35、瓦礫登り
すみません。遅れました~
35、瓦礫登り
☆★☆ 花梨 ☆★☆
自分達は、ワッツ殿の案内(背に乗せられて)で神楔山に分け入りましたが、自分達が下山する時に使用したと思われる登山道を通らずに、別の場所にある獣道を登り出しました。獣道と例えるのは、人が1人 通れる程度にしか踏み締められていないからです。その場所を通っているのに、場を踏み荒らさずに通るのですから、末恐ろしいです(足跡が附いていません)
山の斜面を縦に割る様に亀裂の前で止まりましたので、この亀裂が目的の泉に繋がる場所なのでしょう。亀裂の上層は草木に覆われて視えなくなっています。亀裂の前は、ワッツ殿が寛げるだけの拡場になっています。明らかに人工的に作られた感があります
ワッツ殿は拡場で待機して居るとの事ですので、並列思考・兎の目を小声で唱え。気配探知と光源を作りだす為に、生活魔法の灯を縄楔(錘 部分に使用)に掛けて提灯 替わりとする。身体強化も使用しようかと思いましたが、自分だけ能力を上げても意味がないので、今回は見送りました。亀裂に侵入し、ある程度 進んだ所で、皆が揃うのを待ちました(遅れて入った綾目様が追い附くのを待つ為です)。全員が暗視能力を有する各種の目を使用していますが、灯が明るすぎるので意味をなさなく成っています
亀裂の中を進んでいると、足元の平らな部分の幅が狭まりだした(侵入 当初は片足幅より気持ち拡かった)。今では、靴の底が地面に着かない程 狭まり(無理に踏み込むと靴が抜けなくなるか、足首を痛める事になりかねない)、左右の壁面を、それぞれの足で踏み締め、手で平衡を取り乍ら進む事になってしまいました。底から一定の高さ附近に、少し勾配が緩い場所があり、その場所を踏み締めるようにしています。それと、紅蓮を歩かせるには、少々 危ないと思い、肩に担ぎ上げています
左右の壁面を踏み締め乍らの進みは、不慣れなのもあり、ゆっくりとした進みを余儀なくされています。普通に生活していたら、まず、経験する事などないですから、致し方ありません
体力や精神、各所の筋肉を酷使して進んでいると、前方に道を塞ぐ瓦礫の山が・・・警戒しながら慎重に進んで確認すると、左の壁面の一部が崩落して、道を塞いでいる様です。ですが、亀裂の壁面は固定化が成されているはず・・・近附いて観察すると、壁面の至る所に、細かい罅割れがあり、その状態で固定化が成されている感じです。状況的に考えると、崩落後に固定化されたと考えるべきでしょう
瓦礫は、幾つかの塊(一抱え以上もある大きさ)が積み重なり、一番上に板状の瓦礫が乗っかっている様に視えます(光源は届いていないので、兎の目の効果で何とか視えています)。そして、上方から縄が、垂らされている事から瓦礫の山を登って超える事が伺える。ここまで、無理な体勢で進んできた挙句に、瓦礫登りをしないといけない状況に陥ってしまいました。一度、休憩を挟みたい所ですが、この足場では自分以外は・・・ちょっと厳しいですか。登った所で休憩が取れると良いのですが・・・
「・・・花梨さん。ss に、余裕があまりない」
「っあ! 私も、そろそろやばそう。この瓦礫を登った先で、休憩希望! 座れるかもしれないし 」
自分が、瓦礫を見詰めて思案していると、櫻殿と桃子殿から ss 余裕が無いとの事。自分の ss の量を確認してみると、残り2割ほどでした。あら? 自分も余り余裕がある方ではないですね。並列思考には、気配探知で警戒させていましたが、 ss の残量確認を忘れて・・・っいえ、気にしていませんでした。技能の使用には ss が噛んできますので、残量確認の癖を附けないと駄目ですね。櫻殿と桃子殿に感謝。それと、桃子殿の案は、自分も考えていましたので
「判りました。此処での休憩は無理ですので、この瓦礫を登った先で休憩できそうであれば、休憩に入りましょう」
桃子殿、櫻殿、綾目様が頷くのを確認してから、瓦礫を見上げて登る為の道を確認。瓦礫の天辺に当たる板状の塊の近くまでは、幾つかの積み重なった瓦礫(一抱え程ある)が足場になるので、登る事 自体は問題が無いと思う。自分が実際に上って、足場の強度を確認する事は出来る(固定化が掛っている様ですが・・・)。問題は天辺の板状の塊に登る為の道ですね。最後の足場になる瓦礫との間に、隙間がある様に視えるのですが・・・縄があるので、縄で登れば済む話ですけど、皆さんがそれを出来るかですよね・・・自分が先に登りますし、身体に縄を巻き附けて貰い、引き上げればいいでしょう
「自分が登り終わった後、1人ずつ、自分の通る道を参考に、縄に捕まりながら登って来て下さい。縄が命綱になりますので、決して離さないようにして下さい。場合によっては、縄ごと引き上げますので、宜しいですか?」
「・・・ん」
「わっかりました~」
「ええ、宜しくお願いしますね」
瓦礫の上から垂れている縄を掴み、登りやすそうな場所を選びながら、登りだすと、楽に登って行ける事が分かりました。注意深く視ると、足場として使用する場所に、一定の大きさの窪みがあり、踏み締めたり、引っ掛けたり、登りやすい細工が成されています。おかげで、労せず瓦礫の天辺に当たる板状の塊の前に到着する事が出来ました。天辺の瓦礫(板状)ですが、土台になっている瓦礫から飛び出す様な感じになっていました(奥で積み重なり、手前に人1人分の空洞が開いている)。足場の確保は無理ですね。幸いにも、天辺の瓦礫(板状)の上部には、背伸びをすれば指を掛ける事が出来るので、懸垂の要領で登る事は出来ると思う・・・天辺の瓦礫(板状)は、水平に近い状態で左右の壁面を繋いでいる為、休憩するには最適かもしれない。繋いでいるっと表現したけど、実際は、右の壁面の接触部分が抉れているので、喰い込んでいる事が伺える。対して、左の壁面は地崩れした場所に消えている(残った壁面に削られた跡がある)。可なりの深さ? 厚さ? が崩れたのだろう。壁面と地崩れして現れた面との段差が窺える
視線を瓦礫の上層に向け、背伸びをし、左右の指を引っ掛け、額が覗くまで上体を引き上げ、右指を右腕に切り替え(指先から肘までを地面に押し附ける)、肩が覗くまで上体を更に引き上げ、左指から左掌に切り替え(掌で地面を掴む様に)、右腕も右掌に切り替え(左と同じ様に)、両掌で地面を押える様にし、腰ぐらいまで上体を更に引き上げ、右膝を右腕の外側に附いて、右肩から倒れ込むようにして、身体全体を引き上げる事に成功する
「ふぅ~~~(一息) ふむ、思ったより指の疲れがない?」
身体が変化した為かな? っあ! 紅蓮!
…キョロキョロキョロ(周囲見渡す)
少し離れた所で、座って此方を視ています・・・
『=~=!=;=!=』…意思疎通
「ご、ご免なさい」…ペコリ(謝罪)
抗議・・・っと、言うか怒っている感じの意思疎通を感じました。今回のは、此方が全面的に悪いので謝ります。転がる前に、紅蓮に声を掛けて、先に降りて貰うべきでした
っと、気を取り直して、改めて周りを見渡すと
…ぐる~っと(周囲見渡す)
ざっと視る限り、正方形に近い感じを受けるな。縦(長さ)でも横(幅)でも自分が寝転がっても余裕ができる程度(2㍍前後)の拡さを感じる。4人なら十分 座って休憩できる拡さですね。皆さんに声を掛けて上がって来て貰いましょう。横幅があるのは、地崩れの影響です。本来の亀裂の幅は1㍍程度でしょうか、それを考えると・・・っと、そうです。皆さんを呼ぶ前に、灯を灯した縄楔を天板の中央附近に置いておく。紅蓮が、その横でうつ伏せで横たわり出しました
「{皆様、聞こえますか? 此方には、休憩するのに十分な拡さがあります。上がって来て貰えますか?}…大声」
少し、身を乗り出す様にして、下に居る人達に声を掛けます。
「{はいは~~い。わっかりました~、1人ずつ上がって行きま~っす}…大声」
今の声は、桃子殿ですか。誰から上がって来るのか判りませんが、縄で素早く引き上げれる準備をしましょう・・・良く考えたら、備え附けの縄を使うのですから、準備という準備が要りませんね…ポリポリポリ(頬掻き)
桃子殿が登り始めたのが視えました。先登者は桃子殿ですか、亀裂に侵入した順番で、登って来るのでしょう。縄を掴まずに、軽快に登ってきますが、崖登りの経験があるのでしょうか? 自分より登る速度は、早いですね。ただ、周囲への警戒を怠っている様に感じます。そんな事を考えていると
「花梨っち、最後は縄を登って行けばいいんだよね?」
「ええ。確かにそうですが、登れるのですか?」
最後の難所(天板の下にある空間前)まで、簡単に辿り着いた桃子殿が、確認の質問をしてきたので答え、擬問をぶつけると
「いけるいける~。最後は引き上げてくれると嬉しいよ~」
軽い返事と共に、縄に跳び附き、両手で上方を掴み、両太腿で挟み込む。右、左、両膝っと、ずらしながら軽快な掛け声と共に登りだした
「っよ、っほ、っは、っよ、っほ、っとぉ~・・・花梨っち、引っ張って~」…ぶんぶんぶん(手を振る)
右腕が天板の瓦礫より、突き出され、右手を強烈と振っているので、素早く掴み、徐々に力を増やすしていき、桃子殿を天板の上に引き上げる
「ありがと~・・・{櫻っち、いいぞ~}…大声」
引き上げられた桃子殿が、櫻殿に登って来る様に促している。桃子殿の声が聴こえたのか、櫻殿が登り出したけど・・・うんうん、縄を掴み、慎重に登って来ている。普通はこうだよね。桃子殿の様な軽快な登り方は・・・岩壁登攀か何かの経験者でしょうか?
「桃子殿、少し質問があるのですが」
「ん~~、何~?」
櫻殿の様子を視乍ら、桃子殿に擬問をぶつける事にした
「今までに、崖登りか、それに類推するものをした経験がおありで? 例えば、岩壁登攀など」
「っえ? 今日が初めてだよ?」
自分の質問に、驚いている桃子殿が居るけど。それ程、可笑しな質問をしたつもりはないのですが。それに桃子殿の答えに、どうも納得できない自分がいます
「それにしては、軽快に登って来られましたが?」
「ああ…ッポン(掌叩く) 私がやってみせた事は、多分、皆も出来る事だよ」
「え?」
崖登りの時に視せられた、桃子殿の軽快な動きを全員が出来る事ですと?
「私達の身体能力が、使いこなせてない分を差し引いても、高いのは判るよね?」
「っえ、ええ」
「花梨っちは、無意識に、人の時の身体能力に合わせていると思う。」
それは、自分が無意識に力を抑制していると言う事ですか? ・・・言われてみると、最後の瓦礫(板状)を懸垂で登った時の、指の疲労度が少なかったのは・・・亀裂に入ってから、安定な姿勢で歩いていたのに、疲労度が少ない事も関係あるのか・・・
「花梨っち、櫻っちが、登って来たよ」
桃子殿の言葉に下を視れば、丁度、最後の瓦礫(板状)の前まで辿り着いた所の様です
「櫻殿。縄にしっかりと掴まって下さい。引き上げますので」
「・・・ん」
櫻殿が縄に捕まったのを確認してから、縄を両手で持ち、手繰り寄せる様に櫻殿を引き上げる。数回 繰り返すと、櫻殿の太腿が視えた辺りで、自身の膝を地面(瓦礫)に附けて、両手で持った縄から手を放し、立ち上がりました。手繰った縄を、桃子殿が処理(絡み附かない様に)してくれたおかげで、素早く引き上げれました
「・・・{綾目さん。登って来て}…大声」
櫻殿の声が聴こえたのか、綾目様が登り出しました。綾目様も、櫻殿と同じ様に慎重に登って来られる様子
桃子殿と櫻殿は、反対側に座って、何やら話し合っている様です。2人の声が小声なので此処まで聴こえない為、何を話し合ってるのかは不明です
少しして、綾目様も最後の瓦礫(板状)の前に辿り着いたので、櫻殿と同じ要領で、綾目様を引き上げる。今度は手繰った縄に、絡まり附かない様に、手繰った縄で輪っかを作りながら、引き上げる様にしていました
「お疲れ様です」
「ありがとう」…ペコリ(お辞宜)
自分の労いの言葉に、綾目様は、感謝を述べられますが、仕える自分に、感謝は不要と言い聞かせているのですが・・・綾目様は、それは違うと聴きいれてくれません。けれど、綾目様の感謝の言葉には、何時も嬉しく思う自分も居るのです
「とうちゃく~、おめ~♪」
「・・・おめ~♪」
「ありがとう」
此方のやり取りに気附いたのか、桃子殿と櫻殿から、綾目様に綾目様に声を掛けています
全員がそろったので、自分が設置した光源を取り囲む様に座り、休憩に入る事にしました。うつ伏せに寝そべって居た紅蓮を抱き上げて、胡坐座りした脚? 膝? っの上で休ませます。勿論、背中を愛撫して癒される為にです。因みに、綾目様の所持していた光源(自分と同じ縄楔に灯を灯している)も、自分が設置した光源(光る縄楔)の横に置いています
☆★☆ ◆◇◆ ☆★☆
その頃の大地は、唯々(タダタダ)、治療水槽装置内で、浮遊している。出来る事は寝る事のみ・・・眼を瞑っているので、多分、眠っているのだろう
つづく
技能、身体強化の使用を取りやめ、ssの残量変更、多少の文章の変更を致しました
生活魔法の灯の使用者を2人に変更と維持したままに、本文の一部を修正




