38、選別の泉
読んでくれた方々に、ご迷惑をお掛けします
色々あり、不定期更新に差せて貰います。…ペコリ(謝罪)
38、選別の泉
☆★☆ 櫻 ☆★☆
岩壁は湿気を帯びて濡れて、滑り易くなっていた。縄を伝って降りる時には、慎重に降りていたので、軽く足を滑らせる程度だった。底に足が附いた時に、安堵から気を抜いたのがいけなかった
…にゅるん!(足が滑る)
「・・・ぁっ」…ぁっ(驚)
「危ない!」
…グッピィ!(悲鳴)
縄を放した瞬間に、両足が持って行かれた! 咄嗟に両手で頭を抱えた所で、誰かに受け止めれた・・・
「さ、櫻っち~・・・って、遉は花梨っち、簡単に受け止めてるよ」
「大丈夫ですか? 此処の足場は滑り易いですから、気を抜かぬ様にしましょう」
「・・・ぁ、ありがとう」
…ッパシパシッパシパシ(叩く音)
『=・・・=っん=ごめん=ごめん=』…意思疎通
受けて止めてくれたのは、傍に控えていた花梨さんだった。お礼を言い、花梨さんに支えられながら立ち上がった。僕がちゃんと立ったのを確認してから、花梨さんは手を放し、ちらりと桃子っちを視てから上方に視線を向けた。次(最後)は、綾目さんが降りて来る・・・因みにだけど、転んだ拍子に頭を両手で押さえた時に、翠雨ごと押えた様で、軽叩音と頭を叩いて抗議をされた
「櫻っち。足元が、粘液辷しているから気を付けて。藻だか苔だかに覆われていて、油断すると簡単に足が持ってかれるよ~」
「・・・ん」…こくり(頷き)
桃子っちの言葉に頷き、慎重に蹲踞で足元を観察する・・・地肌を覆い隠す様に何かが張り附き、触ってみると粘液辷している事が分かる。粘液辷の基は少々 触った程度では落ちない事も判った
「あっ、花梨ありがとう」
足元を観察していると、綾目さんの声が聴こえた。振り向くと、花梨さんが綾目さんを支えている。僕もそうだったけど、綾目さんも下に降り立った時に体勢・・・足を滑らせたと思われる
ん? 僕と綾目さんは、降り立った時に足を滑らせた。花梨さんと桃子っちはどうだったんだろう? ふと桃子っちを視ると、眼が合った。一瞬で視線を逸らされたので分かった。桃子っちも、僕らと同じ足を滑らせ転ぶ派だ! 花梨さんは・・・表面からは良く分からない。でも、花梨さんなら、滑っても転ぶ前に体勢を立て直してそう
※※※花梨も盛大に転んで、腰を打ち附けています。頭は死守した様ですが※※※
皆が揃ったけど、この粘液辷地獄を進むの? 目的の場所(選別の泉)は、あの光を放っている所だと思うけど(縄を伝って降りる時に、離れた場所が輝きを放っていたのを確認しているし、現在の場所からでも輝きが視える)・・・悪路(整備されていない道)を想定して登山靴(大地さんに選んで貰った♪)を履いてるけど、滑りには弱い事は岩壁を降りる時(降り立つ時も含む)に立証されている・・・目的の場所に到着するまでに、絶対に誰かが怪我をする! 打ち身や擦り傷 程度なら僕の治療魔法で治す事は出来るけど、大地さんの様に骨を折る様な重症だと・・・
「さて、全員が揃いましたが、このまま進めば危険ですね」
花梨さんの言葉に、僕を含めた全員が頸を縦に振っています。でも、解決策はあるのかな? 因みに僕には無い! 事前に滑り易い場所って判ってれば、対策を講じれたかも知れないけど、後の祭り。良く考えたら、選別の泉が亀裂の奥にあるって事しか聴いていない。道のりに附いては・・・今回の事を踏まえて、次からは目的の場所だけでなく、その道のりの情報も、必要な事が理解できた・・・でも、今回に限っては、ワッツさん自身が情報を持っていたとは考えられない。入って来れないし
「でも、どうするの? 先に進むのは危険だけど。戻るのも危険だよね?」…チラッ(視線)
「・・・進退窮まる」
桃子っちが、前方と上方を視乍ら共に危険だと言ったので、ある格言? を思い出した
「櫻っちの言う通り! まさに、進退窮まるだね!」
桃子っちが、物凄く喰い附いた! ・・・でも、良く考えたら先には進める。汚れるのと見た目さえ気にしなかったら・・・
秘奥義! 匍匐滑り! これなら、前進できる!
「困りましたね~。此処は、一歩一歩 慎重に進んで行くしかないのでしょうか?」…ぅ~ん(思案中)
馬鹿な事を考えてたら、少し困った様に、綾目さんが呟いた。良かった馬鹿な事(秘奥義!)を話さなくて
「それも1つの手です。ですが、少しお待ちください」
花梨さんが、綾目さんの呟きに答えなかが、何かをしています。っと、言うか、何時の間に蓋の開いた収納箱を横に置き、何かを編んでいます。何でしょうか?
暫くして、花梨さんから皆に配られた物がある。配られた物とは、中心部分が編まれていて、四方に紐が垂れている。それが大と小、2個づつある。何だろう?
「今、配った物は、足に着ける事により、多少の滑り止め効果が期待できます。簡易的なものですが・・・〔時間と材料さえあれば、草鞋を作れ・・・〕…小声」
これに滑り止め効果? 足に附けるから2個ずつあるの? 着ける場所は爪先と踵かな? ・・・最後の方は、小声だったので良く聴こえなかった。草鞋がどうとか・・・そもそも、草鞋って何だろう?
「あの~、この合成樹脂紐で編まれた物が滑り止めになるんですか?」
「花梨。効果はあるのですね? どう着けるのでしょうか?」
「・・・ ・・・ ・・・」…ジィ~~~(注視)
合成樹脂紐の効果っと言うより、編まれた物にかな? それとも両方かな? 桃子っちと綾目さんが、期待効果に疑問を抱いている、僕もだけど
「多少ですが効果はあります。材料が材料ですので、使い捨てになりますが・・・今から着け方を、実演します。同じ様に着けて下さい・・・っと、その前に」
新たに2つ収納箱を取り出し、元々 取り出されていた収納箱を含めてコの字になる様に設置した。中心に花梨さんが座り、左右に僕達(右に綾目さん。左に桃子っちと僕)が座った。そして実演・・・
着け方としては簡単だった、大きい方が前(爪先からつけ根)で、小さい方が踵になる。歩き方の勘所も教えて貰った。内容は・・・歩幅は小さく(通常の半分程度)。足の上げる高さを低く(通常の半分程度)。若干の前傾姿勢で足裏全体で踏み込む。との事
「此れで、現状で出来る準備は整いました。慎重に進みますが、足元には細心の注意をして下さい」
「は~い」
「判りました」
「・・・ん」
僕を含めた3人の返事を聴いて、花梨さんが進みだした。その移動は、歩幅を小さく、足をあまり上げない(摺り足に近い?)、前傾姿勢かは不明だけど、足を平衡に近い状態で踏み込んでる様に視える・・・っと、悠長に観察できたのは、花梨さんが、ゆっくりした速度で歩いてくれたから
花梨さんを手本に、桃子っちが動きだしたけど・・・動きが不円滑
っあ!
「ぅわ! わっわわわわぁ~・・・」…ズル(辷る)…ズルズルズル(辷る辷る辷る)
…ッふわっグィ(受け止める)
「大丈夫ですか?」
「・・・ ・・・ ・・・っあ、だ、大丈夫。ありがとう」
「はい。立てますか?」
「ぅんしょっと」…ぅんしょっと(立ち上がる)
っと、良かった~。桃子っちは転倒せずに済んだよ~
「っほぉ~・・・良かった。さすが花梨です」…っほぉ(安堵の溜息)
綾目さんも、今のは焦るとした様だ。それに綾目さんの言う通り、花梨さんの動きが凄かった~
僕が視た一連の動きが、こんな感じだった・・・桃子っちが、足を辷らせながら花梨さんに向かって行き。後ろから突っ込んできた桃子っちを、花梨さんは、円を描きながら桃子っちの背後へ辷り込み(その動きは華麗だった)。辷り乍ら後方へ倒れそうな桃子っちを背後から抱え込んだ様に視えた。最後は花梨さんの背中しか視えなかったけど、動きからの予想
っと、振り返って考えてたら
「櫻さん。もの思いは、其の辺りで。花梨が呼んでいますよ」
綾目さんに声を掛けられ、花梨さんを仰ぎ視れば手招きされてる・・・いけない! 進まないと・・・
…っぐい(掴まれる)
っえ?
「慌てては駄目ですよ」
綾目さんに、肩を掴まれて注意をされた。確かに、ちょっと焦ったかも。気を附けないと桃子っちの二の舞だ
「・・・っあ、判った。ごめん」
「気にせず。ゆっくり行きましょう」
綾目さんは、笑って促してくれた。今度は、ゆっくり、慎重に、花梨さんの注意事項を思い出しながら歩みを進める
漸く目的地に到着した。初めは何が光を放っているのか不明だったけど、近附くにつれ、地面が発光・・・ちがう、水のある場所が発光している事に気附いた。これが、選別の泉? 見た目、ちょっと大きな水溜りに視えるけど。深さは・・・ぅ~ん、輝きが邪魔をして良く判らない・・・そんな些細な事よりも大事な事がある!
光が色とりどりの輝きを作りだし、幻想的な感じを醸し出していたんだ!
「此処が、選別の泉?」
「傍で視ますと、色鮮やかに輝いて、とても綺麗ですね」
「・・・ん、幻想的」
「水の底が光ってると思っていましたが、水 事態が輝きを発している様です」
花梨さんが、片手で光る水をすくい乍ら分析している・・・って!
「花梨っち、大丈夫なん?」
「・・・ん、花梨さん?」
「問題はありません。この水の鑑定結果です。視て下さい」
花梨さんが、提示してくれた鑑定結果を覗き込む
≪特殊な水≫
定められた条件を満たした存在が、彼の地へ赴く為の扉
花梨さんが、手に掬った水の鑑定結果だけど、必要 最低限の情報しか記載されていない。これも、鑑定 Lv が低いから詳しい詳細が載らない? だとすると・・・
「これ、もう少し詳しく判らないかったの?」
「自分が、鑑定した結果ですので。現状では、何度 試しても同じでしょう」
「・・・ん、誰が試しても同じ結果だと思う」
「大地さんの仰っていた Lv が関係してくるのでしょうか?」
「・・・ん、たぶん」
「ああ~、鑑定に Lv がある時点でその可能性があった~」
桃子っちは、気附いた。っと、言うより忘れてた? 大地さんの予想していた、Lv 表記のある技能は成長させないと意味がない。今回の鑑定結果で確定?
「さて、異常は認められませんので、まずは自分から試させて貰います」
っん? 試す?
「っあ! それなら、私が試したい! 一番乗りしたい!」
「駄目です。成功するにせよ失敗するにせよ、何が起こるのか不明なのですよ?」
一番乗りって・・・僕達の中ではそうかもしれないけど、実際は・・・あれ? でも花梨さんの受け応えは・・・
「花梨。ワッツさんの話では」
「いえ、綾目様。ワッツ殿の言葉が全て正し・・・っいえ、ワッツ殿は全てを知っている訳ではありません。ワッツ殿が信用できないではなく、信用のできる方の言葉でも警戒し注意するのが正しいのです。情報を伝える時には、伝える人の主観も入りますし、伝え忘れも起こる事でしょう。其の人にとっては取るに足らない事でも、他の人には違う場合があるものです」
「それは・・・」
「綾目様は、今のままで良いのです。無理に考え方を変える必要もありません。其の為に、自分が居るのです。これから先、もう少し拡い視野を持って貰えれば幸いです」
これ、綾目さんだけでなく、僕達に対しての言葉だよね? 僕達3人はワッツさんの言葉を素直に捉えていた。けど、花梨さんは、全てを肯定せず、色々な危険予想を立てていたと思われる。特に大地さんが居ない今は・・・大地さんの検証も花梨さんと同じ考えの基でなのかな?
「じゃ~、選別の泉の判定そのものに危険があると思うの?」
「危険はどの様な事にも附き纏います。度合の問題です。今回の事は特に、成功すれば異なる場所に行くとの事です。試さないと言う選択肢はないのですから、安全を確かめたいのです。これは自分の我侭と受け取って下さい。桃子殿には申し訳ないですが」…ペコリ(謝罪)
花梨さんが、桃子っちに謝ってるけど、本当は・・・桃子っちも判っているのか疑問を挙げたけど、花梨さんが一番に試す事に文句は無いみたい
「うん。では、自分が試して問題が無ければ、桃子殿。櫻殿。殿を綾目様で宜しくお願いします。特に最後の綾目様は周りに気を附けて下さい・・・自分が失敗すれば周囲の警戒は要らないのですが・・・」
「あ、花梨っちの後は、私達、皆で試すよ。本当は、全員で試しても良いと思うけど」
「いや、しかし、それはきけ「花梨」ん・・・」
「大丈夫ですよ。花梨」
「・・・ん。皆が必ず成功する、失敗はない」
桃子っちの言葉に、花梨さんが心配するけど、綾目さんが桃子っちの言葉を肯定した上に、僕の感? が告げている。どの様な順番(何人一緒でも)を取ろうとも成功すると
僕達の言葉に、花梨さんが、暫く考えて頷いた
「判りました。皆の判断を信じます」…チラッ(視線)
? 今、僕を視た? 何故かな? 考えようとした所で
「では、行きます」
花梨さんが、行動を起こした・・・っと、言っても直ぐに選別の泉に足を踏み入れる訳でなく。靴と靴下を脱いでアイテム収納箱へ、そして下衣を捲ってから足を踏み入れた
花梨さんが中央附近に辿り着いた辺りで、光が立ち上り、花梨さんの身体が光に埋め尽くされて・・・っん~、薄れてが適切かな? 何方でも一緒だけど、花梨さんが消えた事には違いがない
「・・・ ・・・消えちゃったね」
「・・・ ・・・ 花梨が、消えてしまいました」
「・・・ん、成功」…うんうん(頷き)
2人は、呆然と呟き、僕の言葉に驚き、そして・・・
「やった~。成功だよ、成功!」
「っえ、ええ、成功ですね」
桃子っちが凄く喜びだした、綾目さんも、控えめだけど喜んでいる。僕は当然の結果に満足した・・・僕だけ冷めてる感じがするのは、どうしてかな?
「よし! この勢いで私達もいっくよ~~~!」
「そうですね。花梨を余り待たせるのも宜しくありませんね」
「・・・ん、桃子っち、押さなくても行くから、まずは靴を脱ごう」
飛び込んでしまいそうな勢いで、綾目さんと僕を押して来たけど、僕の言葉に、まず、するべき事を思い出したのか、いそいそと靴を脱ぎだした。
皆の準備が出来た所で、3人 手を繋ぎ、選別の泉に足を踏み入れた。足元は光で視えないので、摺り足でゆっくり進む。深さ的には、僕の脹脛の半ばまである、捲った下衣が限界範囲濡れない辺り・・・
花梨さんと同じ辺りまで進んだ所で、足元から光が溢れだして、僕達を包み込んでいく。花梨さんと同じ現象だ。光が強くなるに従い、視界が白く塗りつぶされて行き、身体の上下感覚が無くなった・・・
つづく
3、集う=前半=での文章
・・・荷造り用の縄を2種類(1㍍・5㍍)各2個 ⇒ 荷造り用の縄を100㍍巻5個 に変更します




