を立て吹き飛んだ。
というか吹きとびすぎて王様に瓦礫があたって気絶した。
「王様ああああ!!!」
「な、なんかすみません……」
しばらくして……
「ふむ、ヤマト殿、お主は中々の力を持っているようだ。今のを旅ののろしとして進め!!世界を救うのだ!!」
俺の心はもう決まっていた。
「はい!行ってきます!!」
「ミミも連れて行け。世話もしてくれるし能力の発現には欠かせないからな。」
「良いの?ミミ」
「私に拒否権はありませんから。」
「そっか…ありがとうね。」
そう言い頭を撫でるとミミは顔を赤くして耳をピーンと立て尻尾を振り始めた。
「い、いえ。そんな。」
「じゃあ、行こうか!!」
ヤマトの世界を救う旅が始まった。